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渡渉訓練・多摩川海沢出合
小幡 信義

山行日 2010年7月31日~8月1日
メンバー (L)小幡、佐藤、天城、斎藤(吉)、YUKI、山口(敦)、小芝、原田、永岡、成田

 上ノ廊下に向けてのトレーニングで計画した。1日目は丹波川で渡渉訓練、2日目は一之瀬川本流で泳ぎの練習と考えておりましたが、7月18日~19日にかけ下見として行ったところ、一之瀬川本流は流れが強過ぎ泳ぎの練習には不可と判断し、昨年、救助訓練をした多摩川・海沢出合での渡渉と、海沢の下部曝流帯は深い淵、大小の滝を持ち変化に富んでいて、初心者から中級者まで満足のいく沢登りができる好ルートと案内されているため、訓練場所を変更して行って来ました。
7月31日 くもり一時雨
 佐藤車と斎藤車に分かれ鳩ノ巣駅トンネル手前の駐車場で合流の計画。我々は9:00に着く。待つこと30分で佐藤車も到着し訓練場所の海沢出合に向かう。駐車スペースがないため道路脇に停め、沢装備に着替えてとことこ河原へ降りて行く。
海沢出合で渡渉訓練開始です  深さ・水流・巾等、条件に合った場所を選定し訓練に入る。主に実施した渡渉訓練は
1.単独渡渉
2.スクラム渡渉(2人または3人)
3.ザイルでの確保方法
 一通り終わった後は上流に向って川を歩く。奥深い沢と違って川底の石ころにはぬめりがあり汚れているなと感じる。適当な所で切り上げる。
真剣そのものでの渡渉訓練  空模様も怪しくなり、急に激しい雨となる。橋の下で行動食を喰いながら通り過ぎるのを待つ。排出管からはまとまった雨水が音をたてながら落ちて来る。30分もすると小降りとなる。終了するには時間的に早いので、ザイルを使った懸垂渡渉を試みる。エイト環に体重を預けて渡るとどうもうまくいかず流されてしまうようだ。岩場の懸垂と急流での懸垂との違いを体験できた。交替で行っていると、川の色が濁ってきた。今まで顔を出していた岩が見えなくなってきて川が増水してきているようだ。上流でまとまった雨が降ったのか?しばらく様子を見ていると段々と川の色が土色に変って流れも強くなってきたようだ。渡渉訓練も一通り行ったので、本日は終了とし車に便乗し海沢林道へ走る。テント場は海沢園地辺りはどうかと思っていたが平らな場所がなく、2張は無理のようで再び来た道を戻りテン場を探す。来る途中に適当な空き地があったということで目指す。先客が陣取ってバーベキューをしているようだが、手前のスペースで何とか張れそうで本日の幕営地とする。夕方からは焚火を囲みながら隣の山岳会のおばさん連中が花火を持参し、賑やかな花火大会となってしまった。
8月1日 くもりのち晴れ
 2日目。下部曝流帯での泳ぎがどれだけ上ノ廊下に役立つか心配であるが、とりあえず7:00にテン場を後にし、入渓地点である天地沢出合に出向く。林道を20分程下降した所である。降りると入口の脇でキャンプをしている人に会う。見たところ釣り人のようだ。何か言われるかなと思い顔を合わさず急ぎ足で行く。10人も入ってしまったら釣りもお手上げになってしまうだろう。しばらく遡行するが淵が全く現れない。「これでは訓練にならないではないか」と思いながら進んで行くと8~10mの長さのそれも背が立ちそうもない淵が出現、先頭で進んでいた私が躊躇しているとYUKIさん、小芝さん、永岡さんと若手メンバーは水に戯れるように果敢に攻めて行く。へつって泳いで小滝を登り、岩の上で早く来いといった顔だ。最後となった私は思いきって淵に入りラッコ泳ぎでなんとかクリアーする。水流が殆どないので助かった。
苔一面のゴルジュ帯  その後も釜が5~6個現れ短いながらも飽きることのない曝流帯であった。右側に井戸沢の美曝を見送るとゴーロ歩きとなり、下部の遡行は終了となる。当初の予定はここまでであったが時間も早いし、皆も先へ行きたい希望で三ッ釜に足を進める。通常は左側を登って行くのであるが、YUKIさんは釜に入りその上の壁をよじ登って行く。それを見ていた永岡さんも負けじと釜に飛び込み壁にアタックしたが、岩登りに慣れてないのか3~4m行った所で釜にドボンする。見ていた全員で大笑いであった。
三ッ釜上部の滝  次はネジレの滝だ。ここは斎藤さんが若者に負けてられないと思ったのか1番にトライ。下段は左側をトラバースして一旦少し降り下段の落口に立つ。上段は右側の岩をよじ登って行く。それを見ていた小芝さんが後に続く。上段の岩登りはロープを出した方が安全と考え、3番目として私が行く。ロープをフィックスしプルージックで一人一人登りきる。ネジレの滝を越えると25mの大滝が立ちはだかる。大滝とこの先の不動の滝10mとも大きく高捲くのみであり、今回はここで終了とし海沢探勝路を通り下山する。
 上ノ廊下の準備として計画した渡渉と泳ぎの練習。自分としてはまだまだ練習不足と感じるが、あとは天候とメンバーの協力で何とか成功させたいです!


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