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雪上訓練・富士山
紺野 康則
山行日 2008年12月13日
メンバー (L)紺野、小幡、竹内、高木、深谷、宮野、若沢、斎藤(吉)、森田(純)、箭内、前野、大田、成田、橋岡、小山、藤井、金子

 金曜夜車5台で、新宿、巣鴨、国立などに集まり談合坂集合とした。夜半、中の茶屋到着。すでによそのテントが2張りはってあったが、ここはよいテン場であったので、ここで仮眠することにした。
 翌朝6時起床、8時ごろ馬返し到着。17人分の共同装備テント、食糧、コッヘルやら、ザイルなどなど、相当な荷物である。分担後、五合目にむけて出発。ずっしりと重くなったザックにあえぎながら、皆もくもく歩く。3合目あたりから凍った登山道となり、若沢さんが何度か転倒したので、アイゼンを装着した。何年か前に使ったことがあるということだったが、留め金の位置が短くて装着に時間がかかった。そんなことで先頭との時間差が30分ぐらい開いてしまったようだ。
 11時半ごろ五合目に到着すると小屋の前で皆さんが休憩していた。五合目は氷化して、小屋前の車道はつるつるのアイスバーンである。小屋左横にテント場がありそこに張ろうと提案するも、いつも張っている150mほど車道を行ったところで大丈夫だろうと言うことになり、若沢さんを待っている4~5人を残しそちらに移動する。テント設営の為アイゼンをはずし、雪面を整地するが、がりがりの雪面ではペグも打てず、テントは飛ばされてしまうかもしれない。このあたりは、ずっと昔テントごと飛ばされたということも聞いていたので、ここはだめだね!などと判断。(後で聞いた話だが、そんなことをしている間、竹内くんが石を拾いに車道を歩いていたとのこと。)やはり小屋横のテント場を有料だが、借りることにした。そちらに戻る途中10mほど下に立っている竹内君に声をかけると、「滑って、腰を打ちました。」と返事がきたので、「それなら、しばらくテントで休んでな」とこの時は、そんな怪我をしているとは思わなかった。小屋主に一人500円のテント料を払うと、テン場に行き、このあたりに3張りなどと段取りしていると、時間にして12時ごろ「大変です!竹内君が、歩けないようです」と誰かが言いにきたので、小屋前に行ってみると箭内さんに背負われてこちらにやってくる。怪我の具合を聞くと、左足大腿部を強打して、自力歩行不能とのこと。本人が持ってきた鎮痛剤と高木さんからもらったシップ薬を張り応急手当をする。さて、竹内君を下山させる件については、いろいろ検討したが、歩けないとの事なので、最悪骨折の疑いもある。あまり動かさないで、病院に搬送するのが良い。12時40分ごろ藤井さんの携帯で119番通報。始めのやりとりでは、五合目バス停まで救急車が入れるとの情報だったが、その後の打ち合わせで、やはりスバルライン4合目までしか車が入れないことがわかった。現在時間は13時で4合目までレスキュー用のそりで往復したとしても戻ってくるのが、18時ごろとするとかなり困難である。そこで、ヘリで下ろすことを決断する。時を同じくして、救急隊の方もヘリにて下ろしたいとの連絡があり、13:30ごろ5合目佐藤小屋到着の段取りとなった。13:45ごろヘリはやってきて、小屋上空にホバリング、隊員がロープで下降。竹内君をベルトに固定すると、あっという間に引き上げ飛び立っていってしまった。さて残った16人の内何人か竹内君のサポートに下山しなければならない。そのためには、残した車のことも考えると、竹内君の車もふくめて2台分の人数下山とか、共同装備の入れ替えなどなど、考えるといろいろ不都合がわかり、明日は天気が良くないことから、全員下山とした。16時過ぎに馬返し到着。渋滞の中、富士吉田市立病院に皆で到着。竹内君に会うことができた。
 病院では、レントゲン撮影し左大腿部骨折と診断。臨時の先生しかおらず詳しいことは、わからない状態であった。松葉杖にて歩行可能なので、東京に帰ってOKとのこと。竹内君の希望で、金子さんが竹内君の家まで送っていくことになった。残ったメンバーで中の茶屋まで戻り 残った食糧を皆でたべた。夜半から雨になり、明け方雪となった。中の茶屋で各々の車に分乗し、解散とした。その後竹内君は、都内の病院に入院し、大腿部に10cm以上のボルトをいれることとなったが、驚異的な回復をみせて、すでに軽いハイキングなら行けるようになった。
 リーダーの適切なテン場決定への遅れと、個人個人の行動の重さを、考えさられる山行となった。皆さんごくろうさまでした。

〈コースタイム〉
12月13日
馬返し(08:45) → 五合目(11:30) → 事故発生(11:50頃) → ヘリ収容(13:45) → 下山(14:00) → 馬返し(16:10)


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