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楢俣川本流
金子 隆雄

山行日 2008年7月26日~28日
メンバー (L)金子、飯塚、土肥、天城、成田、深谷

 東所沢駅に集合し、その夜は土合駅にて仮眠して翌朝目的地に向かう。湯の小屋温泉から奈良俣ダムへの道へ入り、キャンプ場への分岐まで来るとそこには一昨年にはなかった新しいゲートができていた。ゲート前で出発準備をしている最中に雨が降り出し、こりゃ温泉に入って帰ることになるのかなと思っているうちに止んだので予定通り出発する。
新しくできていたゲート  このゲートからは上り坂の舗装路をかなり歩くことになる。坂を上り切った所の以前からのゲートからは長い下りの舗装路が続き、舗装が尽きて分岐を左にとるとやがて湖岸の道になる。狩小屋沢が近づき林道に広場が現れると左に本流へ続く踏み跡が出てきたのでこれを辿る。直ぐに狩小屋沢を渡るのでそこで靴を履き替えてなおも踏み跡を辿るとわずかで本流へ降り立つことができた。
 楢俣川の本流は川幅も広くゆったりと流れている。直ぐに矢種沢が右岸より出合ってくる。時々出てくる小滝はナメ状で難なく越えて行くことができる。癒し系の沢を感じながら溯行していくとやがてマス止め滝と思われる7m程の滝がでてくる。これも難しいものではなく簡単に越えて行く。
マス止め滝にて  左岸より出合う深沢を過ぎてしばらくで日崎沢が同じく左岸より出合う。この出合いに掛かる滝はちょっと厄介そうなので左岸より巻いた。ここも登ろうと思えば日崎沢に掛かる滝がホールドも豊富そうなので登れそうだったがフィックスロープがあったのでこれを使って簡単に捲いてしまった。その少し先で今日の行動は終了。殆ど溯行していないが林道歩きが長くて疲れたね、明日頑張ればいいやといつもの調子で右岸の適当な場所にタープを張る。
 盛大な焚き火ができる広い場所がなくてしょぼい焚き火しかできなかったのが残念だった。今日の天気は出発前に降られただけでなんとか一日持ち堪えてくれた。
 翌27日はまずまずの天気で稜線まで往復の予定で出発する。沢は相変わらず癒し系で厳しさは微塵もない。順調に溯行を続けているといつのまにかオミキスズ沢出合いまで来ていた。えっ、もうと思ったが出合いに特徴のある大岩があるので間違いなさそうだ。
 ここで天城さんが幕場に戻ることになった。渓流シューズのフェルトが磨り減っていて滑ってまともに歩けないとのことだ。土肥さんも一緒に戻ることになり、残った4人で先へ向かうことになった。オミキスズ沢出合いより先は沢幅が少し狭くなってくる。小滝を越えるとその先には有難くないスノーブリッジが現れる。結構厚みもあり出口も見えていたので下を走り抜けたが気持ちのいいものではない。
手強そうな雪渓のお出ましだ  スノーブリッジを抜けた先にも雪渓があり中を見ても出口は見えない。上に上がろうにも取り付けない。さてどうしたもんだろうかと、もう一度中を覗いてみると明かりが見える。右岸から流入する枝沢の滝が見える。雪渓の中に入ってこの滝を登れば雪渓の上に出られそうだが止めておくことにする。頑張ってこの雪渓を突破して稜線に立てたとしてもまた同じ所を下降してこなければならない。それは多分午後になるだろう、気温が上がる午後に雪渓を降りてくるのは気が進まない、危険だ。今回は諦めて戻ることにする。先程のスノーブリッジを再び潜り抜けてオミキスズ沢出合いを過ぎて少し行くと土肥さんが一人岩に腰掛けおにぎりを食べている。釣りのために枝沢に入った天城さんを待っているのだとのことだ。
 まだ帰ってきそうにないので私も途中で釣りでもしようと思い先に下ることにする。この頃から雷鳴が響くようになるが直ぐに降るような気配はない。南沢に入って釣りをしてみるがまったくダメなので幕場へ戻ることにする。
 今日は時間があったら幕場をもっと広くて快適な場所へ移そうということになっていたので、朝来るときに目をつけていた場所に荷物を置いて幕場に戻ると既に全員が戻っていた。先に戻っていたメンバー間では移動する幕場は私が荷物を置いてきた場所ではなくて違う場所にすることで話がまとまっていた。えー、勝手に決めんなよ、でも多勢に無勢、まあいいか。幕場を撤収して下流に釣りに出かけた天城さんの荷物だけを残して移動する。移動先は初日の幕場から10分程上流の右岸でかなり広くて快適そうだ。盛大な焚き火もできそうだ。タープを張り終え、私はここから更に上流へ10分程の所へ置いてきた自分の荷物の回収に向かう。荷物を置いた場所へ着くと同時に雨が降り出してきた。急いで戻りなんとかずぶ濡れになる前に幕場に着いたが天城さんはまだ帰っていなかった。幕場を撤収してしまったので荷物を置いてある場所が判らなくなったのでないかと心配したが、果たしてその通りであったようだ。
 雨は激しさを増し本格的な雷雨となってきた。盛大な焚き火ができると思っていたのに焚き火どころかタープの下から出ることさえできない。雨は午後7時頃まで降り続き、流れは濁流となり50cm位は水位が上がっている。このまま水が引かないようなら明日の下降は厳しくなる。下山できない可能性もある。心配そうな顔をしているのは男どもだけで女性たちは明後日仕事休めるかもなどと何だか楽しそうだ。
 28日、女性たちの期待を裏切るように朝になると減水して10cm程の増水までになっており下降に問題ない状態になっていた。問題なく下降を続け、林道へ上がる場所が判るかなと心配したが天城さんが赤布を付けておいてくれたので見落とすこともなく林道へ上がることができた。
 後は長い林道をテクテク、ゲート前の上り坂がやけに長く感じた。
 下山後、風呂で新聞を読むと東黒沢やナルミズ沢で増水による事故があったと知り驚く。我々のことを心配してくれた人もいたことだろうと思うと慎重な行動を心がけなければとあらためて感じた。


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