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槍平
小堀 憲夫
山行日 2008年4月19日~20日
メンバー (L)小堀、金子、荻原、飯塚、小幡、高木、鈴木(章)、山崎、服部、紺野、竹内、土肥、別所、深谷

 正月の雪崩遭難事故の装備回収のため、会員有志15名で槍平へ向かった。金曜夜、八王子駅と新宿駅に分かれて集合し、出発。談合坂で合流した。長野自動車道みどり湖PAでビバークし、翌朝新穂高に入った。
 新穂高の駐車場に車を止め出発。右俣谷沿いの道を詰め穂高平小屋はパスし、白出沢出合付近までショートカット。ブドウ谷、チビ谷と進むが、デブリが物凄い。滝谷避難小屋の少し手前辺りから周辺で雪崩の音が聞こえ始める。恐ろしい。寝不足で足も重く、汗をかきかき槍平に到着した。
 事故の際テントを張っていたポイントを竹内氏から聞き、皆唖然とした。どう見ても雪崩とは結びつかないポイントだった。西側の奥丸山や北東の中岳から続く斜面からかなり離れた平地の真中に位置する小屋の直ぐ隣の幕場だ。幕場の北東に小山のように雪が盛り上がった箇所があった。北東斜面を落ちてきた新雪雪崩がそこをジャンプ台のようにして幕場の真上に舞い上がり、ドサッと落ちたのでは?との憶測もあるが、真相は分からない。
祭壇  冬季小屋には下関山岳会の会員が先着しており暫し情報を交換する。三峰隊は夏小屋と冬季小屋の間に幕を3つ張り、遺品を冬季小屋から回収し15人で分け持った。その後、先ほどの事故現場に全員集まり、越前屋、金指両氏の遺影を飾り、花、線香、神式の金指氏用の榊、ワンカップ等を供え、即製の祭壇を用意した。別所さんが準備してくれた谷村新司作の群青のメロディーに乗せた追悼歌が槍平に轟くと、メンバーから啜り泣きが漏れる。全員で黙祷。
祭壇にて祈る  その夜は、一部メンバーが納得の行かない雪崩事故に軽い興奮状態だったのか、あまり行儀の良い酒ではなかったようだ。静かに故人の思い出を語るべき夜だったはずだ。
 翌朝は、雪崩に遭わないよう早めに槍平を出発し、快晴の中、新穂高温泉まで下った。駐車場で越前屋氏の装備を分け、温泉に入って帰京した。


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