トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ333号目次

尾根通から御前山
峯川 正行

山行日 2010年4月29日
メンバー (L)峯川、西尾、山口(順)、(松尾、渡辺(智))

 今年の冬に小岩から浅間嶺を一人で登っていた時に、一服して振り返ってみると、結構登ってきたはずなのに、同じ目線に立派な集落が点在しているのです。なぜあんなに高い場所に集落があるのか非常に気になり、その場でエアリアを広げ、「尾根通」集落という奇妙な集落の名前であることがわかったのです。即座に、この集落をこの目で確認したいという願望が生まれ、御前山のカタクリをセットとした例会を企画した次第であります。
 当初予定した17日は季節外れの4月の降雪で、かなり奥多摩も降雪があったようで、カタクリも隠れているかと思い中止と致しました。その後の情報で今年は天候不順でカタクリの開花が遅れているようで、29日でも間にあうかもしれないと思い振替山行を実施することと致しました。今回はお試し山行として2名の女性の方も参加され、三峰の品行方正なところをお見せしなくてはと責任を感じながらの山行なのです。
 集合の武蔵五日市駅は山岳救助隊がたくさんいてGWの山登りの注意喚起をしていました。計画書を渡して快晴の中バスに乗り込み、車窓からの新緑がまぶしく気持ちがよかったです。終点の小岩で降りて橋の手前からキャンプ場に向けて歩いたのですが、キャンプ場の人に尾根通集落のことを聞くと、もう一本先が入り口のようでした。静かなキャンプ場があることが発見できてよかったと言い聞かせ、橋まで戻ります。いつもスタート地点は気を遣います。
 尾根通集落の入り口には何の標識もなく、聞かなければ全くわからないです。もの凄い急坂を登り尾根通集落に到着すると、そこはまさしく山上集落でした。目線の先には浅間嶺が見えます。桃がちょうど満開でまさしく桃源郷のようでした。
桃源郷のような尾根通集落  檜原村界隈の先人はなぜこのような高い場所に集落を作ったのかタイムマシーンに乗って伺いに行きたい気持ちになりました。
 すでに標高が660mである林道終点の民家の塀をこっそりと上がり、椎茸栽培をしているところが取付地点です。ちょうどその頃から予想していた雨が降り出してきました。先程まで快晴だったのですが、前線が通過しているようで瞬く間に暗くなってしまいました。雨装備をして出発です!
 まずは杉林の中を歩きますが、思いの外、下道が付いています。これは早い時間に湯久保尾根に合流できるな~と思っていると、いくつもの杉の倒木が行く先を塞いでおりました。今年3月の暴風の影響で杉はかなり倒れており、トラバースルートである故、なかなか高巻いたりするのが大変でした。お試しの方にも本当にご迷惑をおかけしてしまいました。私自身は予想外の運動で逆に楽しんでいたりして・・・。
 素朴な指導標がある湯久保尾根の支尾根に乗ったのは11時11分でした。ちょうどその頃は雨も上がり、日も差してきたので、今日のもう一つの目的である無線機の実地練習です。講師はもちろん西尾さんです。長いアンテナを装着して、CQが連呼され練馬の方といとも簡単に交信してしまいました。なんとも私がはまりそうな感じであり、今後の山行では無線機の持参は間違いないと思います。
 湯久保尾根へ向かいますが、また天気が怪しくなってきます。湯久保尾根にはピークで合流するのかと思っていたのですが、最後はトラバースしながら湯久保尾根に合流です。指導標には歩いてきたコースは「通行止」とかかれていました。これにはお試しの方もびっくりしておりました。
 あとは御前山目指して登るだけですが、なかなか群生しているカタクリが見つかりません。山頂直下の避難小屋側の斜面も同じ状況です。昨年同じ時期に来たときは満開だったのですが、少し様相が違います。やはり、2週間前の降雪や天候不順が原因でしょうか。
 御前山山頂には13時半に到着です。天気もようやく回復し快晴となりました。このままGWは快晴が続く予感がする天気でした。山頂はそれほど混雑しておらずベンチに座ってランチをとることができました。
 惣岳山に向けて歩き出しますが、昨日までの大雨の影響か、とても道が滑りやすかったです。ここでようやく可憐なカタクリに出会うことができました。このエリアは柵で保護されているのですが、結構な数が咲いておりました。開花するまでに7年ほどかかるこのカタクリの花はやはり貴重であり大切にしないといけないと実感いたします。資料を調べてみるとカタクリの種子にはアリが好むエライオソームという物質が付いており、アリに拾われることによって生息地を広げているとのこと。アリとカタクリがこんな関係だったとは驚きでした。アリも大事にしないといけないのです。
可憐なカタクリにようやく出会えました  その後は急坂を一気に下り、サス沢山で西日に照らされ綺麗にきらきらと光っている奥多摩湖を眺めながら、下山いたしました。17時過ぎの臨時のバスにもちょうど乗れ、駅前の天益で餃子打ち上げ!と思ったのですが、貸し切りになっており、天益さんの女将さんの配慮により交番横の寿々喜家さんで打ち上げとなりました。

〈コースタイム〉
武蔵五日市駅(08:01) = 小岩(08:44) → 尾根通集落(09:15) → 尾根通集落末端部(09:48) → 取付(09:50~10:03) → 藤倉分岐(11:10~30) → 湯久保尾根合流(12:00) → 御前山(13:25~14:15) → 惣岳山(14:50) → サス沢山(15:55) → 奥多摩湖(16:50)


トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ333号目次