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南アルプス縦走(甲斐駒ヶ岳・仙丈ヶ岳・間ノ岳・農鳥岳)
YUKI

山行日 2010年4月29日~5月4日
メンバー (L)小幡、金子、YUKI

〈はじめに〉
 谷川岳の雪洞で天城さんからGWに南アルプスに行く?と聞かれ、深く考えずに・・・行きまーす☆と即答。その場にいた小幡さんも大丈夫だろうって言うし、大丈夫なのかなーと思いつつエントリー。天城さんは別の予定が入ってしまい不参加となり、小幡さんの師匠の金子さんが参加。わたしは師弟コンビのお邪魔虫(´艸`)ムププ!「剱岳・源次郎尾根」企画いいなぁ~と思いつつも、甲斐駒ヶ岳・仙丈ヶ岳に行く時はぜったいに黒戸尾根から!!と心に決めて残していた場所、しかも残雪期に行けるなんて楽しみ!出発前に一番心配していたことは、ザックが60Lと小さいこと。75Lのザックを買おうかと、前々日まで“さかいや”に通いつめ、私が行くとザック出しますか?と言われるまでに・・・。結局購入せずご迷惑だけをおかけしました・・・。そんなこんなでバタバタと用意しつつ出発の日。師弟コンビと行く南アルプス5泊6日の旅のはじまり☆

〈1日目〉
 7:20新宿発のバスに乗り、中央道小淵沢で下車。渋滞のため1時間強遅れました。強い雨が降っていたのでバス停の待合所の中でタクシー手配&準備。タクシーにて竹宇駒ヶ岳神社駐車場へ向かいました(約4,500円)。軽食喫茶「おじろ」の屋根を借りて、雨具を着込みます。ここのおばちゃんが、前回もここから出発したリーダーのことを覚えていて、餞別にとチョコをいただきました♪準備をしているうちに青空になり、せっかく着込んだ雨具を脱いで11:30出発。
初日の幕場  初日の重い荷物を持ってズンズン登ります。途中、七丈小屋のおじさんが、ワカンなんて置いてきたらよかったのに~と言い残し、軽い足取りで過ぎ去っていきました。今日は五合目までは行けないし、途中に雪もないだろうと、笹の平分岐にザックをデポして粥餅石付近の水場へ。地図には”涸れること多し”と書かれていたので、ちょっぴり不安だったけれど、水音が聞こえ、細いながらもしっかり流れていてホッとしました。分岐に戻った時には15時を過ぎていて、分岐道標直下を幕場としました。街の灯りが近く、暖かい夜でした。雪のない所で寝られるのは今日で最後かなぁと思いつつ就寝。

〈2日目〉
 5:15出発。少し登ると雪がちらほら(水を作れるほどの雪は5合目以降)、霜も降りていました。ずっと視界がなくてツマらなかったので、刃渡りから鳳凰三山が見えた時にはボルテージアップ♪まもなくすると五合目、小屋はなく、端っこに小屋であったであろう木材が置かれていました。平らで日当たりがよく、雪もある。ここに泊れたら快適だったかな。目の前には甲斐駒ヶ岳がそびえ立ち、当初の予定ならココを越えて北沢峠で泊るんだよなぁ~、頑張って歩かなくちゃ!と気を引き締めました。
五合目でひと息  五合目を越えた後のハシゴ・鎖場の途中でアイゼンを装着。雪が深くなり景色が変われば、気持ちも新たになる感じ。この辺り、石碑や祠とかいっぱいありました、さすが信仰の山。七丈小屋では昨日のおじさんに、「まだこんな所でうろうろしていたら北岳に着かないよ~」と言われてしまいました。心の中で「行かないもん!」とお返事。ベンチには下山途中のオジサンが休憩中で、話を盗み聞きしていると、この尾根を歩き慣れた様子。それなら頂上までトレースが残っているはず♪と期待して出発したけれど、すぐにトレースが途切れている。オジサン頂上までは行ってなかったのね(T-T)
 ここまでは緊張せずに歩ける所ばかりだったので、八合目手前の急登にドキドキ!慎重に登りました。
 この後だんだんと足取りが重くなり、14時には八合目を越えたあたりを幕場と決めました。風があってテントも揺れるし、ちょっぴり寒いけれど・・・、絶景満喫っ!(*'∀`*)

