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集中山行・祖母谷温泉
その3 白馬鑓温泉~唐松岳
にしお ひろし

山行日 2009年9月19日~23日
メンバー (L)佐藤、西尾

 この秋の集中には、いくつかのコースが出ていたが、自分の技術と体力から、白馬鑓温泉~唐松岳~祖母谷温泉コースを選んだ。温泉に始まり温泉に終わるというのが嬉しい。このコースの参加予定者は当初何人かいたが、結局最終メンバーはリーダーのあきらさんと私の2人だけになってしまった。

9月18日
 22:30頃、あきらさんが車で自宅のすぐ近くまで迎えに来てくれて、練馬ICから関越道に乗る。シルバーウィークということで道は結構混んでいる。長野ICで高速を下り、白馬八方温泉第一郷の湯の駐車場に到着。ビールと酒田の銘酒『上喜元 ひやおろし』を軽く一杯やり仮眠。

9月19日
 白馬駅近くの駐車場に車を停め直し、7:15発の猿倉行のバスに乗車(980円)。バスは思いの外空いている。でも猿倉に着くとさすがに人が多い。ほとんどは大雪渓から白馬岳に向かう人たちのようだ。8:00猿倉を出発、鑓温泉に向かう道に入る。2時間ほどで双子尾根と小日向山の鞍部である小日向のコルに着く。ここが猿倉と鑓温泉のほぼ中間点である。コルから双子尾根の南側山腹を大きくトラバースして進む。杓子沢、鑓沢には大きな雪渓が残っている。クルマユリ、キリンソウ、ミヤマキンポウゲ等が咲いている。
 やがて白馬鑓温泉小屋が見えてくるが、小屋が見えてからの急登がキツイ。12:10小屋に到着。幕場には既に結構な数のテントが張られていたが、わりと平らな場所が確保できた。小屋で受付(1人500円+入湯料300円)を済ませ、いよいよ開放感抜群の雲上の露天風呂へドボン。爽快感が広がり、思わず笑みがこぼれる。湯に浸かりながらビールで乾杯!!

白馬鑓温泉に到着鑓温泉入浴中

 19:30~20:30は露天風呂は女性専用になる。その間は、通常女性専用となっている内風呂が男性用となるので、この内風呂に入ってみた。もう暗くなっているのでヘッデンを点けての入湯となるが、湯船は小さいもののこちらはこちらで味がある。

9月20日
 今日も良い天気。火打、妙高、乙妻、高妻が近くに見え、八ヶ岳、富士山、南アも見える。6:15小屋を出発。ここから稜線に出るまで約3時間が急登。初めは鎖につかまりながら登る。大出原あたりは紅葉が始まり、すっかり秋の様相。白馬岳からの道との分岐到着は8:43でまあまあのスピードである。ここから天狗山荘までは緩やかな道となる。天狗山荘で一休み。天狗ノ頭までは緩やかだが、天狗ノ大下りがあり不帰キレットまで約300mの急な下りとなる。不帰キレットの先が難所不帰ノ嶮の核心部となる。不帰一峰はさほどでもなかったが一峰の鞍部から二峰北峰までの間は鎖やハシゴが連続し、日頃岩場歩きに慣れていない私には緊張の連続である。

不帰ノ嶮不帰ノ嶮通過中

唐松岳山頂  何とか北峰に到着し安堵。三峰を過ぎると唐松岳が目の前になる。14:41唐松岳頂上に到着。大勢の登山者がいた。八方尾根から登って来た人が多いのだろう。五竜岳が大きく見える。
 唐松岳から今日の幕場である唐松岳頂上山荘を見下ろすとテン場は既に一杯で場所を探すのにたいへんそうである。小屋に着き、受付(1人500円+トイレ使用料200円)を済ませ、テン場を探す。結局、小屋から餓鬼山向の登山道を5分ほど下ったところで、若干広くなった登山道上に張るしかなかった。
 我々より後に到着したテント組は張るところがなく右往左往していた。ここは水が有料。ペットボトルが500mlで300円、沸かせば飲めるという水が500mlで80円。

