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北秋川・惣角沢
鈴木 章子

山行日 2008年7月6日
メンバー (L)鈴木(章)、飯塚、渡辺、平林、山口、菅原夫妻、斎藤(吉)、前野、森田(純)

 当初予定していたクドレ沢左俣を、参加者の多さと、自分の技量の無さで、急遽変更。武蔵五日市駅から5名ずつに分かれ出合までタクシーで。タクシー会社の違いのせいだろうか、先発隊のタクシー代は¥6,200。私の乗った(京王タクシー)は¥6,650。この差は何?
 私の資料は何時も古い?今回も13年前。スタートラインから様子が変わっていた。観光用か『雨乞滝の見学コース』の立て看板。整備された登山道とトイレ。舗装道の上で沢の身支度。全て私にとって初めての体験。
 菅原さんに先頭をお願いして、準備できた者から沢に入る。『ンー』一人(斎藤)、沢靴とザック以外何も身に付けていない。せめて、ウエストベルトでも・・・。聞いてみれば沢登りは初めて。本人曰く、
「靴さえあればOK?では?」やはり、この沢に変更して良かった。
 本日、この沢で遊ばせて貰うのは、私たちのみらしい。私たちのスピードでいけることは嬉しいが、スタートから『蜘蛛の巣』の総攻撃。先頭を行く者が、何となく怯みがち。ガンバレ、ガンバレと後から。
 入渓してからすぐのゴルジュ帯は、全員右岸に作られた立派な登山道へ流れてしまった。登山道は高度をドンドン上げていくので再度の入渓に苦戦。後で思えば、ここが本日の核心部でした。
 ゴルジュ帯を過ぎると間もなく右側から流れ込む大きな沢、下の二俣だろう。大きな滝もあるわけではなく、平凡な沢だが、季節がら水量は多い。積極的に小滝に向かう人もあれば、極力濡れない努力をする人、気がつけば水の中で転んで入る人、全員技量が高いのか、面白いのか知らないが、休む間もなくドンドン登っていく。足慣らしには手頃な沢。しかし、彼らには物足りなかったかな?
 地図にもある上部の二俣から遡行図には、ワサビ田跡になっているが、よく手入れされたワサビ田が続く。しかし、どのワサビの葉も穴だらけ。今年は悪天候で雹がよく降る。雹で葉に穴が空いたのだろうか。品質は変わらないと思うけれど、見た目には美しくなかった。自然の力に文句は言えないが、もう少し、美しくは出来ないのかな。
 ワサビ田を過ぎて堰堤を乗越すと、食器等が散乱した小屋跡らしき処に出た。そこから沢も後半になる。30分も歩くともう伏流。落石に気を使いながら谷の中を行く。間もなく、水線のある沢が右側に。私たちはそのまま涸れ沢(本流らしい)を登っていく。
 沢から離れ、急登を詰めていくと、突然、5メートルほどの大岩の下から水が湧き出ていた。遡行図通りだ。『惣角沢の一滴』。全員で順番に水を飲み、顔を洗った。奪い合いも出そうなほど美味しい。しかしそこには、休める場所がない。後ろ髪引かれる思いで、そのまま登山道を目指した。が、足場はぬかるみ、頼りにする藪もなく苦戦する人がいた。40分ほどで登山道に到着。
 下山道は惣岳山からシダクラ尾根と考えていたが、目の前に境橋方面の指導標。誰もシダクラ尾根とは言わない。そればかりか、『たとえ1センチでも登るのはイヤ!』という雰囲気。夕立の来そうな空。靴を履き替え、大休止をしてから、境橋方面の指導標に従った。50分ほどで林道。林道に出て間もなく空からポツリ、ポツリ。幸い大降りにはならなかった。
 バス停には、既に数人待っていた。後5分でバスが来るとのこと。遅れている人たちを大声で呼び、間に合った。
 奥多摩駅で菅原さん夫妻と別れ、全員、風呂に入って帰宅となった。
 しかし、駅前で、男性が、チビの私を囲み、『風呂に行く?行かない?』を言い合っている姿。想像してみてください(私は、チョッピリ怖かった)。
 今回の沢のメインは『最後の湧き水』ではなかったのでは。それは一見する価値はある。シーズン前、足慣らしに出かけるには、手頃な沢ではないだろうか。

〈コースタイム〉
7月6日 晴時々曇り 午後夕立
沢又(出合)(09:15) → ゴルジュ帯を過ぎた二俣(09:50) → 上部二俣(10:55~11:10) → 小屋跡 → 伏流(12:20) → 源泉(12:50) → 登山道(13:30~14:00) → 林道 → 境橋バス停(15:40)


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