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黒部峡谷・下ノ廊下
齋藤 吉夫

山行日 2007年10月6日~8日
メンバー (L)佐藤、箭内、齋藤(吉)

 10月5日(金)午後11時、都庁駐車場を、同じ日程で白馬岳~清水岳へ行くメンバーと祖母谷温泉で合流することを約して、夜行バスで出発。翌日、早朝5時前に扇沢駅に到着し、6時30分発の臨時のトロリーバスで黒部ダムへ。地下駅を抜け出したところで、まずは、みんなで記念撮影。下ノ廊下は、ずっと来てみたいと思っていた所なので、これからの行程を想像すると胸が躍る。
 7時10分黒部ダムを出発。樹林をジグザグに降り、黒部川の左岸に移る。途中見晴らしのいい所で前方を眺めると、一見しただけで100人以上が列を成している。トロリーバスの乗客の半分以上は室堂ではなくこちらに来ているようだ。今日の目的地である阿曽原温泉の幕営地は僅か20張しかテントを張れないことを知り、少々不安になった。内蔵助谷を過ぎると、写真でよく見られるような岩壁をえぐったような道に変わる。やがて、対岸に新越ノ滝の姿が見えてきて、足下が深く切れ落ちた絶壁の恐怖も忘れ、思わず歓声をあげてしまった。
下ノ廊下は大混雑  黒部別山谷出合で一休みした後、その先はいよいよ下ノ廊下の核心部、白竜峡そして十字峡である。白竜峡の、白く泡立った流れが川の底から湧き上がってくるような光景を見ていると吸い込まれそうな感覚に陥った。さらに、滝のシャワーを浴びながら進むと、次に現れたのは十字峡である。剣沢と棒小屋沢が真正面に黒部川の本流と合流するこの十字峡を目の当たりにして、この光景は奇跡なのか、あるいはこの形になったのは必然なのか、妙に理屈っぽいことを考えてしまった。吊橋手前を下って大岩の上に降り十字峡の美しい姿を眺めていると、とっても幸せな気分になった。20分程の休憩の後、剣沢を吊橋で渡り再び水平歩道をたどる。仙人ダム、人見平を経て今日の目的地の阿曽原温泉に午後3時頃到着した。ようやくのことでテントを張る場所を見つけ、さて大宴会の始まりである。
 その前に、今日1日の汗を流さねば。なんたって今回の山行は「温泉山行」だぞ。という訳で、1時間ごとに男女が交代する露天風呂へ行くことになった。男は4時30分からなので、その時間に行くと、すでに風呂場の大分手前から長い行列ができていた。その混雑といったら大変なもので、正に芋を洗うという表現がピッタリだった。でも、風呂から眺める風景は素晴らしく、大満足の風呂であった。さて大宴会であるが、夜行バスではあまり寝られなかったこともあり、酒を飲み始めて1時間ほどでみんな横になってしまい、大宴会は明日に延期となった。
阿曽原温泉  10月7日、今日は、欅平を経て祖母谷温泉まで行き飯塚パーティーと合流する日である。阿曽原谷を渡り、水平歩道に出て、また断崖絶壁の道を行く。途中通った志合谷のトンネルは真っ暗闇で、自分の手も見えない全くの暗闇は初めての経験であった。4時間ほどで欅平に着き、小休止の後、祖母谷温泉に向け出発。欅平から15分ほどの名剣温泉でもひとっぷろ浴びて行こうということになり立ち寄ったが、なんと、そこは、これから行く祖母谷温泉からお湯を引いてきているのが分かり、3人ともちょっとがっかりした。でも、ビールがとても美味かったので、いいことにしよう。
 祖母谷温泉には2時過ぎに到着した。源泉近くの川原で露天風呂に入ろうということになり、ビール持参でそこに向かった。しかし、温度の調節がなかなか上手くいかず、私は、蒸気で、足の裏とお尻を火傷してしまった。全く間抜けである。その夜の宴会は、飯塚パーティー、山沢パーティーも集まり、満足のいく山行を終えた後ということもあり大変盛り上がった。私は人生2度目の天然物のマイタケを食べることができてとても感激した。
 翌日は、前夜はあんなに綺麗な星空だったのにどしゃ降りとなった。そんな中、我々は、8時に祖母谷温泉を後にし、明さんを除いて、トロッコ列車で宇奈月へ向かった。明さんはというと、どしゃぶりの中、露天風呂を目指して途中の駅で降りてしまったのである。でも、結局は魚津駅で我々に追いつき、また全員でわいわい騒ぎながら帰路に就くことができた。

〈コースタイム〉
10/6 黒部ダム発(07:10) → 内蔵助谷出合(08:15~12:00) → 十字峡(12:20) → 東谷吊橋(13:30) → 阿曽原温泉(15:00)
10/7 出発(07:40) → 欅平(12:15) → 祖母谷温泉(14:10)
10/8 出発(07:30) → 欅平発トロッコ(09:16)

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