トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ326号目次

雪上訓練・谷川岳
荻原 健一・斉藤 弓・三枝 朋樹
山行日 2007年12月15日~16日
メンバー (L)荻原、佐藤、三澤、高橋(俊)、飯塚、高木、越前屋、土肥、齋藤(吉)、深谷、竹内、道祖土、内藤、平、山崎、前野、金指、河野、小山、三枝、平林、舘田、石川、斉藤(弓)、氏家、森田(温)、森田(純)、大田

<総括>
当会における雪訓の目的は主に次の2つ。
(1)合宿前の体力・技術トレーニング、装備の確認
(2)新人会員の雪上技術の向上
 今回は約30名の参加者(入会以来このような人数での雪訓は記憶にない)が集まり、その内半分は実質新人。取り纏める方としては、大変だったが、ベテラン/新人のバランスも良く(2)についてはそれなりの成果があったと思う。しかしながらこの時点では2007/2008の正月合宿の企画は成立しておらず、当然のことながら(1)についてはなにも出来なかった。
 運営上の問題点に対する非難は甘受するが、正月合宿については9月開催の委員会より議論はしていた。それでもこの時点で正月合宿が出せない最大の問題点は、冬山リーダーの不足及び高齢化だと思われる。今の三峰において冬山へ行けるリーダーがいないわけではないが、正月合宿へ行けない理由として以前からあった家庭・仕事の事情に加わり、高齢化による体力不足、モチベーションの低下が大きな要因になって来ているのも無視できない事実である。
そこで今回の雪訓リーダーとして私が掲げた目標は
(3)冬山リーダー候補の裾野の拡大(初級・初心者組)
(4)冬山リーダー候補会員(主に中級組)の意識の向上
 その成果については今すぐに出るものではないが、きっかけ作りは出来たのではないかと思う。あとは会員各自の自主性に任せるしかないと思っているので、その気のある会員はまだ当会のベテランリーダーが動けるうちに?彼らの背中を見て盗めるものは盗むよう、自分から努力することを期待したい。
(荻原健一)

天神平より天神尾根へ <初心者組>
 初心者クラスで三澤様にご教授いただきました。ピッケルの持ち方から壷足での歩行、アイゼン・わかんを使った歩行、ラッセル、キックステップ、滑落停止、手元にあるものを使った緊急搬出方法、積雪期のテントでの過ごし方等々、初めてのことばかりでした。
 ふかふかの新雪は足を取られて動きづらかったり、ラッセルでは思っていたより体力を使ったり、滑落停止では思うように止まらなかったり、急斜面の下りで埋もれそうになったり・・・。初めての雪山体験となり、楽しんで参加させていただきました。これからいろんな雪山にでかけ、今回教わったことを活かしていきたいと思います。
(斉藤弓)

