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吾妻連峰集中山行
その1 沢登り・中津川
箭内 忠義

山行日 2010年9月18日~20日
メンバー (L)箭内、金子、飯塚、紺野、高木、高橋(俊)、深谷、中澤、成田、橋岡、永岡

 秋の集中、中津川は充実した完全遡行となりました。夏のシーズンは台風のため八久和川は中止となり、魚野川本流は雨のため枝沢遡行ということになってしまい、ズドンと手ごたえのある沢を集中に期待してました。
 そして、その通りの充実した山行になりました。今、中津川を振り返ってみますと、今回の山行は三峰のチーム力を示したものであったなという感想を持っています。
 若き実力者、高橋(俊)さんが終始先頭に立ちリードしてくれました。高捲きは勿論、滝を登り、渡渉も先頭に立ち、頼もしい存在でした。それを金子さん、中澤さん、高木さん、飯塚さん、深谷さんなどが支えてくれました。
 11名パーティーは2パーティーに別れての行動と当初計画しましたが、結局は11名が共に行動することになりました。そのため最大の課題は幕場探し、幕場確保でした。しかし、なんとかなるものです。あれこれと検討し、ここだっと決めると全員で宅地造成です。タープを2張りバシッと張ってしまいました。
 反対に最大の反省は最後の藪こぎ1時間40分です。奥の二股を過ぎ、登山道を示す赤布を見つけた時、沢靴と共に、方位磁針を仕舞い込んでしまいました。油断です。集合時刻に間に合わなくなってしまいました。
9月18日(土) 晴れ
 中津川レストハウスに夜中の1時20分に到着です。やっぱり宴会となり2時30分にシュラフに潜りました。17日は雨が降っていたようでした。
 18日、目覚めると皆さっそく沢の準備です。多少の増水でも突入の決意が表れています。レストハウスから続く遊歩道を行くと中津川の河原に降りられます。
 白滑八丁のゴルジュ帯は大きくU字谷になっており両岸は白く、ツルツルになっています。多少の増水状態です。微妙なへつりで沢靴のフリクションをきかそうと集中しますが、こけます。ザイルを出してもらいました。

白滑八丁は滑ります首まで浸かる渡渉です!流されます

 魚留の滝は手前から捲きました。東電の取水堰についたときに、そこにタープを張ったら楽チンだなあと思いました。しかし、更に前に進みました。
 銚子口の手前で1日目の幕としました。タープを2つ張れる場所を全員で作りました。焚火が燃え、満足感に浸る夜でした。

9月19日(日) 晴れ
 4時過ぎには起き、6時過ぎには出発です。気合いが入ります。出発してすぐに大きな釜が現れます。銚子口です。越えるとゴルジュが始まり、釜や小滝が続きます。首まで浸かる渡渉も出てきます。
 観音滝が出てきますが、見た瞬間登れないと分かります。左岸を捲きます。しばらく進むと橋桁の跡があります。昔の人はこんな山奥から木材などを切り出したのだろうか、すごいエネルギーだなあと感心してしまいます。
 神楽滝40m近くありそうです。轟々と流れ落ちています。尾根の捲き道を登り、しばらく水平に進んでいくと根の浮いた大木があり、それが目印となり下降していきます。
垂壁100mを高捲きます  2条に別れて落ちる夫婦滝を越えると熊落滝が現れます。本流が滝の先で右にカーブしています。滝の先が見えません。滝の高さはさほどないのですが側壁の高さが半端ではありません。天空をつく垂壁です。100mを越えています。意を決して高捲きです。キツイ登りです。お助けロープも出します。高く高く登った後は水平に藪をこいでいきます。時間を測り、15分水平に藪をこぎ下降口を探します。結局30mザイルを2本つなぎ懸垂下降1回で河原に降りました。11名の懸垂なので時間もかかり、高捲きに2時間30分近くかかりました。
 次の筋滝も左岸から高捲きです。人形石の集中に間に合わせるため朱滝を越えたいと思いましたが時間切れ。朱滝の手前で幕場を探しまたまた宅地造成、幕場を作りました。今日も焚火は元気よく燃え上がりました。

絶景の朱滝です 水が天空から落ちてきます 9月20日(月) 晴れ
 今日も4時には起き6時には出発です。出発するとすぐに朱滝が現れます。すごい滝です。天空から水が落ちてきます。落差はゆうに50mはあります。近づくと水滴まじりの風が吹きつけてきます。全体を写真に収めようとするとかなり離れたところまで下がらなくてはなりません。まさに絶景です。滝の下部の岩が赤くなっています。そこから朱滝と名前がついたようです。勿論直登はできません。少し戻ったところから大高捲きです。
 気合いを入れて高捲き開始です。急登は厳しいのです。今回は何度も滝を高捲いていますが楽になることはありません。高橋(俊)さんの判断よろしく、懸垂せず河原に降り立ちました。
 さあて、ここからは集中の時刻に間に合わせるために時間との勝負です。
 ナメとか小さな滝を越え、右岸に地面からお湯が湧き出し白くなっているところがありました。ヤケノママというところでしょう。
 集中に間に合わせるために奥の二股を左にとり途中から登山道を行くことに決めました。進んでいくと赤布が付いています。登山道の目印のようです。やったあ、もう大丈夫だ、間に合うとほっと安心してしまいました。ここで沢靴を脱ぎ、方位磁針も仕舞ってしまいました。しかし、登山道と地図には載っていますが道はありません。方角をきちんときちんと確認していかなかったので1時間40分の厳しい藪こぎを強いられていまいました。自業自得です。長い、長ーい藪を抜けた時はへろへろになってしまいました。当然集中には間に合いません。残念でした。
やっと藪を抜けると草原でした  大休止をして人形石を目指しました。人形石に着いたときは集中時刻より1時間40分も遅れてしまいました。
 グランデコスキー場のゴンドラの時間には何とか間に合わせようと急いで下山していきました。ゴンドラの乗り場に高橋(俊)さんと橋岡さんが車を駐車場に回してくれていたので程なく全員車に乗り込みました。

人形石で一応集中という形をとりました

〈コースタイム〉
9月18日
起床(06:00) → 出発(07:20) → 白滑八丁(08:20) → 魚止滝(11:20) → 東電取水口(12:25) → 銚子口手前、幕場(13:15)
9月19日
起床(04:10) → 出発(06:05) → 観音滝(07:15) → 神楽滝(10:40) → 夫婦滝(11:00) → 熊落滝(12:05) → 筋滝(14:45) → 10m滝の二股(15:30) → 幕場(16:00)
9月20日
起床(04:00) → 出発(06:05) → 朱滝(06:25) → ヤケノママ(08:10) → 藪道入り口(09:20) → 登山道(11:30) → 藤十郎(11:50) → 人形石(12:35) → 梵天山(13:30) → 西大巓(14:30) → グランデコスキー場(15:40) → 駐車場(16:10)


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