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黒部川赤木沢
土肥 雅美

山行日 2008年8月14日~16日
メンバー (L)土肥、深谷

 黒部川源流に浸かってみたかった。上ノ廊下は昨年の例会でも行きそこなってしまったし、とりあえず上流へ・・・ということなら赤木沢へ行ってみようと思い立った。
 千明は1日早く出発して雲ノ平へ寄って来るというので、じゃ15日の午前9時に薬師沢小屋前で会おうねと約束した。
8/13
 お盆休みの初日とあって上野駅の大混雑のなか人を掻き分け、越後湯沢経由で富山へ。特急「はくたか」はデッキも通路も人がいっぱいで暑くてうんざり。そして富山に着くなり空は急に暗雲が立ち込めたかと思うとすぐに大雨になった。しばらくして止んだのでプラプラと街を散策。その晩は駅前のビジネスホテルに泊まる。
8/14
 5:10富山駅前発のバスに乗り、折立に7:00少し前に着いた。折立ヒュッテ脇の登山道へ入ると登山者が多くて渋滞にはまってしまった。しかし、曇り空から雨がぱらついてきたとたん前も後ろもザックを降ろして雨具を着け始めたのでその隙に抜け出ることができた。雨はすぐ上がってしまった。北アルプスの一般道はふだんあんまり山へ行っていない人もたくさん歩いているような気がする。
 樹林帯の急登が終わって傾斜が緩んでくると869.8mの三角点に着く。ここで少し休憩してからまたマイペースで登って行く。曇りなので展望もないけどさほど暑くないので助かる。太郎平小屋には意外とあっけなく着いた。そのとたんに雨が来た。薬師岳ピストンか太郎沢周回も考えていたけどこの雨じゃしょうがないな~ほかにすることないしなー えいっ!ビール飲んじゃおっと。でも生はやめて350缶にしました。まだ11:00前だし、夕方また雷雨も来るだろうな。とにかく薬師沢小屋まで行くことにする。最初の下りは浮き石が多くて疲れた。道が薬師沢と太郎沢の出合に出たところでホッとして沢の風に吹かれてしばしボンヤリ。笹原とオオシラビソのカベッケヶ原は木道でなかなか良い雰囲気だった。
カベッケヶ原  薬師沢小屋に13:15着。デッキに単独の人たちが自然に集まり飲みながらおしゃべりになる。山小屋には、山岳会の常識?にとらわれないいろんな人たちが来ていておもしろい。そうこうしていると、2時半ごろからまた降り出し雷雨になった。30分か1時間のタイムラグがあって黒部川本流も薬師沢も濁って増水してきた。雨は夕方には一応止んだ。
8/15
 早朝から小屋に泊まった人たちがどんどん出かけて行った。黒部川は平水に戻っていた。よかったこれなら行ける。最後のひとりになってゆっくりデッキで朝ごはんを作って食べる。9時の約束なのに7時40分頃にはもう千明が元気に手を振りながら吊り橋を渡ってきた。昨日の雷雨はテントで大変だったらしい。
赤木沢出合  8:00入渓。ほとんど左岸を行く。途中一瞬雨がぱらつくがすぐ止んだ。赤木沢出合手前のゴルジュと滝は左岸の立派な道で巻く。ゴーロに降りると目の前が赤木沢の出合の渕だった。左岸をわずかにへつって赤木沢に入る。
 ナメといくつものナメ滝が連続して気持ちがいい。一瞬だけお日様が顔を見せて水を煌かせてくれた。赤木沢は難しいところはなくてどこでも歩けてしまう綺麗な沢です。
四段の滝40m  急ぐ旅ではないのでいったん休むとつい長く和んでしまう。いくつかの滝を越えて行くと前方のパーティが滝の右側の岩場をザイルを出して登っていた。あれっと思ったらもうここが大滝30メートルだった。ちょっと気が抜けるくらい呆気なく来てしまった。続いてフリーで登って行ったらそのパーティの人がフィックスしてあるから使いますか?と親切に聞いてくれたけどていねいに断ってそのまま登った。
 大滝の上は、ガイド本のとおり左岸の2本目の枝沢に入る。細かい滝気味のところを登っていくと水が消え開けた草原に飛び出した。細々と続く本流筋をたどって行くと赤木岳左側の稜線鞍部の登山道に出た。ここからはときどき晴れ間もあって、チングルマやハクサンイチゲのお花畑や遠く水晶岳方面の展望を楽しみながら、でもけっこう長い道を今夜の幕場の薬師峠へと向かった。やっと太郎平小屋に着き、ビールを仕入れる。「ここで飲みたい!」と言う千明と自分を「テン場までがまんしよう!」と心をオニにして説得した。薬師峠で千明のテントを張る。そしてやっと乾杯!になりました。と、雲行きが怪しくなったと思ったらまたまた来ました。激しい雨が。荷物全部をテントに放り入れ、千明が雨のなかフライを張ってくれた。そして今日もしばらく降ると雨は去っていった。
8/16
 朝から晴れた。千明は薬師岳をピストンしてくると言う。わたしは留守番してテントを干しながら待つ。撤収後、折立へ下山開始。14:00ちょうどに折立に着いて10分もしないうちに毎日恒例のスコールが今日も来た。4日連続だ。バスは15:50までなかったが、タクシーが待っていて他2人を何とか集めて有峰林道を突っ走る。1時間あたり80ミリ降ると自動的に林道出口のゲートが閉まってしまうのだという。そしてそのまま夜間通行止めの時間帯に入ると明日まで閉じ込められてしまう。ゲートはまだ開いていた。間一髪?で走り抜けると車内で歓声が上がる。今回いちばんの核心部だったかも。富山の町も道路が川のようになっていて電車も止まっていた。何時になるかわからなかったので早々停滞を決めて翌日帰京した。

〈コースタイム〉
8/14 折立(07:20) → 869.8三角点(08:45~08:55) → 五光岩ベンチ(10:05) → 太郎平小屋(10:40~11:25) → 太郎沢出合(12:05~20) → 薬師沢小屋(13:15)
8/15 薬師沢小屋(08:00) → 赤木沢出合(09:10~09:30) → 大滝(11:20) → 2本目の枝沢出合(11:40) → 赤木岳左側の稜線(13:20~14:20) → 太郎平小屋(16:20~16:30) → 薬師峠(16:50)
8/16 薬師峠 → 太郎平小屋 → 折立(14:00)

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