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西上州 鹿岳、ゴシュウ山、物語山
飯塚 陽子

山行日 2008年11月22日~23日
メンバー (L)鈴木(章)、藤井、成田、飯塚

 当初は箭内さんの例会山行であったが、箭内さんの都合が悪くなってしまったため、代わりにあっこさんがリーダーを引き受けてくれて、この例会は無事に遂行されることになったのである。
 11/22 朝から快晴の高崎駅に、三峰の藪好きなメンバー達(一部の人は?)が、続々と集合する。高崎駅から上信電鉄に乗車し、かなり古い車体と思われる車両の電車に揺られながら、終点の下仁田駅に到着。そこからはタクシーで登山口の宮室に入る。
 晩秋の風情に染められた集落を通過し、登山道に分け入って行く。途中、第1鍾乳洞~第3鍾乳洞の立看板があり、第1と第3は、ロープで岩場を登らなければならない所にあるらしいので、それはパスし、我々は第2鍾乳洞を探検することにした。と言っても、入口を入り、すぐに少し上段につながっている所を覗いて見たが、懐電を点けていても真っ暗で先の様子がわからず、また地面もヌルヌルしていて気持ち悪いので、早々に退散。一寸先も見えない真っ暗闇の奥は、とても不気味で、こういう探検が好きな人の気持ちが知れないねーと皆で話す。まあ、山を登る人の気持ちが知れないとも、世間ではよく言われているようですが・・・。
 さて、道は四ツ又山までかなり急登な道となってくる。たっぷりの落ち葉の非常に登りづらい道を、時々ずりずり滑りながら落ち葉のラッセルをしながら登って行く。四ツ又山からは、鹿の角のようなまさしくその名も鹿岳(かなだけ)の岩峰が奇妙な形で聳え立っているのがよく見える。こちら側から見ると、鹿の角の岩峰は両方ともかなりの断崖絶壁になっていて、なかなか登りがいがありそうである。
 実際鹿岳への登りは、鎖場あり梯子あり、足元は切れ落ちている箇所もあり・・・と、なかなかシビアな道であったが、この山には、若干足元のおぼつかない70代位のご夫婦の登山者を何組かお見かけし、皆さん何のためにこの鹿岳まで登ってきているのか、とても不思議であった(ただの山好きとは思えないのだが・・・?!)まず、鞍部から一の岳をピストンしたのだが、狭い山頂からは上州の山々が一望できて、無風快晴の中、暫し上州の山々の特徴ある形の眺望を楽しんだ。そして再び鞍部まで下りて、登山道へ続く二の岳を登り、あとは本日の幕場予定の木々岩峠を目指すことにした。
シビアな道なき道を  藤井さんの巧みなリードで前進し、木々岩峠と思われる場所に到着。ところが、2万5千地図では木々岩峠と記されていたこの場所は誤記であり、ここは下高原へ続く道との分岐であった。この分岐にあった、木々岩峠への道が不明瞭であるがために?割られていた指導標を、なんとかつなぎ合わせるのに成功した我々は、割られていた指導標が指す踏み跡が、木々岩峠へと続く道だということを確認できたのである。この日はこの分岐から少し下がった、広い快適なスペースに幕を張った。
 明日登る予定の物語山についての名前の由来等を語り合いながら、誰からともなくイルカの『雨物語』の歌を歌いだす・・・。しかし今宵は、この歌を一番良く知っているあっこさんの独唱が、静かな夜にしんみりと響いていた・・・。
 11/23 翌日も快晴。明るくなって出発する頃に気付いたのだが、テントの周りには、乾燥した熊のウ○○がたくさんころがっていて、この快適なスペースは熊も溜まり場として利用しているらしい。やっぱり快適な場所は、人間も熊も一緒なんだねっと、余裕な?会話をしながら、今日も元気に出発した。
 割れた指導標が指す踏み跡を登って行くと、すぐに道は不明瞭となり、またエアリアマップに記されている1本岩の位置もおかしいなど言いながら、皆で行きつ戻りつ道を探しながら進んでいく。藪を漕いだり、嫌なトラバース道を辿ったりと、どうにかこうにか2万5千の地図には記されていない舗装された林道上に降り立つ。どうやら下からの林道が新しく延びているようだったが、結局この降り立ったところが、木々岩峠ではないのか?!との皆の結論であった。
 ここからは、ゴシュウ山への踏み跡を探しながらの登りとなり、ここも結構な急登の道を、時には岩を這いつくばるように登り、無風快晴の暑さの中、汗をかきかき山頂に到着。山頂には可愛らしい石仏が鎮座していた。
