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大菩薩嶺北尾根
峯川 正行

山行日 2008年9月13日~14日
メンバー (L)鈴木(章)、峯川、小山、森田(純)

 9月は連休が多いので泊りの山にどうしても入りたい。でも今年は九州出張の予定で山は無理と思っていたのですが、急遽予定が流れ、山に行けることに。そこでアッコさんにすぐに連絡をして、話の流れで大菩薩界隈にしましょうと。そして、あとはアッコさん山行ジュークボックスにお願いをして魅惑のルートを奏でていただくことに・・・。出てきたルートは大菩薩嶺北尾根!ここは以前、アッコさんと川崎さんが挑み、最後の下り口が微妙にずれ、アッコさんが悔しがっていたルートだったのです。私自身もこのルートは以前から気になっていたのですが、下りてから一体どうやって丹波山まで行く手段がなかなかみつからない状況でした。答えは簡単でした。ただ歩くのです!ルートは松姫峠から牛ノ寝通りをめぐり大菩薩嶺から北尾根から小室川出合へ下降し、その後は丹波山まで徒歩という算段です。
 13日7時26分高尾発の電車には、アッコさん、森田さん、峯川と顔を合わせ、「小山さんは他の車両にいるね!」と言っているとアッコさんの携帯に嫌な連絡が。電車の時間がうまくかみ合わなかったようで少し遅れるとのことです。でも、今回は大名山行?で松姫峠までタクシーを使うので時間が遅れても問題ないのです。猿橋駅では予約してあったタクシーには待ってもらいましたが、ちょうどその横に捨て猫らしき黒猫様が座っていているではないですか!小山さんの待ち時間など全く苦にならず、ずっと猫様と戯れておりました。小山さんの代わりに黒猫様を連れて行こうか思案していると小山さんがにこにこして階段を下りてきました。今回初めて一緒に山に入ることとなります!
 タクシーで約30分走りますが、深代ダムや工事中の松姫トンネルなど興味深い材料ばかりです。特に松姫トンネルは数年後開通予定で、小菅村へあっという間についてしまうとのことです。奥多摩へのアプローチにも使えそうです。高度をさらに上げて松姫峠に到着です。この松姫峠は武田信玄の娘・松姫が織田勢から逃れるために、峠を越えたことに由来しているようです。歴史好きな私にとって、松姫がたどった道を探索してみるのも楽しみかもしれません。人気スポットなので車が数台あり、キノコ採りから帰ってきた人々にも遭遇しキノコ収穫の期待が膨らんできました。
 東側には奈良子山へ続く道もあります。佐野峠に続く古道を今後探るのもいいかもしれません。準備を行い、牛ノ寝通りに向かいますがとても気持ちのいいルートです。紅葉の時期には素晴らしいルートとなるでしょう。アッコさんはすでにキノコ目となり蛇行歩行をしております。私はのんびりと景色を楽しんでいると森田さんがギンリョウソウを発見してくれました。写真ではよく見るのですが初めて見ることができました。なんとも神秘的でございました。途中、小菅の湯への分岐をいくつか見やりながら気持ちのいい水平路を進みます。悔しいことにキノコはなかなかみつかりません。キノコ捕獲隊に出会うと何か不穏な空気が流れます。小菅からのルートと合流する大ダワは切り開かれキノコ捕獲の為にベースキャンプをはってもいい場所です。途中、水場があるという情報があったのですが結局見つけることができず、どうも分岐の案内板はとられてしまったようです。最後の石丸峠への登りはなかなか大変で小山さんも頑張って登っておりました。翌週にアッコさんと小山さんは飯豊に行くので、アッコさん曰く「小山さんにとっていいトレーニング!」とのことです。確かに1300m標高の松姫峠までタクシーで一気に上がり、午後になって急登があると体的にはきついです。立派な指導標がある長峰分岐を確認し、近い将来長峰に行ってみたいなあと。途中測量隊の人達に出会うとすぐ先が小金沢連嶺の縦走路に合流です。そこにはなんとも味のあるお爺さんが座っておりました。どうも測量隊の機材を上げてきたようです。まさしく日本のシェルパです。石丸峠につくとちょうどガスが切れてきて素晴らしい光景が広がりました。
