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仙人ヶ岳~赤雪山
山崎 邦子

山行日 2007年12月9日
メンバー (L)山崎、小堀、三澤、山沢、高木、成田、飯塚

 何となくソソられる山名と、低山の割に変化に富んだ歩き甲斐のあるコースという評判を聞き、足利市の最高峰・仙人ヶ岳と第2峰・赤雪山を繋ぐ静かな尾根歩きを計画した。
 当初は朝出の日帰り計画だったが、ルーム後の飲み会で「前日から行って、今年最後の焚火やろうぜぃ!」ということで話が盛り上がり、焚火&料理奉行のコボさん、装備はお任せの三澤さんの参加を得て、8日昼出発の焚火宴会&日帰りハイキング計画となった。

12月8日(土)
 買出しと焚火の場所探しがあるので、昼過ぎにコボ車、三澤車の2台で出発。成田さんは単独で来て、夕方現地で合流となった。東北道を走り佐野ICから足利へ。足利市手前のスーパーで夕食と朝食の食材を大量に買出しして、さあ、焚火の場所探しだ。
 事前にいくつかチェックしていた候補地のひとつ名草キャンプ場は、整備され過ぎていて×。脇を入った入山林道もゴミが多くてイマイチだった。とにかく里山なので山近くまで民家が立ち並び、なかなか良い場所が無い。「直火は無理かもね」と半分諦めつつ、松田川ダム畔のキャンプ場に向かうと、「ここにはファイアーサークルがあるんだよね」と三澤さん。もちろん、もうキャンプ場は閉鎖されている。はたして使用可能なのか?
前夜宴会の余韻、煙がくすぶるファイアーサークル  なんと、確認しに行ったらサークルの中にぶっとい丸太が重ねて置かれているではないか。まさに「燃やしてくれ」状態だ。キャンプ場だけあってテントサイトも芝生で心地良さそう。簡易トイレもある。水は出ないが炊事場に電気がついていて言うことない。全員一致で「ここに決定!」となった。
 早速周辺で薪拾い。キャンプ場では携帯が通じないので、成田さんに連絡を取りがてら三澤さんが下方から車で丸太を運んできてくれた。成田さんも無事合流し、コボシェフの鍋料理やツマミ&多種類のアルコールで焚火を囲んでの大宴会に突入!「明日の体力残しておいて下さいよ~」と一応リーダーとして心配したせいか、はたまた酒のペースが速かったのか、私は早々にダウン。珍しく朝まで爆睡してしまったのだが、後で話を聞くと、他の面々はファイアーサークルを囲んで歌い踊りまくり、最後に就寝した人は12時近かったそうで、皆さんのパワーには脱帽です。