ちょっぴり緊張の急登絶景満喫 その1

〈3日目〉
 2日間の遅れを取り戻したい3日目、5:45出発。40分後には甲斐駒ヶ岳頂上、鳳凰三山の後ろには富士山、北岳もばっちり見えます。次の目的地となる仙丈ヶ岳は・・・、峠まで降りる必要がなければ見た目通り近いのだけど!
 甲斐駒ヶ岳から下る途中、もう1つの尾根の方へ歩いてしまって時間を少々ロス。駒津峰からは双子山と仙水峠、どちらを経由するか悩みましたが、楽そうな後者に。仙水峠から甲斐駒ヶ岳を見て、ずいぶん降りたなぁ~と思いつつ、ここからしばらくはユルリとした道が続くはず。アイゼンと雨具をぬげば、心軽やか♪
記念にパチリ 師弟コンビで!  北沢駒仙小屋(旧:北沢長衛小屋、2008年に改名したらしい)に9:40到着。小屋の掲示板には、5日まで天気は概ね良好とあり、安心。リーダーはお酒を補給。昨夜、ここで幕営なら飲み放題でしたよね・・・、残念(x_x;)
 北沢峠からは樹林帯を登り返しますが、二合目を過ぎると3人の歩調が合わなくなってきます。大滝ノ頭五合目の手前で長めの休憩をとり、体制を整えるもペースダウン。なかなか借金を返せませんが、本日は小仙丈ヶ岳を幕場に決定(14:40)。またも絶景貸し切り♪と写真を撮っていたら、穴に落ちました・・・。私たちの隣に単独行の男性がテントを張り、立派なカメラで写真を撮りだしました。夕飯もそこそこに、負けじと夕陽を何度も撮りに出かける私にお二人はさぞ呆れていたでしょう・・・。食後の作戦会議で進退について協議した結果、あと1日様子を見ることに!昨夜より風が強く、フライが飛ばされないか心配で眠れない・・・と思っているうちに爆睡。

絶景満喫 その2

〈4日目〉
 決戦の火曜日?今日中にどこまで歩けたかで、奈良田で温泉に入れるかどうかが決まります。いつも温泉をスルーしようとするリーダー、公約されている時に入らないと!と思うと力がみなぎります!
 幕場5:00発、小仙丈沢カールが朝焼けに染まってきれい。なんだか奈良田まで行けそうな気がしてきます。
朝焼けに染まる小仙丈沢カール  仙丈ヶ岳頂上には6:15着、今日も360度よく見えます。この先は人が入っていないだろうと思っていましたが、トレースが残っており、ワカンは不要でした。大仙丈ヶ岳先の急斜面では、長い時間後ろ向きに降りなくてはいけない場所があり、少し緊張しました。その後は順調、ところどころ尻セードをしながら伊那荒倉岳(3日目の幕営予定地)に到着し、ひと息つきました。
 横川岳から野呂川越は倒木が多く荒れていて歩きにくい。この辺りから三峰岳手前までは樹林帯が長く飽きましたが、どこでも幕場になりそうで安心。どこを歩くか迷うこともありましたが、基本的にはトレースをたどり、2,699mまで。本日の幕場15:00着。
 テントを張って休んでいると、間ノ岳から降りてくる人の滑落をリーダーが目撃、大丈夫だったようです。その後テント横を通り過ぎる時に話をしましたが、今日すれ違ったのはこの2人だけ、静かな尾根歩きでした。
 このペースなら奈良田まで行ける!という余裕からか、フォークソングを聴きながら、和やかに夜の時間を過ごしました。

