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吾妻連峰集中山行
その4 縦走・高湯温泉~白布温泉
山本 洋子

山行日 2010年9月19日~20日
メンバー (L)峯川、鈴木(章)、澁谷、森田(純)、山本(洋)

 「大奥ご一行様だね」・・・とアッコさん曰く。残念ながら西尾さんはご自宅でのけがで欠席となり、男性は峯川Lのみ「黒一点」での旅路のはじまりとなりました(後に三澤さんが合流され、黒二点に)。

【9月19日】曇り、時々小雨
 集合は新宿西口住友ビル内のバスターミナル。60年代風な制服姿の係の女性が行きかい、電光掲示板に各夜行バスの便名がずらり。そばにはコンビニも。田舎者の私はここから大興奮。乗り込んだバスには、乳母車のひさしのような目隠しも!(コクーンと言うらしい)「快適安眠タイプ」の名そのものだ。出発は予定の23:25を少し過ぎたものの、5:00前には福島駅着。ジャンボタクシーに乗り込み、登山口へ。
 元山屋の運転手さんに相談し、当初出発予定地の高湯温泉を過ぎ、無人の料金所を突っ切ってさらに先へ。磐梯吾妻スカイラインのワインディングを軽快に飛ばし、不動沢登山口で下車(タクシー代10,910円 マルイチ交通タクシー)。駐車場下手の登山口(登山者カードのポストあり)から、縦走スタートとなった(6:30)。
 しばらく歩けば「賽河原」・・・のはず。だが、申し訳程度、猫の額の小広場を「これが賽河原???」と首をかしげつつ通り過ぎ、しばし休憩。アッコさんお手製のみたらし、あん団子に舌鼓を打つ。まさに峠の茶屋です。なだらかな道、見上げる高さの木の枝にテープ。積雪期、スキーの名所であると教えてくれる。道中、木の看板に「KO」の文字。ノックアウト?その下には「命懸けて営業中」。かの慶応吾妻山荘のようだ。寄り道がてら、木道をしばらく歩くと立派な山小屋にでくわす。料理も評判の山小屋とのこと。いつかまた、と思いつつ引き返す。
 この間、峯川L、1時間ごとの無線交信にトライするものの、空振り続き。「9:00の交信はとばそうか」と言いつつも、アンテナを伸ばすと、ビンゴ。三澤さんと交信成功。五色沼あたりで合流できそう。
 荒涼とした一切経山をバックにした五色沼は、圧巻。ここで三澤さんと合流する。その手には白く輝く巨大な「サンゴハリタケ」。「3メートルくらい木登りして取った」とのこと!曇天の中、コバルトブルーの「魔女の瞳」とまではいかないものの、しばし湖面に見入る。
一切経山をバックに家形山で家のポーズ  家形山へ向かう道を選んでからはしばらく展望のない尾根歩き。家形山山頂では森田(温)隊とちょうどのタイミングでプチ集合に。このあたりから烏帽子山までは泥、泥、泥・・・。踏み石はあれどスパッツは見る間に泥だらけ。時折、生い茂った笹との格闘もあり。
 途中、姥湯からのルートと合う兵子(ひょっこ)分岐(姥湯への山道はもう復旧しましたよーとの表記)。ニセ烏帽子(1,836m)を経て、樹林帯を登り返すと烏帽子山(1,879m)に到着する。谷地平方面に開けた展望にようやくほっと一息。ハイマツが点在する巨石ごろごろ道を恐る恐る下る(ここで山本は一気に古傷持ちの膝をおかしくする)。
 昭元山(1,892m)への登りにかかったところで、山本は膝の痛みに白旗。アッコさんにサポーターを借り、ほかのみなさんには米などの共同装備を持ってもらうことに・・・。調子に乗ってがしがし歩きすぎました。猛省。樹林帯を過ぎると、湿原に。東大巓(1,927m)だ。
東大巓手前の吾妻らしい景色  明月荘への分岐を過ぎると弥兵衛平湿原が広がる。木道そばに群生していたブルーベリーを貪りつつ、明月荘へ急ぐ。時間は15時過ぎ。既に混み合っていた1階を避けて2階の一角を陣取り、先陣のみなさんには少し離れた場所で金名水をくんでいただく。(その後も利用者は増え、総勢40人近くに。不動沢までタクシー利用を延ばして稼いだ1時間半の「貯金」のありがたみを痛感)。食欲を刺激するサラミ&にんにくの芽の炒め物、三澤さんのサンゴハリタケ入り(!)けんちん汁などを鼻息荒くいただき、20時ごろには就寝。
【閑話休題】
 日中のプチ集合の折、前夜に明月荘に泊まられた諸姉が、峯川Lに何やら進言。ソロで若く美しい女性が明月荘に泊まっているぞ、とのことらしい。頼れるL、峯川さんは、ソロ女性を見つけて個人名刺をそっと手渡した。「三峰山岳会に入りませんか」・・・。その後、連絡があったかどうかは定かでありません。