山頂の石仏と  ここで、トヤ山方面へ向かうというパーティーと一緒になったのだが、ゴシュウ山からすぐ先に派生している尾根伝いについていたピンクのテープに誘われて、危うく馬居沢方面へ下りていきそうになった我々を、呼び戻してくれたのである。(感謝!)この周辺は下の集落へ続く道が何本かあるようで、そちら方面にはテープがたくさんついているので、惑わされないように注意したい。この先も、尾根の分岐で藪の薄い方面へ危うく降りそうになったり、あまりにも多かった熊の乾燥したウ○○のオブジェに感動しつつも、どれだけの熊がこの山域に生息しているのかと不安になったり・・・と、それでもどうにかトヤ山と物語山の分岐に到着。あとはこの縦走のメインの山、『物語山』を目指すのみ!
 気合を入れて勢いよくまずは尾根を下りだしたのだが、途中、一番後ろを歩いていたあっこさんが、「降りすぎだよ!右にトラバースルートあり!」との警告を発してくれた。さすが、藪山リーダーのあっこさんです。このまま勢いよく下りてしまったら、間違いに気付いた時にはどれだけ登り返さなければならなかったことか・・・。下りこそ、ルート確認を怠らないようにしなければ!
 わかりにくいトラバースルートに方向修正し進みだしたが、左下はツルツルのスラブになっていて、もちろん落ちたら止まらないだろうし、このトラバース道も道幅が狭い上に落ち葉がたくさん積もっている。滑らないようにしながら歩いてはいるのだが、落ち葉の下に隠れてしまった石や木の根に靴が当たると、足元はズリズリと滑っていくし、ここは結構怖かった。それなのに、三峰最強シニアの藤井さんは、駆けるように下りていく。
 そんな冷や汗もののトラバース道を繰り返し繰り返しトラバースしながら歩き、そしてだんだんと尾根がゆるやかになり、尾根上を快適に歩けるようになると・・・そこは物語山の山頂だった!藪こぎ&降り積もった落ち葉の登山道を、ガサガサとよくここまで歩いてきました!
 そして、なんと山頂には、内藤さんご夫妻が我々を待っていてくれたのであった。三峰のHPであっこさんLの登山届けを見て、物語山に登ってきてくれたとのこと。温かいコーヒー等でもてなして下さり、ありがとうございました!
 山頂からは、青い空に映えた晩秋の紅葉の妙義山や、雪を被った浅間山などの山岳パノラマが広がり、気持ち良い景色を十分に堪能した。妙義山を見ながら、地図上のルートと照らし合わせ、今度はあの道なき藪ルートを登ろう!などと言い合う、疲れ知らずの懲りないメンバー達である。
物語山山頂  道なき道をこうして地図を見ながら歩いてきて、やはり目的地に到着できるのは本当に嬉しいし、充実感で一杯になる。今までは、あまり好き好んで藪山には足が向かなかったが、この上州の山域の山はやはり面白いし、また是非訪れたいと思った。
 下山は内藤さんご夫妻も一緒に、途中にある物語山の西峰のピストンもしつつ、駐車場に下山した。そこから、内藤さんの車で「荒船の湯」まで乗せてもらい、気持ちよく汗を流した。そして、我々はタクシーで下仁田駅に戻り、駅近くの「きよしや」で打ち上げを行った。トンカツがメインのお店だそうだが、ここの名物!『きよしやラーメン』なるものがお勧めです。それは、ラーメンの上にトンカツが乗っているボリューム満点の内容で、山から下山後に食べるメニューとしてはピッタリ。そして味も良しです☆☆☆大満足の後、再び上信電鉄に揺られ、高崎駅でJRに乗り継ぎ、帰京した。
みなさん、お疲れ様でした。

〈コースタイム〉
11月22日 宮室(09:40) → 第二鍾乳洞(10:20~10:40) → 大天狗の鞍部(11:00~20) → 四ッ又山(12:00~20) → マメガタ峠(12:40) → 鹿岳鞍部(13:30) → 一の岳ピストン → 鹿岳鞍部(14:00) → 二の岳(14:20) → 下高原分岐幕営(15:35)
11月23日 下高原分岐(06:05) → 林道【木々岩峠?】(07:10) → ゴシュウ山(07:50~08:20) → 993P(09:55~10:15) → 稜線合流(10:40) → P2(12:25) → 物語山(13:30~14:00) → 鞍部(14:15) → 西峰【ピストン】(14:20) → 鞍部(14:30) → 林道(15:00) → 駐車場(15:20) → 荒船の湯

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