気持ちのいい石丸峠  みんなで談笑しながら時間が過ぎていきますが、このような時間がとても気持ちがいいです。幕営すべき場所でエスパースを建立し、中秋の名月は翌日ですが楽しい山中お月見となりました。
 翌日はテントを撤収していると朝焼けが広がり天候が下り坂であることが予想されました。5年ぶりに訪れる介山荘は改築したらしく綺麗になっておりました。富士山も霞んで見えるくらいで先を急ぎます。大菩薩嶺まで結構時間がかかるんだなあと思っていると雷岩に到着し、すぐ先の樹林帯が大菩薩嶺。しばし休憩。そしてこの先の北尾根に向けて皆さん準備に取りかかります。私も一応GPSの電源は入れておいて確認ができる状態にはしておきました。
一応、大菩薩峠は写真を撮らないと!  7時に大菩薩嶺を出発し、丸川峠への下降路に進み北尾根取り付きまで進みます。すぐ行ったところがスイッチバックするような所だったのでここが北尾根の取付かなあと思って下りていくと、左側から綺麗な道が下りてくるのでまだ早かったようです。しばらく進むと赤テープなどがついている場所に到着。これが北尾根の取付で丸川峠への道とここで分かれます。とにかく尾根筋に進みます。
 しばらく藪はあまりない状態で倒木が散乱していて、尾根上はコツガメ、トウヒ、シラベなどの黒木が多く薄暗い状況で地表は青苔に覆われ原生林の様相。尾根は多少広がり気味で倒木を跨いだりしていると方向を乱してしまうので、北東方向にコンパスを合わせて進みます。この付近の下りは結構神経を使います。1840P南側の鞍部で少し休憩となります。小山さんはすこぶる調子がいいようで、にこにこしています。
1840P南側の鞍部にて一息休憩  1840Pへ多少登り返しますが、この付近からスズタケが繁茂してまいります。1708Pまでが等高線が広くなり、だらーっとした尾根筋なのでスズタケが背丈以上であり、トップを歩いていた私にとって慎重にルートを確認し、薄い下道を進みます。途中の1840P北側の鞍部でスズタケが繁茂している場所がニノタルといわれる場所のようです。
 藪こぎということで一応、ビバホームで購入した防護メガネを持参していたのですが、なんとか使用するには至りませんでした。途中、あまりにも蒸し暑いので藪の小ピークでしょうがなく一本をとり、気を取り直して1708Pを目指します。
景色も見えない藪の中で一本  途中、岩稜帯もあり巻き気味に歩いたりして1708P付近ではスズタケの勢いは多少落ちてきます。自宅に帰って他の記録を読み返していると、この付近は6月くらいはイワカガミの回廊になるようで、今度来る時はイワカガミに合わせてくるのもいいかもしれないです。1708Pから一気に下降し9時半に1590mの尾根が二つに分かれるポイントなる部分に到着。立木には真新しい黄色テープがまかれていてここがルートのポイントであることが確認できました。しばらくここでのんびりと休憩をして不動滝峰に向けて進行方向を北東方面に変えます。しばらくスズタケが現れますが、すぐに突然綺麗な道にぶつかります。この道は黒茂谷林道という水平路の巡視路でとても快適な道です。紅葉の時期なんぞはこの巡視路をめぐるだけというお気楽コースもいいかもしれません。しばらく藪もなく快適に進むと10時に1490Pの西側鞍部の「林班界標61/65」のプレートがある三ノタルにたどり着き、右側にその巡視路は続いておりました。この道はそのまま小室川まで降りサカリ山付近を通るようです。これもいつか歩かなくてはいけません。右側のこの巡視路を見やりながら尾根筋の左側の道を進みます。すぐに1490Pにたどり着きますが、進むべき北東方面は藪も薄く取り付きがよくわかります。
