トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ335号目次

編集後記

 なぜ山に登るのか?よく聞かれる質問です。重いし寒いし辛いし無理するのに、なぜだろう? 今回の岩つばめは正月合宿もあり、いつにも増してどっぷり山につかった臨場感満載でした。これを読んでいて、皆が山で心を大きく揺さぶられているのが伝わってきました。そうか、空中ブランコ級の振幅で心が揺り動かされるのがまた向かってしまう理由だったのか!!と、4年編集補佐をして答えが1つみつかりました。

(大田)

 参考のために、恥を忍んで2月の連休に奥秩父に行ったときの失敗談を。
 歳とともに指先が冷たくなるので、手袋は厚めのもの、ミトンも羽毛の温かいものを使っています。普段は手袋はお湯でもみ洗いをしていましたが、正月明けに山から帰ってきたときに、うっかりほかの衣類と一緒に洗濯機に放り込んでしまい、そのため目がつまってしまったのですが出発前に点検しなかったので気づきませんでした。
 入山して手袋をはめたらやけにきついのです。初日はやや湿った雪でした。そのためミトンとともに少し濡れてしまいました。ミトンの撥水性も落ちていたのかもしれません。両方ともシュラフに入れて寝ましたが、乾ききりませんでした。翌日は予備の手袋に代えたのですが、これも久しぶりに使ったもので窮屈でした。でもこの日は冷たくはあったけれど無事でした。3日目は天気はよかったのですが気温が下がり指が冷たくて難儀しました。指を動かしたり息を吹きかけたり、手袋から指を抜いて擦り合わせたりしてやり過ごしました。15時前にテン場に着きテントを張った後、天気がよかったので表で作業をしました。実際は麻痺していたのでしょうが冷たくなかったので素手でした。これが最後のとどめだったのでしょう。テントに入ると指先に異変がありました。コッヘルに微温湯を入れ指を温めましたがすでに計7本黒ずんでいました。水疱はできていなかったので凍傷の程度はI度でしょうが、半月後の今日もまだ4本ほど黒ずんだままです。
 大事には至らないでしょうが、今シーズンの雪山はあきらめることにします。不注意と慣れと油断が招いたものです。

(天城)

 京都盆地の北西に「愛宕山」(924m)という山がある。全国に同名の山は多いが、ここが本家本元のようである。落語にも「愛宕山」という演目がある。幇間(たいこもち)が旦那のお供で野駆け(ピクニック)に行き、かわらけ投げのかわらけの代りに投げられた小判を谷底まで命懸けで拾いに行くという奇妙奇天烈な噺であるが、人気があり演者も多い。桂米朝の「米朝ばなし」(講談社文庫)によると、この噺を習ったとき「(実際に愛宕山に)行ったらやれんようになるで、この話嘘ばっかりやさかい。」と言われたそうであるが、逆にこのエピソードに刺激され、落語「愛宕山」を聞きながら「愛宕山」を登ってみようということにした。そして、米朝、枝雀、文楽、志ん朝の4名が演ずる「愛宕山」をデジタルプレーヤーに詰め込んで京都・嵐山へ向かった。登り口から個性の違う4人の落語を順々に聞きながら、時々怪しくニヤニヤ・ニソニソとほくそ笑みながら登る。そしてたしかに噺と実際は大違いであると納得したり、今まで気づかないで聞き流していたことに新発見があったりして大収穫。細かな研究結果報告(?)はマニアック過ぎるのでやめにしておくが、こういう山の楽しみ方もあるのです。あ~ぁ、なにやってんだか。

(西尾)

 昨年11月に山で右足足首を90度以上曲げる捻挫をして足首の靭帯を断裂・・・。なんとか医者を騙して正月に仙丈ヶ岳に行ってきました。未だ完治しない状況で、多分一生足首に違和感を持ったままだと思います。山は行くエリアを狭めればいいのですが、茶道において正座がやりにくくなるのがなんとも悔しいです。

(峯川)

トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ335号目次