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西穂高岳
星野 剛・永田 尚大

山行日 2010年1月23日~24日
メンバー (L)荻原、斎藤(吉)、権、星野、永田

【執筆: 星野 剛】
 『おぎちゃんとゆかいな仲間たち』第2弾は「西穂高岳1泊2日弾丸ツアー」である。
『西穂高岳』って岐阜県でしょう、1泊2日で行けるんですか?・・・何でも安房トンネルという道が北アルプスの下に通っていて、松本から岐阜県側に抜けられるらしい。便利な時代になったものだ。
 金曜夜に東京を出発し、途中中央道みどり湖SAで仮眠を取り、松本経由で一路新穂高温泉を目指す。
 天候はあいにくの曇り空だが、ロープウェイ駅に着くと観光バスが数台止まっている。ロープウェイは通年営業していて、上の駅の展望台からアルプスの山並みを眺める人も多いらしい。バスの人たちは既に上がってしまっているようで、待たされることなくロープウェイに乗ることができた。
 ロープウェイ駅から歩いて西穂山荘に到着。まずは独標付近まで偵察に行くことにする。視界は30mくらいか? 目の前の尾根しか見えない。帰り道を見失わないよう、おぎLが赤い布のついた棒を目印として要所に立てていってくれる。
 さらに歩くと、急に傾斜がきつくなってきた。どうやら独標直下まで来たようだ。今日はここまでにして西穂山荘に引き返すことにする。
 明日の天候回復を祈り、『ゆかいな仲間たち』の定番、ホットサンドを頂きながら一杯やって寝ることにする。
 翌朝準備を済ませてテントを出ると、朝焼けで山荘脇の斜面が赤く染まっている。天気は昨日よりは良さそうだ。
 再び独標を目指して登り出すとおっちゃんが遅れだした。しきりに足元を気にしている。アイゼンの調子が悪いのだろうか? 戻って聞いてみると、新しい登山靴とアイゼンが合わないようで、いくらバンドをきつく締めても外れてしまうようだ。
 相談した結果、残念だがおっちゃんにはテントに戻って待っていてもらうことになった。この時は正直、何とか行けないかなとも思ったのであるが、この後の行程を後で振り返ると、正しい判断であったと思う。
 若干の後ろめたさを感じつつ、独標に向かって再出発。しばらくすると天候は更に良くなり、一面の青空となった。独標、ピラミッドピーク、西穂高岳・・・今日の目標とする山々がはっきり見渡せる!
西穂高岳・ピラミッドピーク・独標  周りに見える、笠ヶ岳、焼岳、乗鞍岳、奥穂高岳・・・山々はそれぞれが明確な個性、美しさを持っている。見てみないと分からないものだとつくづく感じた。
 独標に到着。すでに本日は大満足であるが、ここからが本番、さらに奥へと進み西穂高岳を目指す。まずは独標から下るのだが・・・
・・・あのー、これ、降りるんですか?岩場をクライムダウンしていくと、その下は雪の乗ったヤセ尾根になっているようだ。
1.真ん中の尾根上に降りられる確率:20%
2.岐阜県側に転がり落ちる確率:40%
3.長野県側に転がり落ちる確率:40%
・・・そんな計算が頭の中をよぎったが、ここで帰るわけにもいかない。先に下りた2人に足場を見てもらいながら、慎重に下りていく。ここが全行程の中で一番怖かった。
 その後は若干狭い部分もあったが、風も全くない状況で、怖い思いもせずに楽しく進むことができた。
興奮醒冷めやらぬまま帰途につく  昨年末の八ヶ岳で強風のため敗退したことや以前ここで悪天に悩まされた方の話を聞くと、天候によって山の難易度などというものは簡単に変わってしまうものなのだなと改めて思った。
 歩きながら、正しい知識、判断力を身につけてこれからも長く登山を楽しんでいきたい、と思いました。先輩方、これからもよろしくお願いします。

【執筆: 永田 尚大】
 冬の北アルプスに初めて行った。この山行は2009年12月19日~20日に予定されていたが、悪天候のため、年が明けて1月23日~24日にスライドになったのだった。それだけに楽しみにして待っていた。 事前の天気予報では、23日は良くなさそうだったが、24 日は期待できそうだった。  金曜日の夜に国立駅に集合して、もきちさんの車で中央道を西へ向かう。高速のSAで仮眠をして新穂高のロープウェイへ。もきちさんの”高速運転”であっという間に着いてしまった。
 ロープウェイで山頂駅(2,156m)まで上がると景色が一気に変わる。正月に行った八ヶ岳より雪が多い。雪は降ってないものの天気は曇りだ。この日の予定は西穂高岳山荘で幕営をした後、独標まで偵察に行くことになっていた。山頂駅を出発してからしばらくして、わかんを装着した。
初めてわかんを使った  軽いラッセルになりながら山荘まで登っていく。ちょっと疲れてきたな?、荷物を降ろしたいな?と思ってきたころに山荘が見えて ほっとした。
 テントを設置した後、独標を目指して出発。しかし、独標に達する前に風が強くなってきたのでテントに戻った。日が落ちてからも雪は降り、夜中には強風になった時もあった。
 夕食は、権さんが作ってくれた韓国鍋をお腹一杯食べた。酒を飲んで、いつの間にか寝てしまった。
 翌朝、起きると風もなく、快晴であった。
 『この天気なら頂上まで行けそうだね。』とはリーダーの荻原さん。7:30にテントから出発。権さんがアイゼン調整不備でリタイアというアクシデントがあったものの快適この上ないコンディションで順調に進む。 左に右に背にアルプスの山並みを見ながら進む。幸せ過ぎる独標までは特に難しいところもなく。そこから先は初めての冬の岩。怖いけど楽しい!! 美しい穂高連峰を見ながら11時前に山頂に着いたのだった。

日曜日は最高の天気だった!最高のコンディション!はじめて冬の岩場です
〈コースタイム〉
1月23日 曇り 新穂高ロープウェイ山頂駅(11:00) → 西穂高山荘(13:00) → 独標付近まで偵察 → 西穂高山荘(幕)
1月24日 快晴 西穂高山荘(07:30) → 独標(08:30~40) → 西穂高山頂(10:45~11:00) → 西穂高山荘(12:30) → 新穂高ロープウェイ(14:00)

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