12月9日(日)
 日帰りとしては長丁場。コースが不明瞭な所もありそうだったので、リーダー命令で起床5時半、出発7時とした。まだ暗い時間に全員を叩き起こし、コボさんの釜揚げ天ぷら蕎麦の朝食を食べてキャンプ場を後にした。
 今回は車が3台あるので、予定下山口(名草巨石群入口)へ1台回送し、エスケープを考えて松田川ダム畔の登山口に1台デポした。猪子トンネル脇の林道にある仙人ヶ岳登山口で三澤さんとコボさんが車を回送して戻ってくるのを持ち、登山開始。 針葉樹林の急坂を15分ほど登り、右にトラバース気味に登っていくと猪峠だ。深高山ハイキングコースや岩切登山口へ出る道などが交差する四辻で「仙人ヶ岳へ2時間15分」の標識があった。
 北西の尾根に入り、しばらくなだらかな道を登る。木の間から浅間山、遠く筑波山が見えた。好天ながら風が冷たい。時折突風も吹く。小ピークには尾根通しで松田川ダムに下る踏み跡が随所に見られた。こういった山域はヤブ屋があちこち歩いているようだ。
 東尾根の分岐を過ぎた辺りからヤセ尾根の露岩帯となる。低木帯で眺めは360度。眼下に松田川を挟んで向かい側の山の上に反射板が見えた。今回のコースは典型的な馬蹄形。「フフフ・・・あそこまで行くんですよ」と私が言うと、まだ酒が残って息切れ気味の面々から「エ~遠い!」と嘆きの声が上がった。その後も小さなアップダウンの繰り返しで疲れる。
地元小学校作成の可愛い看板が  登山口から約1時間半で核心部(?)「犬返し」の鎖場に到着。8mほどの立派な鎖が付いた岩場を直上する。以後は展望良好のヤセ尾根をひたすら登る。
 汗をかいてアルコール分が抜けたのか全員ペースアップ。岩切コースとの合流点「熊の分岐」を経て、仙人ヶ岳山頂には10時35分に到着した。等級不明の三角点と立派な看板があり、我々の貸切だ。しかし群馬側からの北風が吹きぬけて寒い!
 赤雪山への分岐まで少し戻り、風を避けて昼食タイムとした。寒いながら、やっぱりビールの回し飲みは欠かせない・・・。
上州のカラ風が寒かった仙人ヶ岳山頂  30分ほど休み、いよいよ赤雪山縦走路へ。古い資料には「ヤブ道で読図力が必要、分岐から3時間」とあったが、インターネットで最近の記録を見ると結構歩かれているようだ。私はこんな立派な看板があるし、多分3時間はかからないと見ていたが、ヤマサチさんは不安そう。そう、分岐には「赤雪山まで3.9km」と書かれた標識があった。どうせなら所要時間を書いて欲しいものだが3.9kmなら3時間もかかる訳がない。好天で辿る尾根もよく見えているし、気持ち良く縦走できるはずだ。が、看板の先に道が見当たらない! よく探すと北東尾根の下方に赤テープがあった。取り付きがイマイチ不明瞭である。
 いきなり落葉で滑る急坂を下り群馬・栃木県境の尾根に入る。日陰だし群馬側からの寒風が吹き抜けるしで、寒い尾根だった。小さなピークを10回くらい登り下りし、30分ほどで南の尾根の分岐・三角山に到着。ここにもしっかりと標識があり「これは楽に行けそう」と目処がついた。
赤雪山への縦走路は急登・急下の繰り返し  ここからの核心は読図ではなく、細かいアップダウンの連続と落葉ズルズルの急降下だった(何人か転んだ)。尾根の向きが変わる場所には標識があるので迷うこともなく、誰もいない静かな稜線歩きを楽しみながら、仙人ヶ岳分岐から1時間40分ほどで赤雪山に到着した。また誰もいなくて東屋でゆっくり休めると思いきや、山頂には20数人の某農協ハイキングツアーの団体が・・・。静かな山が一気に雑踏の山になってしまった。赤雪山の方がマイナーと思っていたが、単独で登るなら仙人ヶ岳より簡単に登れるからピクニック気分で来る人が結構いるのだろう。
東屋のある赤雪山頂にて  20分ほど休んで早々に下山開始。山頂直下は階段の急降下だ。時々突風が吹き、松葉が空から降ってきて体に突き刺さるのには参った。ここでも下ったと思ったらまた小さく登り返す。つくづくスムーズに下らせてくれないしつこい縦走コースだ。
 ひと登りで午前中に見た反射板に出て、ここからゆるやかに下って長石林道に出た。車をここに回送することもできたが、実は私が今回のコースを計画した理由に「名草巨石群」を訪れたいという目的があった。地質学的に珍しく国の天然記念物だという。最後に巨石群をのんびり散策してフィニッシュといきたい!
 しばらく林道を下り、西側の入口から巨石群に入る。欝蒼とした杉林の中に丸みを帯びた巨石が堆積・点在していた。さらに下ると厳島神社社殿があり、大岩の隙間を通る「胎内くぐり」があった。子宝に恵まれ良縁に恵まれるように(もう遅いか・・・)、全員でくぐる。少々横幅がきわどい人もいたが、全員無事通過。しかし・・・結局、名草巨石群って何なのかよくわからないなぁ・・・。
名草巨石群の胎内くぐり 抜けると身ごもるそうで・・・  大鳥居のある名草巨石群入口駐車場に14時半到着。ほぼ予定通りだ。思ったより歩き応えのあるコースで皆そこそこ足が疲れた様子。三澤号で成田さん、コボさんの車を回収し、足利市内の鹿島園温泉(何だか不思議な施設だった)で汗を流す。コボさんオススメの館林ラーメンを食べて帰途についた。

 日帰りハイキングだったのに、参加メンバーのフットワークの軽さと実行力のおかげで楽しい焚火宴会とセットで実施でき、楽しみ倍増となりました。ありがとうございました。
 登山前夜に宴会というのは、ある程度自制して飲まないと翌日の登山が大変ですが、「また登って下るのぉ~」「途中で下りたい」「仙人ヶ岳だけでいいや・・・」とブツブツ言いながらも、結局、全員予定ルートを完歩しちゃったのはサスガでした。

〈コースタイム〉
キャンプ場(07:00) → 猪子トンネル登山口(07:55) → 東尾根分岐(08:35) → 犬返し(09:20) → 仙人ヶ岳(10:35~11:00) → 三角山(11:26) → 赤雪山(12:40~13:00) → 鉄塔下(13:26) → 長石林道出口(13:35) → 名草巨石群駐車場(14:25)


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