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沢登り・笛吹川東沢釜ノ沢東俣
森田 純子

山行日 2010年7月17日~18日
メンバー (L)土肥、峯川、原田、紺野、森田(純)

 昔、一人で山歩きをしていた頃、金峰山から縦走して、びしょびしょでたどり着いた甲武信小屋。テントを買って初めて泊った甲武信小屋の幕場。そんな思い出のある甲武信に、沢から登る!しかも、こんな頼もしい、楽しい人たちと一緒に!
 前夜、東川口駅に集合し、道の駅みとみで仮眠後、西沢渓谷の駐車場には6時半に着きました。身支度を整え、出発は7時。
 駐車場から西沢渓谷遊歩道を進み、明日下ってくる徳ちゃん新道の登山口を過ぎ、西沢とわかれる二俣にかかる吊り橋を渡ったところで、全員沢靴に履き替えました。いったん川原へおりて左岸へ渡り登山道を行くと、山の神。この手前で、眼下に奇景・ホラの貝ゴルジュが見えたはずなのですが、足元注意の私は、よく鑑賞できずに残念。
 ここから川原へ降り、いよいよです。釜ノ沢経験者DIさん、KNさんが「やはり、水量が多いね」「前の、集中の時は、もっとすごかったよ」と話しています。
 さあ、最初の渡渉。これまで、せいぜい膝までのしかもゆるやかな流れの渡渉しか経験の無い私が、躊躇して流れを見つめていると、やおらKNさんが私の腕をぎゅと握りしめたのです。一瞬「KNさん!な、なにを・・・」と思わず、KNさんの顔を見ると、その目は私を見つめるのではなく、渡る水流をキッと見つめています。すぐに合点しました。初心者の私をサポートしてもらえるのです。この後、DIさんにもサポートしてもらいながら、だんだんコツもつかめ、水流も緩くなり、ステッキをつかいながらジグザク沢登りが続きました。それにしても、昨年の渡渉訓練に参加できなかったことが悔やまれます。
 水量が多くて豪快な乙女の滝を左に眺め、しばらく行くと、「オオーッ!!」東のナメ沢。真っ青な空に向かって広がるナメ滝は圧巻です。その先、西のナメ沢を過ぎ、釜ノ沢出合いには、12時頃に到着。
 そして、すぐに魚留の滝です。右岸のスラブから登って巻くのですが、取り付きに流木が立てかけてあり、それを足場によじ登りました。この先に、釜ノ沢名物・50~60mも続く千畳のナメが始まります。広葉樹に覆われた中を、水量が多いからでしょう、水は噴水のように青空に向かって吹き上がりながら流れてくるのです。皆、思い思いにビチャビチャと歩きました。
快晴の中、気分最高の千畳のナメ  ナメの上流の滝を捲いて、川原に降り立つと、西俣と東俣が両門の滝となって出合っています。感動も新たに見入っていると、MKさんがカメラを発見。思い出しました。確か、昨年Oッチャンが釜ノ沢でカメラをなくしたという話を聞いたなぁ。よく見ると、流れに揉まれたかのように破壊され、錆付いています。あんなに三峰を楽しんでくれて、韓国へ戻っていったOッチャンのカメラを、同じ三峰のメンバーが発見するなんて・・・。しみじみとしてしまいました。
両門の滝の前で両門?のポーズ  両門の滝は、東俣の左岸を捲いて登り、その後、ヤゲンの滝~8m斜滝も捲きました。この過程で1箇所、岩を登る際、不安な私にMKさんから、3本つないだお助けスリングを出してもらい、お世話になりました。さあ、もう幕場は近い!14時半過ぎ幕場到着。
 沢での泊まりは、昨年の川場谷に続いて2回目なので、要領は了解ですが、タープで寝るのは初めて。ここで、DIさん曰く「職人技のKNさん」登場! 2本の木に渡したロープを、スリングやカラビナを使ってピーンと張り、しっかりした今晩の宿が出来上がりました。そして、焚き木を集めます。
 さて、夕食の当番は私。この夕食作りが、私にとって今回の核心かも。生米を炊くのが2回目の挑戦で、とても心配。おいしい・あたたかいご飯が、この献立には必須なのです。今回は、宴会のはじめに出して、お酒を飲みながら食べられるもの、というのをテーマにしました。(宴会終盤に出すと、残っちゃうことが多いでしょ)ということで、梅干・ミョウガご飯と焼きナス。ナスはアルミホイルにくるんで焚き火に放り込み、生姜醤油でいただく。これは、よかった。で、メインのご飯は・・・。芯ありで、水を足して炊き直ししたのですが・・・。ガックリとうなだれる私に、DIさんが「大丈夫、許容範囲!」となぐさめてくれました。でも、出来上がった梅干・ミョウガご飯を、KNさんが絶賛してくれたので(まあ、結構酔っ払っていたけど)、リクエストに応え、正式レシピを文末に記載します。
 各自背負い上げたアルコールがなくなったところで、散会。寝床にもぐりこみました。
三峰初登場!梅・ミョウガご飯 2日目、5時起床。
 朝食は、HDさん担当。居酒屋で売っているというタンメンでした。おいしそう~と眼では思うのですが、胃は全く反応せず、いつも通り私は朝食抜き。おかゆと飲み物で済ませました。
 出発は、6時半。昨日と違い、流木が多くて沢は荒れ模様です。しばらくは、左岸の林の中を歩いて行きます。ここで、私の沢足袋にトラブル発生。沢用サンダルの紐が切れてしまったのです。(注:私のものは、沢靴ではなくて、モンベルの沢足袋+サワーサンダルのセットを使っています。地下足袋とわらじセットの現代版です。下るときには、サンダルを脱いで、沢足袋で歩けるので、下山用の靴を持たなくていいし、フェルトが磨耗すれば、サンダルのみ取り替えられるので、とても気に入っています。)この先、まだナメ滝もあったりするから・・・あせりました。そして、ここはまた職人技のKNさん登場です!HDさんから予備の靴紐をいただき、KNさんが、あのゴツイ指を器用に使い、フィッシャーマン結びで修繕してくださいました。
 だんだんツメの傾斜が増していく中、ミズシ沢に出合い、その先の二俣では円盤標識に従って右に入り、10時、最後の高捲き、大ナメ滝にかかりました。その終盤、MKさん、HDさん、DIさん、私、KNさんと続いていたのですが、見上げるとトップはルート選びに苦戦模様。少しの間、様子を見ていましたが(昨日の高巻きで、私だけ上りすぎて降りるのに苦労したので)、後ろのKNさんは沢へ降りて端を登って行きます。「KNさ~ん、そっち大丈夫ですか~」と大声を張り上げたのですが、返事なし。返事があったのかもしれないけれど、本当に沢の中では声が届かない。上の3人は登っています。私は、KNさんの後を追うことにしました。いざとなったらKNさんのお助け紐に期待しよう。ところが、沢に下りたもののKNさんの姿は見えません。呼んでも応答なし。仕方ない、一人でがんばるしかない。慎重に、一歩一歩。登り終えると、KNさんは3人の姿を確かめようと、捲きコースの方を凝視して「稜線に上がっちゃうんじゃないかなあ。二手に分かれてしまうなあ」と心配しています。私は、群がる虫をステッキで払いながら「モト~!モト~!」と叫びます。しばらくすると、「モト~~」とMKさんの声!合流です。
 そして、20分ほどで甲武信小屋のポンプ小屋に着きました。そこには、MKさんの知り合いで小屋スタッフのづめさんがいて、話が弾んでいました。各自、源流の水を賞味したり、私は持ち帰り用につめたりして、10時40分甲武信小屋着。
釜ノ沢東俣終了点のポンプ小屋  小屋は、トイレが新しくなっていたり、縦走の人たちでにぎわったりしていました。装備を解いて、づめさんからお茶をご馳走になり、しばしのんびりと釜ノ沢の余韻を楽しみました。
 11時半、最後の石楠花がちらほらと咲いているなか、下山開始。1300mほど下ります。DIさんの脚の調子が悪く、私も膝にこないようにゆっくりと下ったので、後続隊が徳ちゃん新道登山口に到着したのが、15時半近くでした。先に下りて待っていてくれた皆さんが、情報も集めてくれていて、中央道が渋滞とのこと。関越道を使うことにして、大滝温泉で入浴、食事をしました。帰りの関越道は正解で、渋滞もなく帰ってくることができました。

