トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ328号目次

北岳バットレス第4尾根
Chiaki

山行日 2008年7月5日~6日
メンバー (L)荻原、竹内、深谷、大田

 今回は念願の北岳バットレス4尾根。金曜の夜、スバルビル前で待ち合わせして芦安駐車場へと向かう。軽く寝酒を呑み早々に仮眠。アラームで目を覚ますと駐車場には広河原までの乗り合いタクシーが列をつくっていた。急いで身支度を整え、バスよりちょっとだけ到着が早い、乗り合いタクシーで広河原まで行く。
 広河原から樹林帯をしばらく行くと雪渓歩きとなる。快晴の雪渓歩きは暑く、汗ダクでレディースチームはメンズチームの後をついて行く(今回は女性でペアを組んで登るつもり・・・だった)。青空にこれから登る北岳が輝いている。気分は最高だ。
雪渓に埋まっているbガリー取付  bガリー取付きの近くの雪渓は急登だったが、メンズチームがガシガシとステップを切ってくれたおかげでアイゼンを付けずに雪渓を通過できた。
 さて、これから待望のクライミングだ。取付きの岩の前に立つが、本やネットで見た赤茶けた岩のクラックがない。どうやらbガリーの取付きは雪渓で埋まっているようだ。レディースチームが登攀準備をしていると、一番手のオギちゃんが登り始めた。が、暫らくすると途中で引き返してくる。どうやらルートが判りにくいらしく、違うルートに入ってしまったようだ。再度登りなおし。今度はスルスルとロープが出て行き、セカンドのタケチャンも軽やかに登っていく。いよいよレディースチームもクライミング開始!最初は私がトップ。出だしにもたつくがどうにかオギちゃんがビレーしている所まで辿り着く。狭い場所で2人分しかスペースがないため、オギちゃんが登り始めてから支点を取り直し、セカンドを上げる。2P目は今回アルパインデビューのオオマサがトップ。オオマサが登り始め、暫くすると「支点がないんだけど~」と声がする。メンズチームはサッサと登っていってしまったようで、人の姿も次の支点も見つからず困っているようだ。自分のところからはオオマサの姿もルートも見えない。オオマサ頑張れ!しばらく止まっていたロープがゆっくりと出て行く。緊張でビレーしている手のひらにじっとり汗が出てくる。「ビレー解除」の声を聞いた時はホッとした。セカンドで登っていくと途中からルートが左にトラバースしていた。木に支点をとってあるもののリードでのトラバースは怖かっただろうと思う。よく頑張ったよね。メンズチームはこのルートを直登し、早々に2P目を終え私たちをずいぶん待ったそうだ。ヘロヘロになってしまったレディースチームは2ピッチであえなく解散となり、4尾根下部より男女混合、オギちゃんチームとタケちゃんチームでロープを結び直しスタート。
 先行はオギちゃんチーム。オギちゃんトップで、途中3人パーティを追い越しグイグイと登っていく。私たちタケちゃんチームもタケちゃんトップで順調に登っていく。そして午後3時、やっと4尾根取付き。1P目、タケちゃんトップ。出だしのクラックがちょっと難しそうだが、タケちゃんはなんなく登ってしまった。いよいよ私の番、クラックの中に足をねじ込むが自分の重い体重とザックの重さで足が悲鳴をあげなかなか離陸できない。気合一発「とぅりゃ~!」と最初の一歩を踏み出し、クラックを抜けると快適なフェースで一安心。2P、3P、と問題なく快適なクライミングを楽しむうちに元気が出てくる。4P目15mほどで支点に着きコールをすると、タケちゃんから「短いからもう少し伸ばせば~」と声があり更にロープを伸ばす。核心といわれている5mの垂壁の直登を試みるが、上部が乗越せず右側から回り込む。そしていよいよ高度感バッチリのナイフリッジ。
 このゾクゾク感がたまらん!最高~!ニッコニコでマッチ箱の手前に到着するが、前の3人パーティが懸垂セットの最中で、支点の手前でセルフも取れずに待機となる。足場は安定していたので、その場で岩を掴んで待機していたが、某先輩の「命が惜しけりゃまずセルフ」って言葉が思い浮かんで、シュリンゲを繋ぎ合わせて彼らの支点でセルフをとらせてもらう。
高度感が最高!  ここで待ち時間が結構あったので景色を堪能する。3人パーティの前を行く荻ちゃんチームが快調に登っているのが見える。いや~、本当に素晴らしい眺めに大感激!マッチ箱の懸垂を終えて5P目はタケちゃんリード。以降、特に厳しいところもなく快適なクライミングを楽しめた。最後のピッチを登っている途中でだんだん暗くなり、セカンドのタケチャンが登ってくる時には要ヘッデンの暗さになっていた。
 薄暗くなった終了点に着くとドット疲れが出てきた。そういえばトイレも行かず、行動食もほとんど食べずここまでよく頑張ったなぁ。登攀具をしまい、行動食を食べていると空には星がでていた。もう真っ暗・・・。そしてバテバテだ。ここから肩の小屋までが私にはクライミングより辛い核心となった。アルパインはクライミングの技術も大事だけど、体力を鍛えとかないとねって言われてたっけ (~_~;)。やっとの思いで北岳山頂に到着。初めての北岳山頂は月明かりに照らされて何とも言えずロマンチックだった。小休止をした後はひたすら肩の小屋目指して下ると、小屋の明かりと『も~と~』とコールが。思わず目が潤んでしまった。『もうとう』は三峰のコール。暗くなった登山道をヘトヘトになって下ってる自分を仲間が呼んでくれてるって本当に嬉しかった。結局肩の小屋に着いたのが夜の9時。もちろん食事もなく、行動食の残りとビールで乾杯して興奮冷めやらぬまま床についた。
 翌日も快晴!景色を楽しみながら草すべり経由で下山、ゆっくり温泉にはいって無事帰宅した。念願だった4尾根はみんなのおかげでビバークすることもなく、クライミングを楽しむことができました。ありがとう!

可憐なキタダケソウ

トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ328号目次