トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ333号目次

ブナ植樹作業・和名倉ワークに参加
峯川 正行

2010年5月22日~23日

 和名倉山は登山を始めた時から非常に思い入れがありました。2004年に将監峠より初めて和名倉山に行った際に感じた懐の大きなこの山に本当に惚れ込んでしまったのです。雲取山に行っても、視線は反対側の和名倉山にどうしてもいってしまうのです。1950~60年代の和名倉山の林業による伐採作業は凄かったようで、かなり木が切り倒さました。そして、山火事などもあり、それ以来荒廃していたようで、秩父山地の”秘峰”と呼ばれておりました。
 初めて和名倉山に登った後に、Webでいろいろ検索をしたところ、『百年の森づくりの会」がヒットし、荒川の源流である和名倉山への『水を育む山への恩返し』というキーワードに賛同し会員となり、陰ながら今まで参加してまいりました。今まで山を歩き、楽しませてもらっているのも樹木があるからこそであり、少しでも恩返しをして、和名倉山がいつまでも緑で覆われた山であってほしいというのが本音でした。それでも、現場での作業はなかなか都合がつかず、5年ほど経ってしまいました。今年は予定に入れ、初めて和名倉山での植樹作業に参加してまいりました。
 当日は晴天で植樹日和です。西武秩父駅で集合し、3台の車とブナの苗木を乗せた車で新緑を眺めながら、大洞林道の荒沢橋を目指します。この林道は本当に崩壊が激しくて、荒沢橋までも結構崩落現場はありました。
 無事に荒沢橋に到着し、総勢16名が揃いました。皆さんと荷物の割り振りをしていると、明らかに大きなブナの苗木の束が置いてあり、これは背負わないとまずいなあという空気が流れていたので、背負子を初めて使って背負ったのですが、ザックと一緒に背負ってみると明らかにバランスが悪く、多分合計で30kgは超えていたかと思います。身長の倍くらいの高さになりました。立ち上がるのが本当に大変でした。
こんな荷物を背負うの初めてです!  林道を20分程歩き、いよいよ仁田小屋沢横から取り付きです。ここから標高1100mの仁田小屋まで50分くらいかけて急斜面を登りますが、一番大変だったのは、“身長”が高いので、枝などを潜る際でした。一度バランスを崩すと谷に体を持っていかれてしまうので、一歩一歩慎重に登って行きました。これほどの苦行は久々でしたが、これも和名倉山のため!と思い黙々と登っていきます。ふらふらしながら小屋について重い荷を一旦下ろし、昼食です。沢は横にあり、放水管から流し台に冷たい水が流れていて、顔を洗い生き返りました。ザックを小屋に一旦置き、今度は植樹エリアに移動です。少しは荷が軽くはなっているのですが、鍬などを持参しているので大変です。標高1555mの仁田小屋の頭直下まで登ります。ルートは『百年の森』の皆様が数年かけて整備しているとのことで本当に歩きやすいです。植樹場所は、今年の4月に皆さんがスズタケを刈ったエリアで、ここに100本の苗木を植えるのは大変だなあというのが最初の思いでした。
さあこれからみんなで100本のブナの植樹です  私自身初めての植樹で、恥ずかしながら鍬なんて使うのは初めてです!根が張っているので掘るのもなかなか大変です。先輩方より植樹のコツを教えて頂きました。まずは土の表面の葉などの腐葉土のようなものは一旦払いのけ、土面が見えた状態で鍬を入れ掘ります。この掘った土は水分を含んだものなので、苗木を入れた際にこの土で埋めて、足などで踏み込みます。その際も土は根のすぐ上くらいまで埋めるのが最適とのこと。根のかなり上まで土を被せてしまうと、根を出そうとしてそちらに栄養が回り、木が生長しないのです。最後は下の土が乾燥しないように、払った葉や腐葉土を軽くかけておくようです。明日が雨なのですべての植樹をしなくてはいけないのですが、2時間ほどで100本の苗木の植樹を完了させてしまいました! 16人いると早いですね。私も10本くらい植樹できました。この苗木のうち、何本が将来立派なブナになってくれるでしょうか。数年かけて経過を見てみたいです。
このブナが大きくなってくれることを祈ります  15時半過ぎに下山をして、小屋でビーフシチューパスタの夕食です!この小屋は業者などには頼まずに、会の皆さんで造られたそうです!唖然としました。別の場所にある小学校で仮組をしてヘリで木材を運んだそうです。素晴らしい暖炉もあります。本当にこのような小屋を使わせていただき嬉しい限りでした。昔ながらのランタンの灯のもと、皆さんと和名倉山談義が弾みました。
 翌日は予報通り6時から雨が降り始めました。朝食をとり下山です。9時くらいに西武秩父に着き解散となりました。
 今回は本当に初めてのことばかりでしたが、ほんのちょっと和名倉山のために協力できたかなあと。このような活動は山登りをしている人にとってはある意味、義務なのではないかと思います。三峰山岳会も三峯神社のお隣さんの和名倉山ですし、会としても参加していければいいなあと思いました。『百年の森づくりの会』の皆様、本当に有難うございました。今後も参加していければと思います。

【NPO法人 百年の森づくりの会】 http://www.100nen-forest.org/


トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ333号目次