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阿弥陀岳南稜
小幡 信義

山行日 2010年4月17日~18日
メンバー (L)小幡、渡辺(守)、YUKI

 2月に計画したが、強風により青ナギ先で敗退する。正月の八ヶ岳も強風で予定通り縦走できず敗退。八ヶ岳2連敗である。そんなこともあり、少々厳しさにかけるが、4月の阿弥陀南稜を再度トライすることとした。

1日目 晴れ
 新宿7時20分発の高速バスで中央茅野まで。夜中からまとまった雪が降ったためか、中央道は渋滞もなく、定刻の10時過ぎに到着する。バス停から、茅野駅まで20分位歩きタクシーで船山十字路へ向かう。
 出発11:50と遅い時間であるので何パーティか入山していると思っていたがトレースはついていない。昨晩で20~30cmの積雪量である。軽い雪なのでさほど困難と思わないが、旭小屋をめざし林道歩きを始める。小屋で小休憩し左裏の方から尾根を登り始める。単調な尾根をひたすら登る。新雪の下は凍っているようで滑って歩きづらい。立木につかまりながら、どうにか立場山に14時に着く。本日はここまでとし、テント設営にかかる。テント内で酒を飲みながらくつろいでいると、外で話し声が聞こえ、どうも我々の近くの場所にテントを張っているようだ。4~5人のパーティか?明日の核心部P3ガリーで時間待ちは避けたいな、などと考えながら眠りにつく。

2日目 晴れ
 立場山を5:05出発する。隣のテントはまだ準備しているようだ。W氏先頭で歩き出す。しばらく歩き「この道登って来た所じゃないか?」と言う。私は「大丈夫。間違いないよ!」と。2人はリーダーの判断に従い下りて行くが、20分位進んでも阿弥陀の全容が見えてこない。何かおかしいと立ち止まる。そうでありました!登って来た道をまた降りていたのです。何とバカな事をやってしまったのです。2人の納得のいかない怒りを背に感じながら、私はひたすら登り返しました。出発地点に着いた時は、隣のパーティもこれから出るところでした。1時間のロスです。青ナギを過ぎ、無名峰の急登にさしかかると風が雪面の雪を舞い上げ冬山らしく一寸気が引き締まります。先行パーティはP2辺りで登攀準備をしていたので、我々が先行となりました。
 P3は基部をトラバースし、急なガリーを行く。南稜の核心部だ。金曜の夜に降った雪がガリーを埋めつくしている。部分的に氷結した所があるが、ここは踏み込んで行けば階段状となり、ロープなしで行けると判断し進む。2人も後からついて来る。氷の通過に時間がかかっているようだ。ロープを出すかと問うと「何とかやってみる!」との声。少し心配したが一歩一歩登って来ている。3人揃ったところで休憩。富士山が遠くに綺麗に見える。核心部通過の一時の安堵感。頂上まではまだあるが、幸福を感じる時間だ。
素晴らしい景色です  阿弥陀山頂に向けて最後の岩峰登り。トラバース箇所は壁に張り付いて横ばいの通過。少々緊張するがホールドをしっかり見つけていけば問題なし。頂上直下の雪壁を登れば阿弥陀の山頂である。10:00到着。後続パーティも私達に続いて山頂に到着。じっくり顔を見ると皆かなりの高齢のようだ。また南稜を下るとのことだ。(御苦労様です!)
阿弥陀岳に無事登頂  私達は山頂でゆっくり景色を満喫した後、御小屋尾根に向かう。T君が2年前か雪庇を踏み抜いて50m滑落し自力で這い上がった場所は何処かなどと思いながら、しばらくは慎重に足を運ぶ。こちらの尾根も雪の下は凍りついていて何回も転びながらの下山となる。美濃戸口に13:45着。バス時間まで1時間あるため風呂に入る人、ビールを飲みくつろぐ人、それぞれ自由に過ごす。2日間を振り返り、2日目の出発に来た道を行ってしまう大チョンボをやってしまう。昔幾度も来たコースだから、間違うはずがないという過信がミスの原因かと思われます。今後は聞く耳を持ち、おかしいと思ったら地図とコンパスで確認することを心掛けたいと思います。

〈コースタイム〉
4月17日 茅野駅 = 【タクシー6,400円】 = 船山十字路(11:50) → 立場山幕営(14:00)
4月18日 立場山(05:05) → 阿弥陀山頂(10:15) → 御小屋尾根 → 美濃戸口(14:55)

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