梅・ミョウガご飯 レシピ
⇒実は、けんたろうレシピです。
材料: 温かいご飯 茶碗2杯分
梅干1~2個
ミョウガ1個
しらす 大さじ3杯
大葉 8枚
白いりごま 適宜
作り方: 梅干は種を除いて刻む。ミョウガは千切り。梅干、ミョウガ、しらすをご飯に混ぜる。その上に大葉を粗みじんに切ったものと白ごまをかける。
【梅・ミョウガご飯 コメント】
初めて山で食べるご飯でした!私は3杯も食べてしまいました!暑いときでも食欲がわくとても美味しいご飯でした。芯があったなんて全然知りませんでした~。ちょうどいい歯ごたえで食が進みました!(峯川)

〈コースタイム〉
7月17日 快晴
西沢渓谷駐車場(06:50) → 西沢山荘(07:18) → 東沢下降(07:45) → 山の神(09:20~40) → 乙女の滝出合(10:15) → 東のナメ沢出合(10:35) → 釜ノ沢出合(12:10~30) → 魚留の滝(12:32) → 千畳のナメ(12:45) → 両門の滝(13:55) → ヤゲンの滝(14:20) → 幕営地(14:45)
7月18日 快晴
幕営地(06:45) → 5段ナメ滝(08:30) → ミズシ沢出合(08:45) → 案内円盤(09:00) → 大ナメ滝40×70m(10:00) → ポンプ小屋(10:25) → 甲武信小屋(10:40~11:35) → 戸渡尾根分岐(11:55) → 徳ちゃん新道分岐(13:30) → 徳ちゃん新道入口(15:30)


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