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中木川小山沢
金子 隆雄

山行日 2009年11月1日
メンバー (L)金子、小幡、土肥

 この時期、水量の多い沢は冷たくて辛い。水量が少なくて手頃な沢がある所といえば妙義となるわけです。丹沢辺りでもいいのだが丹沢は遠い。それに私は丹沢の沢はあまり好きじゃないのです。
 土曜日に早めに集合し甘楽PAに21:30頃に到着し幕営とする。一杯やる時間も睡眠時間も十分確保できて今回は体調万全で溯行できそうだ。
 翌日曜日、松井田妙義ICで高速を降りて国民宿舎裏妙義へ向かう。国民宿舎の登山者用駐車場に車を駐車する。登山者用駐車場がどこかよく分からなかったが右側の坂を登っていった所にあった。テニスコートをつぶして作られた駐車場は他に停っている車は1台だけで閑散としている。
 小山沢はここからすぐなので駐車場で沢装備に身を固め出発する。林道を歩くこと5分ほどで小山沢に架かる橋に着く。林道周辺は伐採作業中で前に来た時とは随分と様子が変わっていた。
 橋のすぐ先に堰堤があるので右岸の踏み跡を辿って堰堤の先に降りる。水量は予想通りかなり少ない。これなら濡れずに溯行できそうだと内心ほくそ笑む。先へ進むとすぐに巨岩が沢幅いっぱいに行く手を阻む。右側の水量の少ない方を越えるが、いきなり膝上まで水に浸かることになる。かなり冷たいがこの先には水に浸かるような所はなかった。
 しばらく河原状をいくとF1-5m滝が現れる。倒木がたてかかっていたのでこれを利用して越える。次の釜を持ったF2-6m滝は右壁をへつって水流中を登っていくのだが滑りそうで躊躇する。しかし、水流中は思ったよりフリクションが効いて問題なかった。
F3-8m滝  F3-8mはまたしても巨岩が沢の真ん中に立ち塞がっている。ここは左岸のスラブっぽいリッジを慎重に登って越える。次に出てくるのが小山沢最大のF4-12m滝。上部がハングしていて登ることは叶わない。右岸を捲いて越える。
 しばらくナメが続くようになる。傾斜の強いナメは落葉の上に乗ると滑るので払いながら登らないといけない。巨岩ゴーロ帯をしばらく行くと二俣状となりしばし迷う。空身で偵察してみるとインゼルになっているようだ。またしばらくナメが続くとその先には最後の難関が待ち受けている。傾斜の強い10mのナメ滝で落口にはいつ落ちてもおかしくないような巨大チョックストーンが挟まっている。楽に登れそうに見えたので先ずは金子がトライしてみる。ザイルを付けて落葉を払いながらナメを登って行く。チョックストーン直下の傾斜の緩む手前に残置ハーケンがあったのでランニングを取る。ここまでは良かったのだがその先の一歩が踏み出せない。何度かトライするも踏ん切りがつかず諦める。一旦降りてバタヤンにトップを交代してもらう。「最近登ってないからなぁ」と言いながら私が行き詰まった所は難なくクリア。だが、その先のチョックストーンを回り込んで越える部分でかなり苦労している。のっぺりとした岩でホールドがないのだ。何度かトライし最後はザックを先に上に押し上げて何とか登りきった。トップが登れれば後続は楽なもんだ。
F5-10mCSナメ滝  核心部を越えたので後は詰めのルートファインディングをミスらないようにするだけだ。詰めを誤って苦労したという記録も散見するので慎重になった。分岐は全て右にとって行くとすんなりと茨尾根上の登山道に飛び出した。もっと分かりにくいのかと思っていたので呆気無い幕切れだった。
 今日の天気は午後から崩れるとの予報だが今はまだ陽射しもあり暑いくらいだ。靴を履き替えて登山道を相馬岳方面へと向かう。登山道とはいえ妙義の破線ルートなので下ばかり見ているとすぐにルートを外してしまう。約20分の登りで相馬岳コースの分岐に着く。
 下山は国民宿舎へ直接降りられる相馬岳コースに取る。このルートは痩せ尾根で出だしはかなり急下降となる。しばらくすると鎖場の連続となり初心者にはお奨めできないルートだ。見晴を過ぎると尾根も広くなり傾斜も緩み歩きやすくなる。分岐から国民宿舎までは約2時間の行程だった。

〈コースタイム〉
入渓(07:50) → 茨尾根(10:50) → 相馬岳分岐(11:20) → 国民宿舎(13:10)


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