トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ330号目次

西上州・焼岩~大山
土肥 雅美

山行日 2009年4月19日
メンバー (L)土肥、飯塚、前野、小坂

 最近の西上州は秘境のイメージがだんだん薄れてきてしまったが、エアリアにコースがなく、かつ多少の記録はあるという微妙なラインで以前から気になっていた焼岩から大山へ行ってみることにした。

 前夜9時に東所沢に集合、車で天丸橋まで。すぐ近くに広い空地があるのでそこで仮眠。
 翌朝、まず林道を40分歩いて太尾トンネルを抜けるとすぐ右側に焼岩への取り付き地点がある。最初だけ石の階段が数段あるが、あとは踏み跡はなく結構急なザレた斜面を直登する。15分ほどで焼岩から北東方向へのびる尾根に出ると踏み跡があった。緩やかな尾根を行くと真正面に岩壁がある。登れなくもないな~という感じで、登りたそうなメンバーも約1名いたが、ここは安全策で右側を巻いた。尾根へ戻り、小ピークを越えてから焼岩手前の1440ピークにたどり着く。道はないが、要所要所にはテープが付いていて、だいたいそのとおり行けば迷わない。
 焼岩の頂上で一息ついた後、ここからの下りがちょっといやらしい。左からテープ頼りに下ると、途中からホールドのなさそうな急なザレ斜面にトラロープが掛かっているのだが、これにはとても体重をかける気にはなれない。右方向を探ると残置シュリンゲがあり、わたしたちもここから7mほど懸垂下降した。着地点の足元が両側切れ落ちているので慎重に。見上げると先ほどのトラロープが、急斜面の足場もないようなところで終わっているのが見えた。あっちへ行かなくてホントに良かった~(^_^;) 冷や汗ものです。
 さてさてこの前半の核心部?を終えると、急な登りで県境尾根へ出た。最高の天気で展望よし!左は大ナゲシ、赤岩岳、両神山、南に昨年の今ごろ登った南天山、その向こうにはゆるやかな台形の破風山などの奥秩父の山々が連なる。北西にはこれから登る大山がどっしりと控え、遠くに浅間山も見える。右手に帳付山が望める。機会があったらぜひ行ってみたい。風もなく暖かな1日。日帰りハイキングならではの良さだね~
県境尾根(1540ピーク)から大山  昼食後、県境尾根を西に向かう。最初は岩稜で気は抜けないがなかなか快適。そのうち背の低い笹薮に入っていくとしっかりした踏み跡が出てきた。40分ほどで大山への分岐点に着く。ここから下って登り返す道はしっかりしている。大山頂上でも大休止。お昼寝するメンバーもいた。
「いいなーいいなー!のんびりって・・・」
アカヤシオもちらほら咲き始めていて都会の喧騒とは別世界だなあ。
天気良し、展望良し、メンバー良し  さて、これからが本日後半の核心部。大山からの下りは、北東方向への尾根通しにしっかりした踏み跡をたどっていく。1400あたりで最初に左に分岐する真北方向の尾根へ入る心積りでいたところ、実際に赤テープも付いていたのでそちらに進む。テープは次々と出てくるし、方角も間違っていない。しっかし恐ろしく急斜面が続く。脆い岩、涸れた木、懸垂下降を交えてだましだまし下っていった。1150あたりで左は絶壁、正面からはかすかな沢音が聞こえるが懸垂支点もない、右は様子がわからない・・・行き詰まりかけた、と思ったら上で懸垂待ちをしていた陽子ちゃんが、おっと右手にテープ発見!いやらしげな落ち葉の下り気味のトラバースをしていくと涸れ沢に出た。(実は、その涸れ沢沿いに上部までテープが付いていた。)沢沿いにちょこっと下ると左から沢が合わさり、さらに少し下って天丸沢に出ると右手目の前が天丸橋だった。
 帰りは、車窓から奥名郷のひなびた春の景色を楽しみ、「ヴィラせせらぎ」で汗を流した。

 後日、書店で最新のエアリアマップ「西上州」を見たら、今回わたしたちが下った尾根よりもう1本下の尾根(1240あたりから分岐)上をたどり、途中から左側の沢に降りる赤い実線の新しい道ができていた。上野村で整備したのだろうか?
 今回、大山から下ったコースは、打田鍈一氏の「関越道の山」に記載されている概略図を参考にさせてもらったもので、確かにそのとおりに下ることができた。結果としてあえて大変なルートを取ったことになってしまったが、個人的にはとても楽しく、充実感いっぱいでした。メンバーのみなさま、いろいろとご協力ありがとうございました。もし懲りてなかったらまたおつき合いください。

〈コースタイム〉
天丸橋(06:35) → 取付地点(07:15~25) → 焼岩への尾根(07:40) → 焼岩手前1440P(08:15) → 焼岩(08:40) → 県境尾根(1540P)(09:45~10:20) → 大山への分岐点(11:00~15) → 大山(11:30~12:10) → 天丸橋(14:30)


トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ330号目次