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野呂川小仙丈沢
土肥 雅美

山行日 2009年9月5日~6日
メンバー (L)土肥、小堀、飯塚、高木、成田、深谷、大田、宮野、小坂、権

 仙丈ヶ岳を取り巻くカールは3つあり、北側に登山道の通っている藪沢カール、南面に小仙丈沢カールと大仙丈沢カール。小仙丈沢カールから流れ出るのが今回の小仙丈沢だ。野呂川のもう一本上流の大仙丈沢と並び、ひたすら真っ直ぐほぼ北西方向に出合から標高差1000mを駆け上がっている。沢自体は日帰りの沢なのだが、車で入れないため、なかなか計画しにくい。
 気がつけばメンバーは10人になっていた。前夜、こぼさん号、あっちゃん号の2台に10人を詰め込んで南アルプス市営芦安駐車場まで行って仮眠。翌5日早朝、バスを乗り継ぎ北沢峠に7時過ぎに着いてテントを張る。荷物をデポして小仙丈沢出合まで約1時間半林道を歩いた。野呂川出合から先では工事の車が結構入っている。
 今回の心配のタネは入渓が遅くなってしまうこと。難しい沢ではないけれど稜線は3000m!です。さて、気合を入れて小仙丈沢出合に着くと意外に水が少ない。9:45入渓。すぐに堰堤が現れて右側から踏み跡をたどって越える。ゴーロを50分ほど歩くと三段30mの下の大滝(標高2080m)に着いた。下の二段は水流の右側を登る。人工の堰堤のように見える最上段は、黄蓮谷の坊主ノ滝を思い出させるようで、ほぼ垂直で登れず、右側の疎らな潅木の中を巻く。この大滝を過ぎると一様に傾斜がきつくなってくる。
下の大滝 水が少なめ  さらに小さな滝をいくつも越えていく。天気が上々で明るい南アルプスの沢は気持ちがいいね~!しばらくでまた大滝(標高2200m)が見えてくる。最初は左の枝沢との間を登り、途中から枝沢の右岸に移る。上部で念のためロープを固定した。
 トラバースして本流に戻り、がしがし高度を稼いでいく。
 2370mの分岐は明らかに左のほうが水量が多かったが、念のためコンパスで確認して左に入る。北岳がこんなふうに綺麗に見えるところで休憩。なかなかいい気分。

上の大滝 左の枝沢との間を登る美女たち?の後ろには北岳が

 2550mの分岐は左のほうが水量が多い。右は水流が2本に分かれて伏流っぽくなっている感じだ。水が少ないせいもあり、二股っぽく見えない。ここが唯一この沢で間違いやすいところかな。地図では、左はいずれ岩壁マークに阻まれる。ここもコンパスで確認して右に入って正解だった。
小仙丈沢カールの底  水流が消えそうな地点で水を補給するとそのすぐ上で小仙丈沢カールの底に飛び出した。やった~! お隣りの甲斐駒ヶ岳から仙丈ヶ岳を見ると、この小仙丈沢カールがキレイにスプーンですくいとられたようなかたちに見えます。
 方向を西に変え、カールを緩やかに登っていく。仙丈ヶ岳と小仙丈ヶ岳の間の最低コル2820mへ出るには多少ハイマツを漕がなければならないようなので、それよりやや左の稜線をめざす。稜線直下はザレの急傾斜でつらいところ。○みさんと○なさんがいつものように元気マーク。14:15稜線の登山道に出た。ここからは正面に甲斐駒や鋸岳、鳳凰三山、北岳の眺めがすばらしいのだが、もうこの時間なのでガスに包まれてしまっている。○こさんに躍動的な甲斐駒を見せてあげたかったのに残念だ。その○こさんはこれから仙丈ヶ岳をピストンしてくると言う。最初は乗り気でなかった○みさんと○なさんも回復?が早く、同行することになった。
 小仙丈ヶ岳を経て16:40北沢峠着。なんとか暗くなる前に降りられてと正直ホッとした。
 さて、さっそくテン場で宴会です。ビールはぬるかったけど待っていられません。後から仙丈ヶ岳ピストン組もあっという間に到着。おでんとお酒で楽しい夜が過ぎていきました。翌日は北沢峠7:25発のバスに乗り、芦安の温泉に入り、渋滞なしで帰京できました。皆様、おつかれさまでした。

〈コースタイム〉
9/5 北沢峠(8:05) → 野呂川出合(8:55) → 小仙丈沢出合(9:30~45) → 下の大滝(10:35) → 上の大滝(11:20~40) → カールの底(13:50) → 稜線登山道(14:15~15:00) → 小仙丈ヶ岳 → 北沢峠(16:40)

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