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山スキー・蔵王
さとう あきら

山行日 2009年3月20日~22日
メンバー (L)佐藤、三澤、深谷、斎藤(吉)、山崎、渡辺、成田

 山スキーエリアとしては地味だが、温泉が豊富にあり、そこそこの短ルートの多い蔵王エリアの例会山行を企画してみた。ありがたい事に車2台分、7名もの参加を頂き、皆のモチベーションも過熱気味。テント泊をやめて温泉付き貸別荘泊に変更し、連夜の宴会についても万全の臨戦体制を敷いて臨んだ。
 2009年3月19日(木)夜10時半に水道橋に集合し一路北へ。安達太良SAにて山行前祝いの宴会+仮眠とする。周囲には既に雪はなく、暖かい。
 翌3月20日。初日は南蔵王の水引入道コースだ。水引入道(1656m)は蔵王噴火で出来た外輪山の小ピークのひとつで、このユニークな名前は中腹の雪形が頭巾をかぶった坊主に似ていることから付けられたそうである。
雪が切れても平気です  南蔵王白石スキー場に駐車し9時20分出発。タイミングよく雨が上がったが、風が強く、雪形はおろか山の形さえもガスで見えない。雪の切れかかった林道を20分ほどたどり、尾根に取りつく。最初はカラマツの人工林が続くが、1050m付近よりブナやミズナラの自然林となり蔵王らしい雰囲気が出始める。
 しかし1300m付近より視界が極度に悪くなり、周囲からも、もう帰ろうよぅという弱気な声が出始める。幸い数日前のツボ足トレースが所々にかすかに残っていたため、それを下りの道案内に使えると判断し何とか強風とガスの頂上着12時15分。
 下りルートを見失わないうちにと、急いでシールを外し下山開始。全員で一気に滑走すると、ルートを間違う人が出たり、もし下り過ぎた人がいればシール装着のうえ登り返しとなりすぐに30分、1時間のロスが発生する。失敗防止のため今回は山崎、斎藤、佐藤の3名がトップをローテーションしながら数十メートルずつルートを確認しながら下り、残りのメンバーにはその後ろを付いて来てもらうようにした。それでも下り過ぎがあったりと、スキーは速い事もあり、視界不良時は特にこわい。

天気が悪くても元気一杯の女子地蔵岳下のお地蔵様は雪の下

 ちなみに頂上直下の大斜面は雪質もまずまずで、皆相応に楽しめたようだ。
 中腹からは視界が改善し、樹林の中を快適に滑降。往路をそのまま戻り、14時過ぎに駐車場に戻った。
 2か月前の神楽が峰での山スキー例会では、渡辺さんは一人ヘロヘロ状態だったものの、今回は力強い安定した滑りを披露している。秘密の特訓で腕を上げたようで頼もしい。
 さあ今宵は遠刈田温泉にある貸別荘。3部屋にサンルームと台所、そして広い風呂が付いて、1人1泊3千円弱の料金だ。離れ付きの戸建て1棟貸切で、快適そのものである。しかも温泉はかけ流しの完全放流式。たっぷり出して満喫出来るので満足度が高い。混雑のうえ湯が滞留気味の共同風呂と違い、新鮮なお湯なため浴感はずっと良い。ちなみに食材は車で15分ほどの大型スーパーで調達し、飲めや歌えやの大宴会となったかどうかはご想像の通りである。

快晴の下、蔵王名物の樹氷原は楽しい  二日目は山形蔵王スキー場から蔵王ダムへ下るコースとする。これは登りわずかで、樹林の中を6km以上、標高差1100mの滑りオンリーのなかなかおいしいルートなのだ。
 まず下山地の蔵王ダムに三澤車をデポし、全員で蔵王スキー場に向かう。そして蔵王ロープウエーで頂上へ向かったのだが、連休中という事もあり混雑はなはだしい。11時半にやっと山頂駅に到着となる。さっそくスキーをかつぎ、まずは地蔵岳頂上1735mへ。本日唯一の登りはわずか10分程で終了だ。快晴の下、鳥海山や朝日、飯豊連峰など、周囲の山は一望である。

軽いクラストの快適大斜面ブナの疎林帯でのランチ

 12時滑り出し。軽いクラストでスキーがとてもよく滑り、皆からサイコーの声が聞こえる。特に地蔵岳直下の30度位の斜面は素晴らしかった。
 その後浅い沢に沿って滑降してから幅広尾根を滑ったのだが、1250m以降はブナの疎林が続き、雰囲気がとても素晴らしい。お手軽ルートなため先行者のトレースだらけではと心配していたのだが、幸いに皆無。我々だけの独占状態でちょっぴり得をしたような気がした。
 残念ながら標高900m付近のヤセ尾根から雪が途切れだし、スキーをかついで登山道を下る。15時過ぎに蔵王ダムの縁に降り立ち、デポした三澤車にさらに林道30分で到着。その後、蔵王スキー場に戻り、残置した車を回収して貸別荘に帰着となった。

前烏帽子岳の山容が美しい刈田岳山頂でお釜をバックに

 3月22日(日)は3日目のツアー最終日。まだ天気が持っていたため、今日もミニツアーに出発する。目指すは、すみかわスノーパークから宮城県側の主峰刈田岳。
 スキー場のリフトを3本乗り継ぎ、9時半歩き出し。雪上車道を途中までたどり、以降中央コースを登り、刈田岳頂上到着11時。その頃には次第に風が強まり、雨まで降ってくる。頂上でプチ宴会でも、という思わくは実現せず、山頂で写真を撮り、早々の退散となった。
 滑り出してみると、湿雪ながらもなかなか感触が良い。皆で競うように中央コースを滑り下り、30分もかからずゲレンデに帰着。さすがにスキーは速い。ゲレンデ脇のレストハウスで昼食をとり車に戻る頃には雨がさらに強くなり、かろうじてセーフの山行だった。
 ツアーの締めくくりは曲竹温泉ルピナスセンター。つぎはぎ増築でどこが入口か分らないような建物構造や、縁日の出店のような雑多な屋台コーナーの雰囲気がマニアの間では話題上がることの多い温泉である。しかし、ドバドバ入るかけ流しのお湯は素晴らしい塩化物泉である。あごまで湯につかりながら、身体も胃腸も適度に酷使した三日間を振り返り、山行成功の達成感に浸るのだった。


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