快適な明月旅館有難うございました! 【9月20日】ほぼ曇り
 起床は5:30。昨夕から風邪気味だったアッコさんだけれど、朝には体調を戻され、山屋の面目躍如と感銘を受ける。山本は懲りずに朝も鮭のお粥をおかわりしアッコさんから「鍋さらい」を拝命する。一晩おいてよく冷えた峯川L作の杏仁豆腐は格好のデザートでした。
 西吾妻のなだらかな山並みを遠景に、湿原を歩く。そこここに「湿地回復中」の看板。荒廃した土壌に種をまき、植生回復されているよう。
人形石に向かって湿原を進む  藤十郎(1,860m)分岐を経て、中大巓へ登りきる間際、人形石に一番乗り。風とガスを避けて岩のたもとで休憩する。防寒態勢でウィスキー入りの紅茶をちびちびいただきながら、集合を待つ。リフトのアクセスの良さか、この間、複数のグループが通り過ぎる。
 集合後、出発の時間にはガスが消え、西吾妻山の稜線がくっきり見えた。ここからは隊列で北展望台へ。(山本の膝痛もあり)リフトを乗り継ぎ、天元台まで下る。グラススキーを楽しむ人が眼下に見えた。ここで二手に分かれ、われわれは秘湯、新高湯温泉「吾妻屋」へ。傾斜のある山道、トップのアッコさんの姿が見る間に遠く、小さくなる。確か、風邪をひかれてたはずなのですが・・・。
 秘湯を堪能し(冬、温泉につかった猿のように呆けてしまう)、缶ビールをぷしゅっ。何にも代え難い瞬間であります。帰路は白布湯元まで歩き、ジャンボタクシーで米沢駅へ。(9,790円 吾妻観光タクシー)

【おまけ】
 米沢駅前では偶然、佐藤さん隊にばったり。プチ集合とあいなり、タクシーの運ちゃんに教えていただいた米沢牛の店「まるぶん」で牛鍋定食とビール、日本酒を堪能しました。個人的には初体験の縦走、小屋泊まり、膝痛までも、すべてが新鮮な体験。バスやタクシー手配、帰りの新幹線予約まで、細やかな心遣いをいただいた峯川さんのリーダーぶりに学ぶところ多でした。お疲れさまでした。

※途中出会った花やキノコ、なだらかな連峰・・・と見どころの表記、景観をたたえる形容詞が非常に乏しいのは、ひとえに山本の知識のなさ、余裕のなさと視界の狭さ(息切れと膝痛に負けた)ゆえです。ここにお詫びして、次回のリベンジを期します。

〈コースタイム〉
9月19日
福島駅(05:10) → 不動沢登山口(06:05~30) → 湯の平(07:35) → 慶応吾妻山荘(08:30) → 硯石(08:40) → 家形山(09:50~10:00) → 森田(温)隊集中(10:25) → 堀田林道分岐(11:00) → 兵子(11:06) → ニセ烏帽子山(11:25~35) → 烏帽子山(12:10~25) → 昭元山(13:00~10) → 谷地平分岐(14:15) → 東大巓分岐(14:35) → 明月荘分岐(14:45) → 明月荘(15:10)
9月20日
明月荘(07:30) → 分岐(07:55~08:05) → 大平温泉分岐(08:35~45) → ヤケノママ分岐(08:55) → 人形石集中(09:40~11:20) → 第三リフト(11:55) → 天元台スキー場(12:40) → 新高湯温泉(13:10~14:30) → 白布湯元(14:50)=(タクシー)=米沢(15:30)


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