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奥多摩・鷹ノ巣山
鈴木 章子

山行日 2008年6月28日~29日
メンバー (L)鈴木(章)、中澤、川崎、森田(純)、澁谷、前野、斉藤(弓)、(若沢)

 以前から気になってはいるものの、なかなか行く機会に恵まれない尾根。この時期に藪ルート?藪は年中あるものと割り切って例会に。1日で行くにはきついし、2日で行くには余る。私にしてはのんびりコース。更に、鷹ノ巣避難小屋泊まり。何と豪華な!
 参加者はいつものメンバーだけと思っていたが、川崎さんと前野さんを除けばニューフェイス?しかも8名の団体?なぜか中澤さんも?最近の例会はどれも大人数。リーダーの負担が気の毒。
 奥多摩駅8:35東日原行きバス停集合。相も変わらず奥多摩の駅は人でゴチャゴチャ。集合時間に構わず、早く来たメンバーは臨時バスに乗って、東日原で他の人を待つことにした。東日原で待っていると、バス会社の人が言うには、「本日の東日原行臨時バスは3台」とか。「予備のバスが無くて大変なんだ」とも。バスから下りてくるのは80%が中高年。
 取付きは稲村尾根登山道から。稲村橋を渡り、登山道を15分位登り枝尾根に取付く。急登で足場が悪く、登山道を行く人への落石に気を使いながらの登り。鬱蒼とした杉林の中、斜度が緩くなった辺りにお墓が3つ、かつての生活道らしき道も。全員汗だく、一休みをした。
 その後は、踏み跡を辿りながら登っていくと、15分位で巳ノ戸尾根上に。尾根上は下草も笹薮も無く、雑木林。傾斜もほど好く、時折風もあり、快適な登りとなった。ただ、冬枯れなら展望もあったろうに残念。
 少しずつ登っていくと、尾根は段々岩っぽくなる。展望の良い痩せた岩尾根を乗越すと間もなく八丁山。この辺りから遅れる人が出だし列も長くなる。山頂で全員揃うまで大休止。日原の集落から見上げる巳ノ戸尾根~八丁山は壁のように見えるが、歩いてみると思いの外ゆったりしている。
賑やかな八丁山  八丁山から90度左に方向を変え鷹ノ巣尾根へ。踏み後もしっかりしていて迷うこともないので、私は最後尾を行く。後から見ていると、小屋泊なのに、全員何て大きな荷物。パッキングのチェックもしたくなるのをグッと我慢。最後尾を付いていく。
 1338Pを過ぎると尾根は背丈を越す笹薮に変化。しかし、笹の世代交代か、ヒルメシクイ(登山道合流点)まで、枯れた笹の中を歩く。藪漕ぎ無しに感謝。
 途中、鞘口ノクビレで朽ちた指導標と遭難碑をみる。今は廃道になっている巳ノ戸登山道。遭難事故も数件聞く。何が原因かは判らないが、私には一度は歩いてみたい道。しっかりチェック。
 その後も、弓さんのスピードが上がらない。他の人たちに、先に山頂まで行ってもらいゆっくりゆっくり進む。お陰で、私にとっては良い地図勉強となった。彼女は山が好きだから、もう少しチェックを入れれば素晴らしい山ヤになるだろう。しかし、私のシゴキはキツイからー?
 15:30 霧の中の山頂へ バテバテの弓さんも到着。全員で「お疲れ様」「有難う御座いました」と、握手。『この短い言葉のためにこれまでの長いアプローチがある』何かの本で読んだことがある。私の好きな言葉だ。今日の弓さんには光る言葉かもしれない。明日のゴールでも、同じ言葉が交わせることを願いたい。本日は本当にお疲れ様でした。
 記念撮影を1枚。山頂からの展望は霧で無理だったが、全員軽い足取りで小屋を目指し下って行った。
皆様お疲れ様でした!鷹ノ巣山にて  小屋に着くと全員で、まずは水場に。何度も小屋にお世話になっている私と川崎さんにとっては懐かしくありがたい所だ。水を汲み、顔を洗い、今日1日の仕事?に感謝。
 本日の宿泊客は男女1組と我々8名。小屋内は我々が占領?小屋の中で夕飯の準備をしていると、「鹿が来た」と澁谷さん。私以外は、全員外に出て行った。
