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日本一低い山 天保山・蘇鉄山
にしお ひろし

山行日 2010年9月5日・10月3日
メンバー 西尾

9月5日(日)
 7月から大阪単身赴任生活が始まった。せっかくの機会だから関西の山を登るぞっ!と意気込んでいたのだが今夏は酷暑。とても蒸し風呂状態の低山には行く気になれない。でもそういえば大阪には日本一低い山「天保山」があったはず、ということで天保山登山を計画した。
 天保山は国土地理院の地形図に載っている山の中では日本一低い山で標高は4.53mである。でも山頂にはちゃんと二等三角点がある(あの富士山だって二等三角点だそうだ)。天保山は、天保2年(1831年)から翌年にかけて安治川浚渫工事(天保のかわざらえ)が行われた際、排出した土砂を河口に積み上げて作られた人工の山で、当時入舟の目印となったことから目印山ともよばれたそうである。往時は山上や水辺からの眺めが抜群で、桜や松が植えられ、灯籠や桟敷が設けられるなど、大阪近郊の新名所として人気を博したそうである。浪華百景等の錦絵にも取り上げられている。
 当初は20m程の標高があったが、砲台建設等で土砂が削られたり地盤沈下があったりして、昭和46年(1971年)に7.1mとなり、昭和52年(1977年)には4.7mまで標高が低下し、平成5年(1993年)の地形図から山名が抹消されてしまった。しかし、地元からの要望によって平成8年(1996年)7月1日に現在の標高で再掲載されたとのことである。
 大阪・梅田駅から地下鉄に乗り、本町駅乗換で大阪港駅まで約20分。この大阪港駅から歩いて10分も掛からないで到着。天保山公園という公園の中にあるのだが、山頂の手前にある展望台の丘の方が山頂より標高が高いというのが摩訶不思議。そのためなかなか山頂が判らず苦労した。思ったより低い位置に人だかりがあり、そこでついに三角点を発見、あっけなく山頂を極めた。山頂の傍には天保山山岳会の案内板があり、登山証明書を郵送で発行(発行手数料+郵送料として50円切手2枚)している。
 この天保山公園の隣接地には、現在ではマーケットプレースの大観覧車や海遊館(水族館)等があり、そちらの方が人気を集めている。

天保山山頂天保山登山証明書

10月3日(日)
 休日だというのに天気が悪い。天気が良ければ山へ行くのだが、この天気ではNG。でも天気が悪い時に行こうと決めていた山へ行くことにする。日本一低い山シリーズ第二弾の堺市にある「蘇鉄山」だ。蘇鉄山は一等三角点がある山の中では日本で一番低く、標高は6.85mだ。因みに日本で一番高い一等三角点がある山は南アルプスの赤石岳(3,120m)だそうだ。
 大阪・梅田駅からなんば駅まで地下鉄に乗って約10分。南海本線に乗り換え堺駅まで急行で約10分。堺駅南出口から雨の中を傘を差しながら海側にある大浜公園を目指す。大浜公園の中に蘇鉄山登山口の標識を発見。ここで気持ちを引き締めて登山を開始するが、登山口から僅か50歩で山頂に到着。あっけない登りだ。日本で一番低い一等三角点を発見。すぐ隣には山名通りの蘇鉄が生えていえる。山頂の案内板によれば、蘇鉄山は、大阪湾に面し、幕末には黒船来航に備えてお台場(砲台)が築かれた場所を明治12年(1879年)に大浜公園として開放され、展望のよい築山として整備されたところで、この付近は明治・大正・昭和初期には関西有数の海浜リゾート地として賑わっていたそうだ。そして、この蘇鉄山の約300m東側にあった御蔭山(おかげやま)の頂に近代地図作成のための基準点となる一等三角点が明治18年(1885年)に設定され、その後御蔭山が削られ昭和14年(1939年)にこの蘇鉄山の標高6.96m(当時)の所に移設されたそうだ。平成12年(2000年)4月に2.5万図に正式な山名として記載されたことで「一等三角点のある日本一低い山」となった。そして山頂の案内板のすぐそばに蘇鉄山山岳会の掲示板があり、登山認定証を発行していると書いてある。発行場所は堺駅南口側にある神明神社。神社の宮司さんが蘇鉄山山岳会の会長さんということだ。
 神明神社に到着し、社務所へ行くが無人である。ありゃりゃこれじゃ登山認定証は発行して貰えないかなと思ったが、セルフサービスがあった。認定証用紙を一枚取り、登山者名簿に名前を書き、発行手数料として20円以上を神社の賽銭箱に入れるというものである。登山者名簿を覗くと北海道、千葉、埼玉等からはるばる来ている人もあり、全国的な人気のようだ。ということで無事に認定証を入手し、安全登山ができたことを神様に感謝し、堺を後にした。

蘇鉄山山頂蘇鉄山登山認定証

 これで、日本一低い山である二等三角点の天保山と一等三角点の蘇鉄山の2座を制覇したことになる。大阪へいらっしゃる方でこれらの登山を希望される場合は、ご案内しますので遠慮なく連絡してください。熱烈歓迎!!


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