 ここからは一直線で1343P三角点である不動滝峰に進みます。10時40分にあっという間に三角点にタッチです!アッコさんは以前川崎さんとこの北尾根の下降ルートを挑んだ際にこの先で別の尾根に入り込んでしまったそうで、アッコさんにとってはこれからがリベンジです。アッコさんは「三角点さん、お久しぶりです!」と久々に会う友人のように三角点に話しかけておりました。私も三角点マニアでもあるので微笑ましく見ておりました。
不動滝峰にてホット一息  小山さんと私が何気なく歩きだしてしまったのですが、どうも下りだした尾根が違ったようで、アッコさんと森田さんからコールがかかりました。どうも東方向への尾根を歩きだしていたようです。ピークでのコンパスチェックを怠っておりました。申し訳ないです。やはりこういうときは仲間との登山ということで心強いです。
1150m付近の気持ちのいい広葉樹林帯  ぜいぜいいいながら小山さんと登り返して仕切り直しです。ここからはブナなどの広葉樹林帯となり、1150m付近の台地状の部分はなんとも気持がいい部分です。のんびり焚き火をしにきてもいいくらいの隠れサイトです。
 小室川出合をめがけて下りていく予定で最後の1130m台地部分で右側の尾根に乗り一気に急降下です。先頭のアッコさんから「ついたよ!!」との一報です。思ったより早くついたなあと思ったのですが、ついた部分はやはり例の水平巡視路でかなり沢よりあがった所だったようです。下り口にはお馴染みの「林班界標60/65」のプレートがありました。北尾根に取付の際はこのプレートが目印になるかと思います。あとはつづら折りの巡視路を下ると写真でよくみかける泉水谷にかかる真新しい木橋が目に入り、ひとまずゴールという感じで橋の下で顔を洗ったり一息つきます。小山さんはまだまだ元気で滝の写真を撮ったりしています。それにしても、小山さんと一緒にいると、こちらがとても元気になります。
ゴール地点の泉水谷にかかる木橋  しかし、ここからが核心の丹波山への林道・車道歩きで2時間は覚悟をしておりました。三条新橋には25分で着いたのですが、その頃から雨が降り出しました。でも尾根で降り出さなくて本当に助かったなあと。今回は本当に天気に恵まれました。ここからは車の往来が結構ある青梅街道をてくてく歩きます。車が怖くてしょうがなかったのですが、はやくのめこい湯でお風呂に入りたい一心で無心で歩きました。14時過ぎにようやくのめこい湯に到着です。今年から始まった「のめこいスタンプ」を皆さんの協力で次々と押してもらい、一気に20ポイント溜まったので次回は無料でお風呂に入れます。皆さん、ありがとうございました。すいません私はのめこいファンなもので・・・。
 お風呂の入りながら歩いたルートを思い返していたのですが、大菩薩北尾根は下降ルートとしてはなかなか手強いなあと。特に単独行は惑わされる可能性が高いです。このルートはまずは登路として使うのがいいかと思います。今回はアッコさんのリベンジ山行に同行できて良かったです。
 それにしてもあの猿橋駅の黒ネコ様は素敵だったなあ。一目惚れです~。また会いにいかなくてはいけません。

〈コースタイム〉
9月13日 晴れのち曇り 猿橋駅(08:40) => 松姫峠(09:25~09:40) → 鶴寝山(10:00) → 大ダワ(11:25~11:35) → 狩場山(12:00) → 榧ノ尾山(13:15) → 米代・長峰分岐(14:40) → 石丸峠(15:05~15:20) → 幕営地(15:40)
9月14日 曇り時々雨 幕営地(05:30) → 大菩薩峠(06:00) → 大菩薩嶺(06:50~07:05) → 大菩薩嶺北尾根取付(07:20) → 1840P南鞍部(07:55) → 1590m分岐点(09:30~09:40) → 三ノタル(10:05) → 1409P(10:15) → 不動滝峰(10:40~10:50) → 巡視路・「林班界標60/65」(11:45) → 泉水谷木橋(11:50~12:10) → 泉水谷林道(12:20) → 三条新橋(12:45) → のめこい湯(14:10)

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