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本名御神楽&蒲生岳
高木 敦子

山行日 2009年11月7日~8日
メンバー (L)高木、山崎、三澤、成田

7日 本名御神楽
 この山はアプローチが少々不便だが、会津の名峰の1つであると思う。かつて避難小屋泊で登ったことがあるが、日帰りで周回できるコースがあるというので、秋の紅葉そして密かに収穫も期待しての計画を立て、ついでに前から気になる蒲生岳も登ってしまおうとの欲張りプランだが、3人の参加者を得て楽しい山行となった。
 前夜東川口に集合して一気に登山口まで入った。朝はゆっくり8時出発、まだ紅葉が残る登山道を期待を込めて周りを見ながらゆっくりと歩き出した。かつてこの登山道で沢山のナメコを採ったことがあるが、時期的には少々遅いかもしれない。八乙女ノ滝を高巻くように登り、川沿いの道を進むとやがてブナ林になる。このあたりのブナは大木が多く、その中を歩くだけでも気持ちが良い所である。地元の人らしい3人組がいたが、聞くと冬に備えて小屋の整備をするという。
 急坂になると大きな倒木が出てきて、見ると小さなナメコがある。今年は秋が暖かかったのでこれは期待できるかなと探しながら歩き、ふと倒木を覗くとキノコの影が。傘が5cm以上あるナメコが重なるように群生していて、舞茸ならぬナメコ踊りをしたくなる程だ。成田さんはこれだけのナメコは初めてとのことでとても驚いたようだ。木の下もよく探して2袋分収穫できた。
思わずナメコ踊りをしたくなるほどの群生  急な斜面を登ること1時間半、やっと稜線に出て一息、目の前には会津の豪雪地帯特有の大岩壁が圧倒的に迫っている。杉山ヶ崎を越え風景を楽しみながら稜線を進むと、この山域唯一の御神楽避難小屋に到着した。先ほどの3人も到着して、これから雪囲いなどの冬支度をすると言う。こういう人たちに守られて小屋が維持されているのだ、ありがたいことである。大事に使わせてもらいましょうね。
 30分程で頂上到着、北側は御神楽岳があるが、それ以外の方向は展望が良い。遠くの景色や足元の岩壁、そして紅葉とたっぷりと堪能した。前回は往復だったが、今回は東の尾根に延びる登山道を降りると、思ったよりしっかりした道になっている。しかし途中1箇所、岩場で道を見失い降りすぎてしまうチョンボも。稜線を忠実に辿り、1091mの独標から南下するがよく分からないうちに過ぎてしまったようだ。その後順調に高度を下げ、林道に出て駐車場に16時頃到着したが、三澤さんは少々足を痛めたようである。
 テント場所を探すのは面倒なので、駐車スペースで泊まることにしたが、近くに水場もあるし、焚き火もできてなかなか快適である。早速ナメコ汁で乾杯し、宴会となった。時期が遅いので誰もいないが、夜中に邦ちゃんが幽霊を見たらしい。もちろん誰も信じなかった。ご愁傷さま。

8日 蒲生岳
 今日はもう一つの山、只見のマッターホルンと言われる蒲生岳に向かう。会津蒲生駅の近くにある駐車場には、向かい側にトイレや水場があり、とても便利である。蒲生岳は尖った円錐形をしているので、どのコースも急である。折角だからブナ林の綺麗な小蒲生コースから登り、久保コースの西側岩壁コースから降りることにした。畑の中を歩き、登山道に入るといきなり急登が始まる。三澤さんが足の調子が悪いというのでリタイアした。途中でキナメツムタケを見つけ、急な道を15分程登るとテン場にしたくなるような気持ちの良いブナ林に出た。ほっと一息つくとまた道が急になってきた。鎖場もあり結構迫力がある。景色も開けてきて思わず見とれてしまう。下りには使いたくないと思うような切り立った鎖場を越えると蒲生岳頂上に到着。1時間半程の行程である。眼下には只見川がゆったりと蛇行して、それに沿うように只見線や道路や人家が、まるで箱庭のように見えてとても素晴らしい風景が広がっている。遠くには越後三山や会津朝日岳を始め、会津や会越国境の山々が広がり、しばし景観に見とれてしまった。
蒲生岳からの箱庭のような素晴らしい景色  この山は登りも下りも急だが、行程が短いので短時間で楽しめ、展望も良いので人気があるらしく、結構ハイカーが登ってくる。小粒でピリリと辛い山だが、私的には好みの山である。慎重に下り、登山口にある美味しい水場で喉を潤して本日のフィナーレとした。
 山良し、展望良し、スリルあり、そしてキノコに焚き火付きとフルコースで楽しめて最高の山行となった。


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