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山スキー・鳥海山
斎藤 吉夫

山行日 2010年6月4日~6日
メンバー (L)高木、深谷、三澤、成田、原田、斎藤(吉)

 前夜、東所沢を出発し、祓川駐車場に到着したのは既に10時を過ぎていた。出発の準備をしていると、たまたま、警察車両が通りがかり、上り始める時間が遅すぎるとでも言いたげに、「これからですか」と言ってくるではないか。「適当な時間になったらそこで帰りますから・・・」なぜか、弁解がましく答える。
 11時ころ駐車場を出発。祓川ヒュッテの前を通り、竜が原湿原の木道を渡ると、いよいよ、本格的な登りが始まる。急斜面をジグザグに程行って、斜面が緩くなったところで振り返ると、原田さんが随分遅れている。三澤さんが心配して降りていったが、なかなか上がってこない。10分ほどすると、ようやく上がってきた。聞くと、原田さんのビンディングの踵部分が開放しないらしい。しばらくはつぼ足で行くしかない。
 斜面は広くて、眺めも最高だ。実に気持ちいい、来て良かったとしみじみ思う。緩い斜面を1時間ほど登ったところで、一休み。ここで、三澤さんが、原田さんのビンディングにトライ。しばらくあれこれとビンディングと格闘した後、やっと踵の開放に成功した。原田さんは反省しきり。これからは、ちゃんと道具の使い方をマスターしてから参加しましょうね。
 さて、七ッ釜避難小屋下の急斜面を登ろうとしていると、一人のボーダーが、ボードを抱えて降りてくるではないか。怪我をしている様子もなく、不思議な光景だったが、お互い声を掛けるでもなくすれ違った。理由は、我々も下りで思い知らされることになる。急斜面を登りきり、七ッ釜避難小屋の上まできたところで、数人のグループがスキーで降りてきた。この上は、雨が流れた跡が溝状に縦に走っており、まるでトタン屋根の上を滑っているようで、滑りにくいことこのうえない、とのことである。今まで何度も鳥海山に来ているが、今日が最悪だとも言っている。たしかに、ずいぶん下からこの縦の溝があったが、あまり気にしていなかった。しかし、時間も時間だし、今日は、足慣らしということもあったので、もうひと登りしてから降ることにした。
黒く見える林から滑った  さて、私の、初鳥海山である。硬く、深く縦に走った溝。いやはや、転ばないように降りるのがやっとだ。爽快感は全くなし。他のメンバーも同様に苦労している。1kmほど下るとブッシュが出てきて、雪が繋がっていないところが出てきた。ルートを探しながら滑らなければいけなくなる。一箇所、板を外して20mほど薮こぎをするはめになった。板を担ぎながら、スキー靴で倒木まじりの深い藪は大変だった。他のメンバーはどうしただろうと思いながら、やっとの思いでこの藪をとっぱした。他のメンバーを待つついでに、湿原のきれいな水にスキー板を沈めて、春の土まみれの雪で汚れた板を洗った。
竜が原湿原の木道  さて、明日は、百宅コースを滑る予定なので、ここから、大清水(オシズ)に向かう。百宅地区から未舗装の林道を13km以上も登ったところに広い駐車場があり百宅コースの登山口になっている。この少し先に大清水園地があり、そこには、避難小屋、山荘、キャンプ場などがある。ここの山荘が、今日の宿泊場所である。ここまで来るのは結構大変だったが、ストーブもあり、きれいなトイレも近くにあり、なかなか快適な場所である。さらに素晴らしいのは、ここから眺める鳥海山である。前面に新緑、その奥にそびえ立つ鳥海山の姿は、まさには圧巻である。  さて、宿についてしまえば、後は、お決まりのコースである。明日のロングコースのことは全く話題にもならず、酔っ払いたちの夜は更けていった。
雪は繋がっているかな?  翌朝、出発の準備を終えた6時頃、なんと、雨が降ってきた。徐々に本降りになってきた。出発するかリーダーも迷っている。私はといえば、ずぶ濡れになりながら登るのは嫌だな、と思いながらリーダーの決断を待った。結局、様子見ということになった。1時間ほど待ったが、雨は上がる様子もないので、中止決定となった。
 中止となれば、やることはたった一つ。以前使ったことがあるキャンプ場が近くにあるというので、日本海沿いの道路を北上する。南下して細切れの高速道を帰るよりは、遠回りになるが、秋田道経由で東北道で帰ったほうが早いという結論になったのである。
 途中のスーパーで大量の食料と酒を仕入れ、キャンプ場に着いたのは、14時頃だった。テントの設営を終え、私の場合は昼寝の後、大宴会パート2の開始である。いつも思うのだが、わが三峰のメンバーは、山の中にいる時より麓で宴会をやっている時の方が生き生きしていると感じるのは、私だけだろうか。
 明日は、ただ帰るだけなので、みんな心置きなく騒いでいる。スキーに関してはちょっともの足りなかったが、いつもどおり楽しめた山行でした。リーダー初め、皆さんお世話になりました。来年また再挑戦したいです。皆さん、お付き合いください。


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