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山スキー・仙ノ倉山シッケイ沢
さとう あきら

山行日 2010年4月3日
メンバー (L)佐藤、山崎、飯塚、渡辺(守)

 4月上旬は谷川連峰のスキー適期だ。数年前にヨーコ女史らと赤谷川を山スキーで滑ったのだが、途中の万太郎山から見たシッケイ沢の三角大斜面が忘れられず、例会を組んでみた。ヨーコ女史もあの時の会心の山行が忘れられず今回も参加してくれるという。心強い。
 ところで翌日は三峰の大集会。今回は会長と委員長の両名が参加ということで、下山遅れなどで皆に迷惑をかける訳にはいかない。いつも以上に安全に行動しなければと少々緊張する。
 一夜を明かした土樽駅に6時半にタクシーに来てもらい、まずは下山口に車をデポしてから出発だ。元橋の別荘地終点からのシール歩行開始7:40。今回はヤカイ沢左岸の鉄塔尾根ではなく、山崎さんお勧めの平標山の家の登り口手前の尾根からというルート取りだ。若いブナ林の緩傾斜を進むと、じきに程良い傾斜の尾根の登行となる。太いダケカンバがブナの中に点在するようになると傾斜も増し、ツボ足となった。
 1600m付近で大休止。移動性高気圧に覆われたような無風快晴で、周囲の山も一望。雪も軟くなり春山バンザーイ、今回の山行は楽勝だね、と誰もが疑わなかったのだが・・・。
まだまだ春山バンザーイ状態の面々  10時半稜線到着。雪原状の幅広尾根の展望を満喫しながら20分程登り、平標山の東を巻くトラバース道に入る。仙ノ倉山が正面に見え、稜線の登山道の雪はもうほとんど消えている。途中大休止し、アッコさんからの差し入れをなかなか気遣いのある女子だなどと食べていると風が出て来た。山崎さんも今日の谷川地方の天気予報では午後から雨なんだよねぇ、なんて不安な事を言う。
 平標山東側のコルのベンチのところに到着11:40。ザックにスキーを取り付け歩き出す頃になると北風が強くなり、みるみるガスが湧き出し1km先の仙ノ倉山が見えなくなる。
 いつの間にか、視程は10m程。今までのグサグサ雪が急速にクラストし、キックステップが効かないどころか、硬氷で全く登れない。アイゼン無しでの歩行は恐ろしい程の天候悪化だ。12:10、仙ノ倉山の200m程手前で退却となる。ポカポカ陽気の春山がほんの1時間で冬山に逆戻りした恐怖の一瞬だった。
 ベンチのコルに戻り、シールを付けて往路をトラバースしながら引き返すが、硬い雪面にたたきつけるようにスキーを踏み出さないと滑落しそうだ。新品TRT締具のナベさんは氷化した斜面でふらつくスキーに手間取りながらも、歯を食いしばって皆に付いてくる。頼もしく、今後の上達が楽しみだ。そろりそろりと平標山の幅広尾根まで戻ったら、視界が良くなってきた。シールを外し、平標山の家に滑りこむ。13:50。これで安全地帯に到着、と思うと急に腹ペコに。
 遅いビール昼食での大休止後、山の家西側のブナ疎林の斜面を豪快に滑り、更には林道も快適に飛ばし、別荘地帰着15:10。復路もタクシーで土樽まで戻り、車を回収して帰京となった。
 という事で春山の怖さを垣間見た、危機一発の山行でしたと反省です。また来年、トライしましょう。


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