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ハイキング・甲州馬蹄形縦走
川崎 恵美子

山行日 2011年1月9日
メンバー (L)川崎、鈴木(章)、渡辺(智)

 大菩薩から連なる日川尾根の末端に位置する無名の小さな山々を繋いで歩く。この時期、真っ白な南アルプスの眺望を楽しみながら自然林の中を歩くのは実に気持ちがよい。
 実は4年前に一度チャレンジしたのだが時間オーバーで日没までに馬蹄を作り上げることができなかった。今回はしっかりと読図の予習をし、スピードアップを図ることで最後に大善寺に寄る時間もひねり出すという作戦だった。
 朝8時過ぎに、甲斐大和駅を降りたのはやはり私達三人のみだった。古部集落から果樹園の中を通り抜け尾根に取り付いた。まず最初に目指すは徳並山だ。ほんの数分歩いただけでもう南アがちらちらっと見えてくるので最初からわくわくしてしまった。しばらく進むと今度は大きな富士山も見え出し、以前はなかったはずの尾根を遮る赤松の大木の倒木を跨ぎ、岩場を数箇所抜けるとあっという間に徳並山頂に着いてしまった。
 続いて西大志山、東大志山と急登、急下降を繰り返し、次に目指すは古部山。ここは手前にそれらしきピークがあるのでまだかまだかと思うところだがそんな時もちょっと横目で南アをみるとまた元気が沸いてくるから不思議なものだ。
 歩きながら、「この辺りは馬蹄のカーブのところだね」なんて言いながら地形図のカーブと歩いている感覚が一致している時の心地よさを感じながら次に目指すは三角コンバ。こういう地名がついていたりすると何かいいものあるのかしらと期待してしまうが、そんなものはあるわけがなく、ただそこが三方向の分岐だというだけだ。そこからほんのひと登りで境沢の頭へ到着。前回はそこからちょっとずれて下降してしまい道路へ飛び降りる羽目になったのだったが、今日は予定通りの方向に進めて、おまけに途中でちょっと思わず立ち止まってしまうような素敵な光景に出会った。大きな富士山とその前に連なるいくつもの山々がまるで水墨画のようにもやっとした感じに見えたのだ。メルヘンの世界っていうのか正にそんな感じの風景で三人でしばし見とれてしまった。
秘密の富士見場所から  ここからは後半戦に入る。メルヘンの世界に浸った後には道路で寸断された尾根から下り、また新たに尾根に這い上がらなくては先に進めないのだ。
 目指すは宮宕山。そこまで行けば後はひたすら勝沼目指して下山すればいいので大分気が楽になっていた。しかし、いつまでたっても宮宕山に着かなかった。やはりここらで疲れが出ていたのだろう。
 何度もだまされながらやっと宮宕山の山頂に着いてみたら、なんと今日ここまで人間を一人も見なかったというのにマウンテンバイクの一団が山頂付近を占拠していたのにびっくり!こんなところを自転車で? とこっちは思うけどあちらは「ここって歩く人がいるんですかっ?」なんて逆に聞かれてしまいびっくりだった。
 宮宕山山頂からちょっと下った次の小ピークは私がこの辺りで最も気に入っている富士見場所のひとつだ。早くそこに着きたくて思わず走ってしまった無邪気なわたしがいた。時間的には逆光でしかたがないが、やはりでーんと大きく聳え立つ富士山は何度見てもいいものだと思う。この先にも大富士見台(棚横手)やら富士見台(甲州高尾山)やら富士見場所があるが、私はこの無名ポイントが一番好き!
 甲州高尾山を過ぎると後はひたすら下山体勢だがここから下界までは長い、長い。早く下りてお風呂入って新年会しようと頑張り15時過ぎには無事に下山できた。
 大善寺の薬師如来に会いたいというアッコさんの希望は叶えられなかったが(5年に1度の御開帳時のみ公開)新年最初の縦走の締めに由緒あるお寺の静寂な境内をぶらっとすることができたのはとてもよかった。
 その後は滅多に来ないバスに乗れ、勝沼ぶどう郷駅からそのまま八王子へ出て、純子さんご推奨のお風呂で汗を流し、お好み焼き屋で広島焼きをつつきながら新年会&反省会で充実の一日を終えた。
 アッコさん、智世さん、お陰さまでやっと甲州の馬蹄形をなぞることができありがとうございました。

〈コースタイム〉
甲斐大和駅(08:10) → 徳並山(09:25~35) → 西大志東大志(09:53) → 古部山(10:25~35) → 三角コンバ(11:40~50) → 境沢の頭(12:00) → 宮宕山(12:55) → 棚横手(13:05) → 甲州高尾山(14:05) → 大善寺(15:15)


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