 「たくさんの鹿が土を舐めているよ」と報告。「きっと、塩を舐めているんじゃない」と私。外に出ると、鹿が同じ所で土を舐めていた。「あの辺りが、○○○の場所よ、きっと」
「そうね、きっと・・・」何だか変な会話。が、全員、納得した様子。
鹿さん!どうして土を舐めてるの?  今夜の食事は、米以外は個人装備。暗くなった小屋の中、何だか色んな物が出てくる。8(人)種類のメニューだ。特に私が持参した「ほうば味噌」は、小屋の中を煙と臭いで包んでしまった。
鷹ノ巣山避難小屋 8種の宴  明日の朝は6時起床を伝え、21時に私は横になってしまった。「こんなに早く寝れないよー」と言いながらも、なぜかイビキが聞える。そして、我々が静かになるのを待つように2人組みも小屋に入ってきた。雨はまだまだのようだ。
 翌朝、雨垂れの音で目がさめる。予報通りだ。6時起床、予定通り8時出発。なんて遅い朝なんだろう。時にはこんな山も良いねー。雨降りなので、鷹ノ巣山頂を避け、巻き道から石尾根へ。2時間ほどで三ノ木戸山。巻き道が三ノ木戸山登りと合流する所が、十二天山への取付き。テープもあり、道形もあり判りやすい。何となく踏み後を辿ると、東京農大の演習林。杭とか、百葉箱が目に入る。1時間ほどで不老林道に出る。ここで、前半は消化。林道から少し離れた尾根に十二天社の石詞と東屋があり静かな所だ。林道でしばらく休み、難路の後半に。
 林道を70メートルほど歩き、ガードレールを跨いで、「絶対道ではない!」と言われそうな、杉の潅木材がビッシリ横たわる、急下降の尾根を下る。全員よく転んでいた。雨を気にしている状態ではないようだ。脚力が弱いのか、重心が高いのか。8人も歩けば道はドロンコ状態。それでも、1時間位戦うと慣れか、疲れか、段々、声も聞えなくなった。傾斜が緩むと尾根が二俣に分かれた。傾斜が緩そうに見える左側の尾根に向かうと、作業小屋を確認。小屋の脇の作業道を辿ると目的の日野明神社の脇に出た。
 全員、それは、それは、見事なドロンコ。これでは何処にも行けない。そんな我々を気の毒に思ったのか、神社の隣のおばあちゃんが、水道水とタワシを提供してくれた。全員浴びるように雨具と靴を洗った。我々を洗った濁流が、車道を勢いよく流れていく。おばあちゃんに、感謝の気持ちを置いて、一路、我々はお風呂を目指した。
 日原街道を歩く頃には、雨はすっかり上がり、木々の緑と、谷間に残る霧が、仕事?を終えた我々の心に清々しさを増してくれた。
 下山に選んだ尾根は、十二天尾根と呼ぶらしいが、私は「箭内の『止めてください尾根』」と呼びたい。その訳は、今年2月に、藤井さん、箭内さん、峯川さんと私の4人で、奥多摩・狩倉山に行ったときに下山予定だった尾根。当日は、奥多摩には珍しく豪雪?で、山ノ神尾根からワカンを履いてラッセル。狩倉山に立った時は、全員バテバテ。相談をすること無く、全員で石尾根を下ることにしたが、せめて取り付きくらい確認しようと私が地図を広げたとたん、箭内さんから「止めてください!」の、一言。その声の大きかったこと、3人で吹きだしてしまった思い出のある尾根だから。

〈コースタイム〉
6月28日 奥多摩駅 → 東日原(9:10) → 稲村尾根から巳ノ戸尾根取付 → 墓地(9:50) → 巳ノ戸尾根上(10:15) → 991P手前(10:45) → 八丁山(11:55~12:20) → 1338P(13:15) → 鞘口ノクビレ(13:20) → ヒルメシクイ(14:35) → 鷹ノ巣山山頂(15:30~15:35) → 鷹ノ巣小屋(15:50)
6月29日 鷹ノ巣小屋(8:00) → 城山(8:55) → 三ノ木戸山(石尾根)分岐 → 十二天山(10:35) → 不老林道(11:20~11:45) → 下降点(11:50) → 日野明神社 → 奥多摩駅(13:40)

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