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吾妻連峰集中山行
その2 沢登り・大倉深沢 ~デート沢だよ大倉深沢~
さとう あきら

山行日 2010年9月18日~20日
メンバー (L)佐藤、天城、内田、杉本

 9月17日午後9時半、単独で天元台から入山するという三澤さんの車に便乗させてもらい、奥羽本線板谷駅にてステーションビバークとさせて頂く。ログハウス造りの快適駅舎に感謝です。
 翌18日、一番列車で庭坂駅に戻り、タクシーで浄土平までラクチンに標高を稼ぐ。まずは観光と、吾妻小富士をぐるり1周。天気もほどほどで、福島盆地も良く見える。
 10:50浄土平を出発し、1時間ほどで美しい鎌沼のほとりへ。木道が続き歩きやすい。ちょっぴり怖い表情の姥地蔵のところから谷地平への下降路に入ると、道はぬかり出し、ヌルヌルだ。14時半、三角屋根の谷地平避難小屋到着。20名程度収容の快適無人小屋である。
谷地平避難小屋  谷地平では木道の補修用木材の荷揚げをヘリでやっている。30本ほどをモッコに入れて浄土平から輸送するのだが、片道6分で到着するとのこと。我々は3時間半かけて歩いて来たのだが・・・。その後、三澤さんが大倉新道経由で小屋に到着。今宵の夕食は天ぷらだ。女性陣の手際も良く、採りたてキノコもおいしく頂きました。
 19日、出発7時半。谷地平を横断し、大倉深沢へ入渓8時。しばらくは平凡な河原歩きで退屈だ。1時間半ばかり歩いたところで、ストックやタオル、帽子が河原に落ちている。誰かいませんか~、と声かけするが、反応なし。遭難者が近くにいるのだろうか?ちょっと気味が悪かった。
 11時、F1到着。この沢の唯一の急な滝だ。滝壺を前にビーフン昼食を作って1時間の大休止後、天城さんのリードで滝を越えると渓相が一気に変わった。美しく苔むした滝が次々と現れ、いずれも階段状の水流の脇を登る。ふわふわとした苔の感触が足の裏に柔らかく広がり、厚く敷かれた絨毯の上を歩くような心持である。
苔むした沢  今度は急に源頭部の笹原になった。蛇行する細くなった水流に従い歩みを進めると、いつしか水は切れ、周囲はブルーベリー畑に。甘酸っぱい果実を口に放り込みながら傾斜のなくなった草地をたらたらと進むと、そのまま五色沼のところの縦走路に出てしまった。13:10。予想外の優しいフィナーレに皆感激で、また来てみたいデート沢として、こちらにも一票です。
 家形山を越えて今宵の宿泊予定地を目指すも、時間切れで昭元山の登り出しのところでビバークとなってしまった。残念。
 20日、7時半出発。東大巓への登りで、昨夜谷地平小屋泊だった小幡氏のコールが聞こえる。我々の少し前を歩いているようだ。快適木道を進むと、東大巓の先で大田パーティーが待っていてくれていた。山の中で会のメンバーに会うのはうれしい。
源頭部をバックに  積雪期は何度も歩いているこのコースだが、無雪期は今回が初めてで、池塘の規模が大きく、その中を延々と続く木道がこれほど長大だったとは意外だった。また秋になっても華麗に紫色に群生しているエゾオヤマリンドウが美しい。
 ほぼ集合時刻の10:50人形石到着。4パーティー、14名の集合だ。中津川組の11名は間に合わなかったが、若い会員が増え、つくづく三峰の盛り上がりを感じた一瞬だった。
 11:20下山開始。リフト、ゴンドラを乗り継ぎ、白布温泉西屋で入浴。古いながらも味わい深く趣のある湯屋で、どうどうと流入する湯量にも圧倒されそうだ。その後米沢で峯川パーティーと合流し、一緒に米沢牛に舌鼓を打ち、新幹線で帰京した。
 今回は体力抜群の天城さんに加え、若きホープの内田さん、ダークホースの杉本さんと楽しいメンバーに助けられました。ではまた次回もよろしく。


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