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集中山行・尾瀬沼
その2 鬼怒沼から尾瀬沼
森田 純子

山行日 2008年11月1日~3日
メンバー (L)森田(温)、森田(純)

 『・・・ほんの一刷毛雪をつけた月夜の池溏塘は、この世ともおもえない美しさだ。秋の空は澄みきって一筋の雲もない。風も全く眠っている。沈黙した天地にはさまれて、二人ともただ茫然としばらく立ち止まっていた。・・・』(辻まこと:「鬼怒沼山」より)
 半世紀以上も前に、辻まことが飲み仲間のハロルド君とむささび撃ちで、鬼怒沼山に入り、遭遇した情景です。
 まさに、今回の鬼怒沼はこうだったのです!
《11月1日》
 浅草発7:10の東武電車で鬼怒川温泉へ。東京からここまで、青空のお天気だったのに、鬼怒川温泉の駅前から北の空を見上げると、灰色の厚い雲がいっぱい。風もあります。「あれっ、雨?」と思ったら、風花でした。
 10:15発、女夫渕淵温泉行きのバスは、マイクロバスになっていて、シーズンで満席。乗り切れない人たちは次のバスまで30分待ちとなりました。
 12時過ぎに、予定より遅れて着いた女夫渕淵温泉はにぎやかで、しかも雨が降っていました。鬼怒沼の小屋まで4時間20分のコースですが、暗くなる前に着きたいと身支度を整えていると、ムム・・・我らの前にタクシーが。しかも、空車の表示。そして、運転手さんと目が合ってしまったのです。加仁湯まで3000円で行くとのこと。ちょっと迷って、即決。これで1時間、行程を短縮できました。
 登山口は加仁湯からもう少し入った日光沢温泉の小屋にあります。10年以上も前に泊ったことのあるこの小屋は、昔のままのたたずまいでした。
白根を背に出発準備  雨もあがり、ここで水を補給し(明日のコース上に水場はありますが、念のため多めに補給)、13:15に出発。1時間ほどの急登がすぎる頃、辺りは雪化粧・・・。15:30には鬼怒沼に着きました。行く手に燧ヶ岳、振り向けば日光白根山、ここは静かな鬼怒沼・・・。しばし、どっぷりと浸りました。
 宿泊の避難小屋は監視小屋と表示されていて、中はコンクリートの土間の真ん中に炉がきってあり、壁に沿ってコの字にベンチがついています。壁に大きさ畳1枚ほどのベニヤ板が3枚立てかけてあり、これを敷いて寝るようです。火を焚こうと奮闘したのですが、残念ながら煙たいだけになり断念。そして・・・夜の鬼怒沼は冒頭の引用を参照してください!

《11月2日》
 朝、6:20小屋を出発。本日が核心です。雪が積もっているので、踏み跡がわかるだろうか・・・ちょっと心配でした。物見山への道を左に分けると、案の定、まだ誰も歩いていません。が、うさぎの足跡が!そのあとをたどり、鬼怒沼山へ向かいました。縦走路は頂上を巻いているのですが、ここは<岩つばめ>の原稿もあることだし、よじ登ってピークハント(7:05)。
鬼怒沼山山頂  縦走路に戻ると、そこからは頼りにしていたうさぎの足跡はなくなっていましたが、たまに見つける赤テープを確認しながら黒岩山へ。雪をかぶった樹林帯は、木々の間から真っ青な空がのぞき、日光が差し込んでキラキラときれい!田代山への分岐に着いたのが、10:25。この稜線をたどると、黒岩山頂上をへて田代山へ・・・。いつか歩きたいなあ。
 まだ先は長い、と気を引き締めたところで、こちらへ向かってくる男性二人連れに会いました。今朝、尾瀬沼の長蔵小屋から来たそうです。これから先は、彼らのトレースがあると一安心。順調に先へと進み、赤安清水12:30、集合場所の尾瀬沼キャンプ場着は、15:20でした。
 そして、そこには1張の黄色いテント、そばにまあるい背中が・・・。MIさんが一番乗りですでに夕食?一杯?の準備中でした。
 ところで、この集中にYAさんが大根を担ぎ、私たちが鬼怒沼を出発した同じ頃に、大清水を出発、物見山~鬼怒沼山~尾瀬と縦走して合流したのです。私たちの行程プラス4時間分くらいあるのです。本当に三峰の先輩はすごいです。
 夜は、この大根をAっ子さんがふろふき大根に仕上げ、それをつまみにメインテントで宴会でした。
《11月3日》
 最終日は、私たち鬼怒沼組は予定を切り上げ、そのまま大清水に下山することになり、湯の小屋コース組の2二人と一緒にYAさんの車で花咲温泉に立ち寄り、新そばを食し、沼田駅まで送ってもらいました。
 ちなみに、辻まことのこの時のむささび撃ちのコースは、夕方5時に手白沢の小屋を出て、鬼怒沼山~黒岩山~孫兵ヱ山に10時、夜食をとって、手白沢の小屋に戻るというものでした。


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