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天狗岳西尾根~天狗岳
斎藤 吉夫

山行日 2009年2月7日~8日
メンバー (L)飯塚、紺野、大田、森田(純)、森田(温)、成田、小堀、高木、渡辺、小幡、深谷、斎藤(吉)

 2月6日(金)午後11時、新宿駅西口スバルビル前に集合の後、車3台で出発。途中、双葉サービスエリアで仮眠を取り、渋の湯の駐車場に着いたのは、翌7日(土)午前8時頃だった。駐車場で共同装備を分け、出発した。雲一つ無い最高の天気で実に気持ちがいい。登山口は車道を少し下ったところにあるはずだが、少し行き過ぎてしまった。ようやく登山道を示しているらしい木の板を見つけて山の斜面に入り込んだ。踏みあとはないが、ラッセルというほどでもない。雪も少なく予想していたよりも歩きやすい。概ね緩やかな斜面を南下すること約40分で最初の分岐に着いた。黒百合平へ続く道を左に別け、唐沢鉱泉へ向かう道を行く。これまでだいたい200m程登ってきたのだが、また、そのまま200mほどジグザグに下る。約25分で唐沢鉱泉に着いた。冬季は閉鎖しているらしく、ひっそりとしていたが、なかなか良さそうな所だ。
 沢に懸かる橋を渡り、今度は、西尾根を目指す。西尾根への道は徐々に斜度を増し、トップを交代しながら進む。踏みあとらしきものもあるが、結構きつい。
唐沢鉱泉を流れる沢を渡る  道は西尾根にたどり着いても、きつい急斜面が続き、たまに下山してくる登山者と挨拶を交わしながら、約2時間半で第一展望台手前の小ピークに到着した。そこからの眺めは最高で、360度の大パノラマだ。北アルプス、南アルプス、八ヶ岳、御岳と全て見える。最高の眺めである。やっぱり山は天気しだいですね~。と、みんな満足しきった顔を見せている。
 さて、ここから先は、幕場をさがしながら尾根道を進む。地図によるとこの先にあるはずだ。30分ほどで良さそうな場所があった。まだ昼の1時半なのだが、明日早起きすればいいさ、ということになり、あっさり幕場に決まった。もう登山者は上がってこないだろうと勝手に決め込んで早速登山道にテントを3張り設営し、3時にはもう宴会が始まった。
 さて、ご存知三峰の宴会であるが、予想通り、某C明さんの独壇場である。詳細は是非ご本人にお聞きになっていただきたい。美味しいおでんとお酒と、そしてバカ話しで大変盛り上がった宴会であるが、明日が早いので7時ころにはお開きとなった。
 翌8日(日)は4時過ぎに起床し7時少し前に出発。昨日と違い、視界が数百メートルしかない。この先の尾根道は前日の偵察のときとは違い、雪が締まって、アイゼンを着けた靴には歩きやすかったが、それもトレースがある間だけだった。単独と思われる輪カンの跡が忽然と消えた。どうやら引き返したらしい。このときは私が先頭だったのだが、この先のトレースの無い尾根道が歩きにくそうに見えたので、尾根から少し左斜面を下ったところ、腰までくる雪に往生してしまった。ここで尾根上にいる皆は輪カンを装着した。私も周りを踏み固めてから輪カンを着け、苦労して再び尾根に戻った。その後は順調に進み、9時頃には西天狗岳頂上への取り付きに到着した。ここは森林限界である。少し休憩後、再度アイゼンを装着した。輪カンを着けたままアイゼンを着けている人もいたが、私は、輪カンを外すことにする。
 ここからは背の高い木は無くなり這松帯となる。そのせいか、今までは大して気にならなかった風が強く当たるようになった。手袋が湿っていたのか、グローブの中の手が急激に冷やされて猛烈に痛い。大田さんの後を、痛みと強風に耐えながら、広い急斜面をジグザグに登ると30分ほどで西天狗の頂上に着いた。残念ながらガスで視界が利かない。これが昨日ならと、残念に思いながら後続を待った。頂上で強風に耐えながら待つこと10分程で全員頂上に到着した。いつもならここで記念撮影となるところであるがそんな余裕はない。みんなさっさと下っていく。
 東天狗岳との鞍部で、千明さんが成田さんの顔を覗き込みながら何かを言っている。何かと思って私も成田さんの顔を見ると、なんと、鼻の左半分が白くなっている。凍傷になりかけているようだが、本人は全く気付いていない。すぐに目出し帽を被り事なきを得た。私の手も相変わらず痛い。我慢できないほどでもないが、ピッケルを持つ手をたまに変えながら、手を握ったり開いたりする。
西天狗からの下り  次の東天狗岳の頂上も強風が吹きつけている。後続を待つ間に記念写真を一枚だけ撮った後、逃げるように下った。途中、アンザイレンした子供を含むグループとすれ違ったが、少々心配になりながら一団を見送った。20分程で森林限界まで下りると、ようやく強風から解放された。小休止の後、黒百合ヒュッテを経由して渋の湯を目指す。途中の分岐で全員アイゼンを外した後は、転げ(文字通り転げている人も若干いたが)落ちるようなスピードで渋の湯に向かった。
 ちょうど昼頃に渋の湯に到着した。当初は帰り道の何処かの温泉に入る予定だったが、渋の湯の方が都合がいいということになり、湯に浸かってから帰路に着いた。途中、山道で車が滑り、前の車に追突しそうになり冷や汗も掻いたが、全員無事に帰ることができた。
 リーダーの飯塚さん有難うございました。そしてメンバーの皆さんお疲れ様でした。

〈コースタイム〉
2月7日(土) 渋の湯発(08:50) → 2,006m分岐(09:45) → 唐沢鉱泉(10:10) → 第一展望台【2,416m】(12:40) → 幕場【2,450m付近】(13:30)
2月8日(日) 幕場発(06:50) → 西天狗岳(09:40) → 黒百合ヒュッテ(10:30) → 渋の湯(12:00)

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