<初級組>
(12月15日)
 前夜から谷川岳天神平ロープウェイ駐車場の待合室で仮眠しました。床暖房が効いていて快適なところで、他のパーティーも多くきていました。
 コンビニ弁当の朝食をすませて、ロープウェイで天神平に上がりました。
 最初にスキー場の建物で雪崩とビーコンの座学を受けました。ビーコンは電波が強くなるほうにまっすぐに行き、弱くなったら、一番強かったところから直角に曲がる、ということを教えていただきました。
 そのあと、実際にゲレンデ脇でビーコンを実際に使っての訓練を受けました。1台のビーコンを雪に埋めて探すというものだったのですが、なかなか見つからず苦労しました。ビーコンの電波が磁力線の曲線を描いて出ているので、一直線にナビゲートしてくれるものではないということが実感できました。ゾンデの訓練では、雪に埋まる役をやったのですが、雪をかけられると重くて圧迫される感覚が強く、閉じ込められた息苦しさを感じました。
 次に、弱層テストの訓練。斜面に穴を掘り直径70センチ高さ1.5メートルくらいの円柱を作って、それを両手で引っ張る、というものです。ずるっという感覚で雪がずれるのが体感できました。
弱層テスト  行動食を食べた後に、ロープワークの訓練。スノーバーを使っての肩がらみ確保では、ロープを首にかけて引っ張られるほうをわきの下に回すというロープの扱い方を習いました。ロープを流してゆっくり止める、ということを確保役と落ちる役を交代して何度も練習しました。
 スタンディング・アックスビレイの練習では、ロープの扱いがやや複雑ですが、(1)メインロープ末端をハーネスに結び、立木などにセルフビレイをとる、(2)ピッケルにスリングを回し環付カラビナでとめて、ピッケルを雪に埋める、(3)環付カラビナにメインロープを通す、(4)メインロープを首に回して引っ張られるほうをわきの下に回す、ということをやりました。バランスよく立たないと引っ張られたときに転んでしまうのがよくわかりました。腰がらみの練習。下りのときに使う技術で、しっかりとしたすわり場所と足の置き場をつくり実施することを教わりました。
 滑落停止の練習。滑らないやわらかい雪の上で勢いをつけて滑り降り、雪の滑り台を作り、練習しました。脇を締めてピッケルを雪に打ち込む練習をしました。
 けが人の搬送。ツェルトにけが人を乗せて、カラビナをボタン代わりにしてくるみ、引っ張り手を作って引っ張る、というものでしたが、ロープの回し方が複雑で覚えられませんでした。すみません。
 ロープウェイで下って駐車場から20分ほど歩いて登ったところの路上脇にテントを張りました。夕食と飲酒でしっかり寝ることができました。
(12月16日)
 夜から雪になり、朝もかなり降っていました。
 西黒尾根でラッセル訓練をやりました。登るときには、下の足で蹴らずにゆっくり体重を移動させることを教えてもらいました。送電線の鉄塔まで、先頭を交代しながら登りました。樹木の間にルートを見つけて、踏み跡のない雪の上を進むことは楽しかったです。先頭と後続で体力の消耗が全く違うことがよくわかりました。
 送電線の鉄塔から少し登ったところで、希望者はさらに上に行き、そうでない人は下ることにしました。雪が激しく降っていることとザックをテントに置いてきてしまったので、自分は下ることにしました。かなり登った感覚がありましたが、下りはあっという間でした。テントをたたんで駐車場に戻るときが、雪が最も激しくなりました。
 今回の雪上訓練で、本に書かれている雪山の技術が「こういうことなのか」と体験することができてよかったです。皆様ありがとうございました。
(三枝朋樹)

<中級組>
(12月15日)
 12/14夜に谷川岳ロープウェイ駐車場にて仮眠。翌日は荷物を車へデポし、朝一のロープウェイで天神平へ。ここから天神尾根に乗り熊穴沢ノ頭の避難小屋を目指す。今年は結構雪が多いのでワカンを着けて進む。小屋より標高で200mくらい登ったヒツゴー沢寄りの斜面にて雪訓を行う。スタンディング・アックスビレイ、コンテ歩行、コンテ時の制動(大阪方式)等を中心に行う。滑落停止は一応やったが、いつも通り雪が柔らかく成果は今一。他に急斜面でのビーコン探索もやりたかったが時間切れで出来なかった。初級・初心者組との無線交信は良好だった。駐車場で他パーティーと合流し、西黒尾根登山口付近の林道で幕を張り、総勢約30名で懇親会?を行い就寝となる。
(12月16日)
 本日のメニューは西黒尾根往復。最近の雪訓は技術講習が中心だが、私自身はさまざまな状況の雪山を歩くことこそ最大の訓練だと思っている。と、口では気合の入ったことを言っているが、当日は天候不順で朝から大雪。風も強くとても稜線なんて歩けたもんじゃないっていう感じの天気だ。合宿に入る者がいれば、体力トレで樹林帯を行けるとこまで往復してくるのも一案だが正月合宿の入山予定者もなく、なんとなくみんなの雰囲気も温泉直行!ってな感じだったので朝から撤収を決め早々と温泉へ向かう。撤収中に初心者・初級組が訓練に向かっていく姿を見て少し後ろめたい感じがしたのは私だけだったろうか・・・?
(荻原健一)


トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ326号目次