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吾妻連峰集中山行
その3 沢登り・前川大滝沢
小芝 泰規
原田 比呂野

山行日 2010年9月18日~20日
メンバー (L)森田(温)、小幡、大田、原田、小芝

【執筆】小芝
 もどかしい思いで黒板を見ていた。集中山行前のルームで出揃ったいくつもの楽しそうな計画を見ながら、土日しか時間が取れない私は、半ば参加を諦めていた。しかし、森田さんも同様の状況であることが分かり、「週末だけでも行こう」と声をかけてもらったことから、例会の中盤まで参加できることになったのだ。
 例会までの数日間は天気が不安定だったが、当日は天気も良く清々しい朝を迎えられた。入渓点となる滑川橋から見る川は独特で、流れに当たる岩肌が茶褐色に染まっている。これは、川に温泉の成分が混ざっていることによるらしく、水を口にしてみると確かに温泉のあの酸っぱい味がする。
 東北の沢なので水はかなり冷たいだろうと考えていたが、温泉の効果?か、実際にはそれ程でもなかった。とはいえ、北へ登る今回の沢登りでは、東側の山々のために陽が殆ど差さない。積極的に沢に飛び込む気分にはなれず、まるで猫が水に触るように遡行が始まった。もっとも入渓後10分程で私は釜に落ち、全身ずぶぬれになってしまったのだが。
 入渓後、1時間ほどで大滝が姿を現した。デカイ!!高さ120mと言われているが、高さも然ることながら、幅も40~50mはありそうだ。今までこれほど大きな滝をこんなまじかで見上げたことがあっただろうか。岩肌をこぼれ落ちるよう流れる滝は今まで私が見てきた滝とは明らかに異なっていた。しばらくの間、何も考えずにただ滝を見ていた。
圧巻の大滝  その後も、「ああ、来てよかった。」と思うことが何度もあった。テニスコート程の幅はあろうかという開けたナメが続いたかと思うと、風景画を描きたくなるような巨石群が現れる。気持ちよく登れる小滝が連続し、随所に現れる大小の釜には薄緑の澄んだ水をたたえている。ナメ滝と釜はまさに天然のウォータースライダーで、もしも今が夏だったら、遊びすぎて1日では登れなかったかもしれない。
 沢は終盤で登山道と交わる。沢はまだ続くが、今回はそこで遡行を終える。靴を履き替え、登山道に入ると道は丸太の階段になっていて、明月荘までしっかりと整備されていた。
15:00頃に到着した明月荘はきれいな避難小屋で、周囲は開けた湿地帯になっている。そこで、日が暮れるまで原田さんお手製のつまみで一杯やった。18:00過ぎる頃には瞼が重くなり、そこで1日目を終えた。

【執筆】原田
 2日目は下山する森田さん、小芝さんと別れ、小幡さん、大田さんと三人で美しい五色沼を眼下に一切経山を目指し直下のガレた急登を登り、頂上で休憩したかったのですが風が強くて断念。カルデラの綺麗な吾妻富士を見ながら下って酸ヶ平避難小屋まで行き、一本。鎌沼を回り、谷地平避難小屋への道は結講な下り。あまり人が通らないようで、ぬかるんでいることもあり荒れた感じでした。小屋に着くと、先客に埼玉の方が一人。後から宮城のお二人がいらして、焚き火大好きな私が皆さんをけしかけ、河原でお酒をのみながらの宴会。山のお話で盛り上がり、楽しかったです。
 最終日は途中すれ違いの小集中で三澤さんからも聞いていたのですが、宮城の方からも大倉新道の上部は迷いやすいと教えていただいた通り、身丈程もある笹の薮こぎ、枝沢登りという感じで斜度はきつくないのですが結講大変でした。東大巓を過ぎたあたりで明さん達と合流し、賑やかに人形石を目指しました。中津川組を除いて皆で集中。
 リフトで楽チンに下りた後の新高湯温泉までの急な下りは、足を痛めた私には最後の核心でした。初めて集中に参加させていただきましたが、他のパーティーと山で出会えるつて、とても素敵な体験でした。皆様、有り難うございました。

〈コースタイム〉
9月18日
東京駅【バス:¥5,660】(23:50) → 米沢駅(4:30)・米沢駅【タクシー:¥10,000 ※途中でメーターを止めてくれた。実際は+¥1,000程度かかると思われる】(05:00) → 滑川温泉(滑川橋)(05:50) → 滑川橋(06:30) → 潜滝手前の登山道(13:00) → 明月荘(15:00)
9月19日
明月荘 → 家形山(11:15) → 一切経山(11:50) → 酸ヶ平小屋(12:20) → 谷地平小屋(14:45)
9月20日
谷地平小屋(06:00) → 大倉新道 → 東大巓分岐(08:30) → 人形石(10:30) → リフトのりば(11:50)


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