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山スキー講習会・箕輪山
三澤 邦夫

山行日 2010年1月30日~31日
メンバー (L)三澤、高木、小堀、藤井、深谷、山崎、斎藤(吉)、渡辺(守)

 山スキー講習と看板を掲げたものの新しい人が来ない。伝統芸能を守るつもりで細々と企画を続けたがそろそろ潮時なのか。ということで湯治半分で横向温泉の計画を出したところ、いつものお気楽大好きメンバーが集まった。ただ一人、湯の丸山の山スキーデビューで苦戦したW氏は最新鋭のスキー一式を揃えて戦闘意欲が頗る高い。
 日の短い冬なのに早朝出発という計画に文句を言う者もいない。(湯治気分なのか?)なんだかんだで横向温泉に到着したのは昼前。今日は横向クラッシックコースでバフバフの深雪を滑りに行くことで準備を促すが、炬燵に入って寛いでしまう者が続出。(やはり湯治気分なんだ)「雪が降ってるよ」「湿った雪だから濡れちゃうよ」「えっ湯治じゃないの?」
(これは湯治気分ではなく筋金いりの湯治だ)それでもモチベーションの高いW氏に追い立てられるように真面目な4人が宿を出る。
 箕輪スキー場は空いている。スキー人口そのものが減っているからだろうか。それでもボーダーとの比率ではスキー勢力が盛り返しているようだ。
1月30日
 リフト終点からコソコソと左手の斜面を登ってブナ林に入る。1分も歩けば喧騒が消えて山の世界に変わる。記憶を頼りに2本目の沢筋から中間尾根に飛び込む。バフバフです。この浮遊感が堪りません。クニちゃん先行で樹間の広い斜面を楽しく滑る。W氏は慎重に斜面をフルに使って降りている。程なく傾斜が緩んで本流の一段上の雪原を行くと横向温泉スキー場に出る。行動時間40分の山スキーもどきだが、一応は深雪滑降練習のメニュー完了とする。
 横向温泉自炊宿はマニアックなので混雑することはない。床の傾きは年々ひどくなっているようで、別名カタムキ温泉とも言う。床が弱くなっていて歩くとストーブが地震と勘違いして消火してしまう。障子は閉まらない。見方によっては「風情」なんだが・・・。深雪練習した真面目な4人も湯治モードに切替え、食べて飲んで湯につかる。夕食はクニちゃん特性のビエンロー鍋と名物W氏鍋。体と畳の境界がわからなくなるように寝入ってしまう。
箕輪山の降り斜面から鬼面山方面 1月31日
 予定では安達太良山に行くつもりだったが、昨日の仕切り直しで全員で箕輪山に行く。湯治も終わりシャキッとして宿を出る。
 昨日と同じ箕輪スキー場のリフトだが上部に行くと青空が広がり、樹氷が美しく輝いている。いつもは右手のリフトを乗り継いで楽をするのだが、今日は鬼面山寄りの稜線から登る。昨日のブナ林でビーコンチェックを行い、緩斜面を進む。他パーティも何組か入山しているが我々はトラックを追わず自分達のコースを行く。左手に高森川上部のボウル斜面を見て山頂に直接向かうコースをとる。雪崩の危険はあるが楽しそうな斜面だ。1パーティが繰り返し滑って遊んでいるようだ。やがて斜面は凸凹のシュカブラ帯となる。安達太良特有の扱いにくい斜面である。シュカブラは標高差にして150mくらい続いている。この斜面の苦労を知っている者は登高を躊躇している。リーダーとしては多少のマゾ的快感を求めてキッパリと山頂を目指すことを決断する。「まだ登るの?」「もうこの辺でいいんじゃない?」今日は湯治ではなく山スキー講習会なのだ。この凸凹斜面で苦労すれば他の山はゲレンデなみに感ずる筈だ。「もうすぐだから」一同「ぶつぶつぶつ」「ホントすぐ山頂だから」と私。それから小一時間、全員で凸凹を乗り越えて山頂に立つ。短いながらも山頂に立てば山気分は盛り上がる。(のは私だけ)さてと、シール外して心躍る瞬間の時間。山頂から1分も行かないうちに全員の顔に後悔の色が浮かぶ。どうにもこうにも滑るという実感がない。スキーを左官屋のコテみたいに使って凸凹をならす苦行を繰り返す。久々のkobo氏とW氏がヒーヒー状態。おNewのファットスキーもシュカブラ斜面には歯がたたないのだ。たぶん次回は箕輪山と聞いただけで腹痛や頭痛で見学に転向する者も多いだろう。最後のシュカブラを飛び越えると開けたバーンに出る。先ほど通過した高森川上部のボウル左手の快適斜面をバフバフと滑るが、快楽は一瞬で終わる。お天気も良く皆でランチタイムとする。結構モンクも言っていたのに、やはり晴れた雪山は楽しい。笑い声がとぎれない楽しい時間だ。
 最後は昨日降りた斜面の手前から高森川に向かい滑降する。最初はブナの樹間も広く山スキー的な感じだが、沢形が出て来るとコースどりをうまくとって高度を落とさないように進まなければならない。降り過ぎると沢越えが大変なのだ。滑り易い斜面をえり好みしているとハマッてしまう。W氏がハマッてしまったらしい。降りすぎたW氏をあっちゃんが追う。なんとか短い登りで正規コースに戻り、短いながらも1本終了。あとは車道を自動車のフリをしてズリズリと駐車場まで戻っておしまい。
 今回は山スキー講習会という企画だったが、リーダーの湯治半分気分を見透かされてしまったようだ。次回はカリキュラムをしっかり決めて取組んで戴きたい・・・と後継者に申し渡すつもりだったが後継者が現れることは暫くなさそうだ。でも、W氏!後は頼む。

〈コースタイム〉
1月30日 箕輪スキー場高速リフト終点(12:00) → 滑降開始点(12:10) → 箕輪スキー場駐車場(13:20)
1月31日 箕輪スキー場高速リフト終点(09:50) → 高森川ボウル上部(10:30) → 箕輪山山頂(11:15) → ブナ林入口(12:40) → 箕輪スキー場駐車場(14:05)

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