〈5日目〉
 今日もよく晴れており、先も見えた安心感から、気持晴れやかに5:00出発。知らぬ間に三峰岳を過ぎ、大トラバースを経て間ノ岳へ。このトラバース、リーダーがしきりに嫌がっていましたが、きっと長年の使用でアイゼンの歯が減ってしまっているからでは・・・?
 間ノ岳はつまらない頂上というイメージがあったけれど、とても幻想的な美しい景色が広がっていました。最近は富士山を見ても心が反応しなくなっていたけれど、来てよかった!と思える風景でした。農鳥小屋へ向かう途中で学生さんの集団とすれ違い、挨拶を交わしながら元気をもらいました、若いってイイナ~☆ 休憩は風が強いため、雪を積み上げた風よけシェルターを利用。先ほどの学生さん達の幕場だったのでしょうか。
幻想的な間ノ岳頂上  農鳥小屋は雪で埋まっていて屋根だけが見えています。これで4日目の幕場予定地を通過、しっかり借金返済中。西農鳥岳に向かう急登、アイゼン前歯とピッケルだけで登らなくてはいけないところがありました。慣れない荷物量と風に吹かれてバランスがとりにくく、この縦走で一番怖いと感じた場所です。その後は順調、最後のピークとなる農鳥岳に11:05着です。長めの休憩中、初めて3人で記念写真をとりました。
北岳も一緒に!と欲張ってパチリ  大門沢下降点までは尻セードを駆使して楽チン下降。金子さんによると、農鳥岳~大門沢付近は例年より雪が多いそうです。大門沢は雪崩の恐れがあるため、近くの樹林帯を下ります。金子さんのアイゼンにはアンチスノープレートがついていないため、大変そう。わかんに履き替えたら楽になるかもと試していましたが、上から「あっ!」という叫び声の後、なかなか追いついてきません。効果はなかったようですが、せっかく持ってきたのだから、一度でも使えてよかったよね?
 樹林帯を下る途中、わたしが雪に隠れた穴にすっぽりハマって膝をひねりましたが、この時点で痛みはナシ。今までのペースでは歩けなくなったので、金子さんを待つ間、先に歩かせてもらいました。途中で大門沢に出てしまい、雪の下には水音がするので、どうにか登山道に戻ろうとしていたら、リーダーが颯爽と沢を下降してきます。結局2人で登山道に戻るとグットタイミングで金子さんと合流。せっかく合流したにもかかわらず、3人の歩調が合わず、全員バラバラに大門沢小屋到着(私の到着15:15)。
 避難小屋は貸し切り、水場もトイレもあり、快適です。テントを干したり、音楽を聴いたり、小屋に置いてあるノートを読んだり、自由に過ごしました。ここまで気を張り続けていたのか、リーダーは離れたところで一足先に就寝。

お風呂あがりに、もう1杯! 〈6日目〉
 奈良田から身延駅までのバス時間に合わせて起床、出発時間を決めました。6:45大門沢小屋出発。テントの撤収がないので、出発準備は早かったです。
 登山道は、沢の水量によって道が変わるため、いたるところに様々な色のテープがありました。何度か道を間違えそうになりましたが、後ろを歩く2人が修正してくれるので安心。前日に捻挫した膝がだんだん痛みだし、いつものペースで下山できなくなりましたが、それ以外は順調。ところどころ咲いている花に春を感じながらゲート着。ここで最後の休憩をとり、最後の舗装路歩き。
 温泉に着いたら湯船直行・・・、ではなくビール直行。まず1杯やってからの入浴でした。温泉はほんとにのんびりと浸からせてもらい、お風呂あがりは頑張ったご褒美にと、イワナとお茶をいただきました。自分でも、よく歩いたなぁ~と思える縦走だったので、今までの山行後のご褒美の中でいちばん嬉しかったです、ご馳走さま!!

〈地図とコースタイム〉

地図とコースタイム

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