9月21日
 7:15唐松岳から餓鬼山へ向かう。頂上山荘から出発し、小屋が見えなくなるポイントまで1時間で行けないときは、引き返したほうがよいという小屋でのアドバイスであったが、我々はその地点まで50分で到着したのでまあまあか。でも途中の道には岩に鎖が張られておりトラバース気味の歩きにくい道だった。大黒銅山跡の少し手前で水場への分岐があり、水を求めて餓鬼谷の沢へ下りる(往復15分)。水は沢の本流で、本当に綺麗なのかなと疑問に思いながらも、咽喉が渇いていたのでグビグビ飲む。河原は平らな砂地になっており、流木もありテントサイトには持って来いの環境(この夜、別所さんはここでビバークしたとのこと)。

餓鬼山から(天狗ノ頭~大下り~不帰ノ嶮~唐松岳)餓鬼山避難小屋

 このあと急坂を喘いで登り縦走路から右に少し入ったところにある餓鬼山山頂に到達。頂上からは昨日縦走した天狗ノ頭、大下り、不帰ノ嶮、唐松岳が雄大に見える。縦走路に戻り、ハシゴやロープのある急坂を下って、今夜の宿泊地である餓鬼山避難小屋に12:21到着。
 小屋は古そうだがきちんと整備、掃除され心地よさそう。小屋のそばには池塘があるが、水は汚れておりとても飲めそうもない。小屋には誰もおらず、我々が先陣。しばらくすると単独行者が到着。夕食が終りすっかり暗くなった頃に3人のパーティーが到着。

9月22日
 今日の歩行時間は約3時間と短く、余裕の行程。40分ほどで餓鬼ノ田圃に着いたが、期待した割にはスケールが小さくあまり面白くなかった。湿地の中心には雨量ロボットが設置されていた。南越というところで尾根と分かれ南越沢へ下る。四十八曲りという滑りやすい石の道を注意しながら下る。南越沢まで下ると水があり、一休みし咽喉を潤した。沢の左岸を進み、10:10祖母谷温泉に到着。
祖母谷地獄の河原  他のパーティーはまだ到着していなかったので、5~6分上流の祖母谷地獄の河原に行く。湧き出した温泉が川に注ぎ、気持ちの良い露天風呂を形成している。開放感のある野湯で気持ちも身体も綺麗になる。
 テント場に戻り、まだまだ他のパーティーは到着していないのでビールを飲みながら待つ。小屋に付設の露天風呂に入るが、どうも防火水槽にでも入った感じで味気ない。
 そのうちに他のパーティーも徐々に到着し、集中を喜び合う。皆さん、ハードな行程をご苦労様でした。恒例の焚き火大会で夜も更けていく。

9月23日
 朝起きて早速朝風呂。朝食のあと1番のトロッコ電車に乗るため8時過ぎに出発。欅平から9:16のトロッコ電車に乗り宇奈月へ出て、新魚津へ。
 あきらさんは、途中鐘釣駅で下車、今日は黒薙温泉で一泊予定であり、ここでお別れ。5日間たいへんお世話になりました。
 魚津駅では今日は特急指定席券はすべて売切とのことなので、やむなく自由席券を買う。皆は魚津駅前で美味しい昼食を探していたが、私は単独で帰京。自由席も一杯だったが幸運にも直江津で座れ、上越新幹線もうまく座れた。

〈コースタイム〉
9/19 白馬駅(7:15)=猿倉(8:00) → 小日向コル(10:00) → 白馬鑓温泉小屋幕場(12:10)
9/20 白馬鑓温泉小屋幕場(6:15) → 大出原(8:12) → 分岐(8:43) → 天狗山荘(9:14~38) → 天狗ノ頭(10:05) → 不帰二峰の南峰(13:41) → 唐松岳山頂(14:41) → 唐松岳頂上山荘(15:20)
9/21 唐松岳頂上山荘幕場(7:15) → 水場分岐(8:57) → 水場 → 水場分岐 → 大黒銅山跡(9:43) → 餓鬼山山頂(11:22) → 餓鬼山避難小屋(12:21)
9/22 餓鬼山避難小屋(7:00) → 餓鬼ノ田圃(7:42) → 祖母谷温泉(10:10)

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