トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ334号目次

縦走・頸城焼山
鈴木 章子

山行日 2010年7月17日~19日
メンバー (L)鈴木(章)、渡辺(守)、成田

 数年前、野田さんと、頚城駒ヶ岳に行った折、目にした焼山。当時は、入山禁止の山だった。2年前に解禁、登山道も整備されたと聞き、長い間の胸のつかえをとるための山行。
 この山域は、絶対、秋が良い。キノコが、恐ろしい程採れる秋が。紅葉も、非常に美しい。初めての人なら是非、秋を薦めたい。
 しかし、今年の秋、私はとても忙しい。暑さ覚悟で例会に。参加者は3名。もっと、新人が参加するだろうとの当初の見込みは、すっかり裏切られた感じ。
7月17日
 梅雨明け宣言と同時に猛暑。妙高高原駅では目眩がしそう。標高1300mの笹ヶ峰も、さわやかだとは言えない。そんな中、一番暑い時間帯から出発。
 整備された登山道。緩い傾斜の木道を登る。それだけでも、顎で水車を回すような汗。黒沢で一休み。ここから富士見平までは、十二曲がりの急騰になる。ゆっくり登っていくと、地元の小学生がどんどん下ってくる。中には、私より背が高い子も。元気だ!彼らの心の暑さほど、気温は上がっていないのかな。私と言えば、鳥の声にも、暑くて腹が立つ。
 やっとの思いで、富士見平。多くの登山客が休んでいた(我々が、一番若いグループ?)。一休みと言いたいが、ゴロゴロと空がいっている。夕立かな。急ぎ足で高谷池ヒュッテを目指す。小屋のテント場はグチャグチャ。しかも、酷い混みよう。今回は、テントが小さくて助かった。急いで、テントを張り、元来た道を戻り、水を汲みにいった(小屋の水場は、味が悪く、生温いため)。
 15時頃、一雨あったが、大降りになることはなかった。梅雨明け報告の雷だったのだろうか。明日の晴れを予想させる夕焼けが出た。明日は早立ち予定。18時には床に就いた。テント場は、時間が経つごとに混み合い、隙間のない状態。我々が、眠った後、到着した人たちは、何処に張ったのだろうか。
7月18日
 3時半起床。トイレが混んでいたので、4時50分出発になってしまった。爽やかな風の中、火打山を目指す。途中、高谷池に火打山が映る。青空が少しあり美しい。天狗の庭は、花真っ盛り。これだけでも充分。この山域に来た意味はある。
天狗の庭から見る火打山  火打山山頂からの展望は素晴らしく、富士山、南ア、中央ア、北アが見える。しかし、緑の頚城の山々が一番美しい。百名山が、ここには3つもあるのがよくわかる。
 心を残しながら、影火打山を目指す。いよいよ、焼山へ。長い下りの後、きつい登りに入る。時々、目に入る高山植物に心を休ませながらの登り。日差しはドンドン強くなる。噴煙の臭いが、鼻につく頃、山頂。三角点はあるが、山頂としては、何故か物足りない。そんな山頂の、お釜の縁を回り込み一休み。眼下には、富士見峠から、多くの人が登ってくる。この山は、今、一番人気の有る山なのかもしれない。しかし、暑い!
この暑さで焼山も噴煙もあげている?  体温が下がることもなく下山。きつく、長い下山。途中、富士見峠で一休みと思っていたが、そこは、熱い!(誤字ではない)涼しい木陰を求めて歩くが全くな頚城独特の暑さだと諦めてはいるけれど辛い!更に、この辺りから、ナリジイが暴走し始める。
 裏金山を過ぎたところの雪渓で、全ての水筒を満杯にした。今日、幕場予定、「大曲り」迄は、無理と判断。重くなったザックを背負い金山山頂へ。山頂が分岐。きつい登りだった。ここでも、最後に登った私を、待つことなくナリジイが歩きだす。
 金山山頂から幕場迄のナリジイの暴走。追い付ける距離ではない。とても同じパーティで来ているとは思えない。暑さで頭をやられてしまったのか。私の体は、少し暑さ負け。下りに助けられながら歩いてはいたが、2人の間を取り持つナベチャンには申し訳なかった。白倉峰を過ぎた辺りの登山道の脇がやっと幕場になった。ゆっくり、テントを張った。
 1時間ほど後、焼山山頂から同行の、豊橋から来たと言う中高年の10名。彼らもかなり疲れていたが、水がないのでと、大曲り目指して下っていった。その後は通過する人もなく、静かで、温かい夜を過ごした。19時就寝。
7月19日
 12時に雨飾荘に着ければいいねと、3時起床。4時40分出発。大曲りには10名のテント3張り。これ以上は張れない。我々は良いことをしたのかな?大曲りから笹平迄は、笹藪の中の登り。笹平の分岐にザックを預け、ナベチャンは、初めてという雨飾山へ(雨飾山を『アマクダリ』と読むナリジイ。私には分からん)。
 笹平は花が咲き乱れ素晴らしい。山頂への最後の登りは這い上がるようだった。本日一番乗り!標高は低いが、存在感のある山。石仏が数体あり、里の人々に大切にされてきた山なのだろう。
一番乗りの雨飾山でナベチャンご満悦  ナリジイの「もう少し」を聞いて、しばらく休んでいると、人がドンドン登ってくる。こんなに人気のある山になってしまったのか。何故か心寂しくなってきた。
 笹平に戻り、休むことなく下山。登山者は、道を埋めるように登ってくる。ここから先、ナリジイの暴走が、又、又、始まった。荒菅沢の雪渓を渡ったところで、突然、
「11時のバスに乗ろう」
と、言い出す。
「俺は早く帰りたい!」
遂に、2人は切れてしまった。
「乗るなら勝手に、行けばいいでしょ!」
リーダーはいったい誰なの! 3人で来たんじゃない!『和』をもって事を成すではないの!危険が一杯じゃないの!この意味が、彼は全く分かっていない。勝手に、先に行ってしまった・・・。
 私は、決して歩くのは遅くなかった。膝が痛いといっても、ハイキングマップのコースタイム通り歩いてきた。何とも情けない気持ちになったのは、私一人ではないと思う。さっさと帰ればいいのよ!見たくもないわ。
 その後、ナベチャンと2人、ゆっくり下山。雨飾荘に11時着。テントを干し、ゆっくり入浴と食事を済ませ、バス停へ。予定通りの13時25分発バスに乗り、1日に1本のみの南小谷発 14時23分あずさ26号で、一路東京へ。
暑さ負けした体は、いつものように、車内でぐっすり眠ることは出来なかった。

〈コースタイム〉
7月17日 笹ヶ峰(10:30) → 黒沢(11:15) → 富士見平(13:00) → 高谷池ヒュッテ(13:40)
7月18日 高谷池ヒュッテ(04:50) → 火打山山頂(06:20~40) → 焼山山頂(09:25~45) → 富士見峠(10:50) → 裏金山(11:10) → 金山山頂(13:00) → 幕場(15:00)
7月19日 幕場(04:40) → 大曲り(05:30) → 笹平(06:15) → 雨飾山山頂(06:50~7:10) → 笹平(07:30) → 荒菅沢(08:25) → 登山口(09:50~10:10) → 雨飾荘(11:00)
〈諸経費〉
・妙高高原駅=笹ヶ峰 バス代1,000円
・雨飾荘=南小谷駅 バス代810円
・高谷池 テント代 1人400円
・風呂代(雨飾荘)500円

トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ334号目次