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救助訓練・丹沢大倉
三澤 邦夫
山行日 2010年6月12日~13日
メンバー (L)三澤、(SL)金子、佐藤、鈴木(章)、飯塚、小堀、箭内、小幡、紺野、天城、安田、斉藤(吉)、大田、森田(温)、森田(純)、星野、永田、YUKI、山口(敦)、原田、渡辺(智)、小柴、永岡、内田、杉本、樺沢、(和田)

 救助訓練は講習会ではなく雪上訓練と同じく「訓練」に分類される。会員の中には「一度経験すれば十分」と言う人もいるが、訓練とは安全が担保された環境で危機的状況を疑似体験できる場であり、初心者・経験者・講師の階層に関係なく得られるものが多い。救助技術は日々進歩しており、毎回参加しても新鮮な知識を得られるので各会員は都合をつけて参加して戴きたい。
 冒頭から堅苦しい文章で申し訳ないが、万一の事故に遭遇したパーティが自力生還する手段はセルフレスキューしかない。リーダーが怪我をしても残ったメンバーで対処できるよう、あらゆる手段・方法を体験しておくことが救助訓練の目的でもある。岩場の救出と怪我人の救護や搬送・搬出は別個の技術ではなくセルフレスキューの要素技術なので、初参加者は来年の訓練で不足する技術を補完して戴きたい。また、経験者は次回は講師となって指導をすることで自身の技術・知識を確かなものにして戴きたい。
6月12日
 丹沢大倉バス停に集合して滝沢園バンガローに移動。荷物の整理を終えて座学講習を開始する。三峰HPの共有フォルダーにある救助訓練レジュメに沿って救急救命について復習を行った。全体概要の説明の中で、優先すべきは事故者ではなく残りのメンバーだということが今一つ理解できない様子だった。事故発生時に皆が慌てて行動を起こして二次的事故を誘発したり、事故者を守って共倒れになることのケーススタディを次回課題としたい。また、「救助」には広義と狭義の解釈があるので、言葉の定義についても話し合った。詳細は省くが、救護・救出・搬出の意味は理解できたと思う。
皆真剣に搬出訓練を行う  導入説明が終わる頃にタイミングよく到着した小堀さんを講師として三角布の使い方や応急松葉杖の作り方を教わる。その他、消防署の救命講習の内容に沿って蘇生手順などを説明する。三角布は普段一人で練習できるが、訓練で集中的に実践することの意義も大きいと感じた。
 続いて金子さんを講師として三峰レスキュー体制の学習。事故が起きたときに会がどのように対応するか知ることで計画書の重要さを理解し、自分が事故当事者となったときの行動についてもイメージできたと思う。
 最後に基本事項の確認の意味で救助で使うロープワークについて全員で復習をした。ロープやカラビナに初めて触れる人には??な内容だと思うが、翌日の実技訓練で再度学習することとして初日は終了。
 夕食は天城・森田(純)・星野、大田の4人に個性あふれるカレーを作って貰うことにした。それぞれのシェフには予め趣旨を説明してあり、新しい人と一緒に和気藹々と食事の準備をして貰った。新会員はすぐに馴染んでくれたようで嬉しい。
 出来上がったカレーを部屋に運び全員で夕食会。天城さんはスパイシー激辛、森田(純)さんは優しい母親風、星野さんはレシピに忠実な真面目風、大田さんはタイ風と予想どおり個性溢れるカレーが美味しい。
6月13日
 実技訓練はグループ別に行う。ロープワーク主体のリーダー組(金子L)、基礎と搬出を主体の一般組(三澤L)の2班が場所を移動して個々の課題に取り組んだ。リーダー組はモミソ懸垂岩で支点の取り方や懸垂仮固定、介助下降、1/3システムなどを行う。初参加の原田さんとYUKIさんは基本的なロープワーク経験者ということでリーダー組に入って貰ったが、次回は一般組のカリキュラムを習得してほしい。
 一般組は大倉キャンプ場でロープワークの復習と手持ち装備による救助搬出を学習した。岩登りをやらない人でも装備にカラビナと補助ロープを追加するだけで緊急事態に対処ができることを知って貰うのが一般組のテーマでもある。公認指導員のアッコさんからは、シュリンゲを用いた簡易ハーネスの作り方を教わる。シートベンドは必須の結び方として全員で反復練習を行う。また、キャンプ場の立木を利用して簡易ハーネスの効果を確認したり負傷者を介助搬送する際の支点通過など基本的なカリキュラムを実施した。
担架搬送の練習  昼食後は場所をスポーツセンター横の広場に移して担架搬送を練習する。組手やザック担架など女性でも十分に搬送が可能なことが理解できたと思う。その他、段差を乗り越えるためのV字プーリーやショルダーなどの実用的な介助手段を練習する。
 途中からリーダー組も合流して雨具による背負い搬送などを全員で確認して訓練を終了。
 最後に、初参加者の代表として内田さんのコメントを紹介して結びとする。

新しいことばかりでとても勉強になりました。実際の講習としては、ロープワークや搬出方法などとても参考になりましたが、それ以上にベテランチームの救助訓練に対する真摯な思いが伝わって、私もしっかりとした知識を身につけて山に臨みたいと強く感じました。内容的にはとても満足していますが、1日目の内容と2日目を若干シャッフルさせて1日だけでも、両方味わえる内容にして頂けると嬉しいなと思いました。
(ちょっと我儘な意見です・・・)   (内田)


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