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ハイキング・御坂黒岳北稜~南稜
峯川 正行

山行日 2010年11月3日
メンバー (L)峯川、成田(義)、原田

 最近、お試しや新人の方も多いのでハイキングを入れてほしいという委員会からの要望で、この計画を紅葉が綺麗かと思う時期に入れたのですが、目と鼻の先の三ッ峠で新人を対象としたロープワーク講習が行われることになり、数日前までメンバーが揃わず中止にして仕事か自宅の茶室の炉開きの準備をしようかと思っていると、原田さんから是非行きましょうとの連絡が。そして成田さんから別ルートの提案があり、その案に従えば参加という条件提示があり、このメンバーなので即決で一般ルートからこの黒岳北稜から南稜を忠実に歩く歯ごたえがあるであろう縦断ルートに変更致しました。
 勝沼ぶどう郷駅からタクシーに乗り、国道137号線を進み、新田バス停先の唐沢林道に入ってすぐにゲートで降ろしてもらいました。ここが御坂黒岳北稜のスタート地点となります。この林道はどんべい峠に続く壮大な林道のスタート地点です。下道があり尾根に続いていたので適当に取り付きます。私は今日は新しい登山靴の履きおろしでした。巣鴨のゴローで購入したS-8で長い付き合いをしたいと思い先日購入しました。少し大きめでぶかぶか感が気になってのスタートでした。しばらく登ると露岩が出てかなりの急斜面です。
 登山靴を彼女に譬えるならば、最初のデートで高級レストランに入ったような感じです。この急斜面をまだ手もつないだことのない『彼女』と登るのはなかなか大変です。明らかにぶかぶかで靴の中がずれるのを感じながらだましだまし登っていきます。すぐに林道のヘアピン部にぶつかるはずだったのですが、なかなか林道に合流しません。朝一のアルバイトでかなりの汗もかき、岩がなくなり斜度が緩くなってようやく林道に出ました。成田さんは涼しい顔をしてこの先のルートを調べていました。休憩しながら『彼女』の靴紐をしっかり結びます。15mほど林道を進んで法面の左側を少し下り、法面際の急斜面を登って尾根に戻ります。『彼女』の素生がわからないのかまだしっくりきません。しばらく急登をこなすと等高線の間隔が広がってきて楽に自然林を楽しむことができるようになってきました。1,280mの三等三角点付近はうっすら紅葉が始まり休憩するのによい場所です。ここからは辺りの紅葉を楽しみながらのちょうどいい等高線の間隔の斜度を登っていきます。
紅葉したミズナラが点在する気持ちのいい尾根  ここで『彼女』とお話しなくてはと様子を伺いますが、やはりしっくりこないです。まだ靴の中で靴下が遊んでいるようです。登りはなんとかごまかせるので山頂で対策をとることとしました。
 1,430mの四等三角点で方向が少し変わり、多少藪が被っていますが方向を定めて鞍部に向けて下ります。どこからでも下れそうな感じでしたが前方に見え始めた立派な御坂黒岳やコンパスを頼りに方向を定めて鞍部に無事に到着です。1,475m点を過ぎると釈迦ヶ岳からの一般ルートに合流です。ブナやミズナラが点在し見上げれば素晴らしい紅葉が広がり私はシンガリでゆっくりと『彼女』とお話しながら登ります。成田さんは快調にどんどん登っていきます。原田さんも成田さんのペースには驚いています。
 しばらくゆっくり登っていると御坂黒岳に到着です。そこでは大宴会が開催されていて、そそくさと先の展望地点に進みます。本当は三角点を探したかったのですが・・・。5分くらい進むとその先には絶景が待っていました!
 山頂に少し雪をかぶった秀麗富士がどかーんとあるではないですか。これほどの圧倒的なスケール、そして雲ひとつない状態での富士山は本当に久々です。
この絶景を待ってました!来てよかったです  河口湖や集落もここから見ると箱庭みたいでした。この素晴らしい眺望をしばらく見入ってしまいました。ここは最高のビューポイントなのでたくさんの人がいてむさ苦しくて頭が痛くなりそうなので、南稜への入口の静かな所でランチとしました。
 歩きながら『彼女』の対処をどうしようか考えていたのですが、もしものために『元彼女』を連れてきていました。今まで使っていた靴のインソールを拝借させていただき、二重インソールとしました。なんとも新しい『彼女』には申し訳ないのですが、下りでぐずぐず言われては困ったものなのでしょうがないです。このお陰でなんとかしっくりときて問題なく下れそうです。南稜は途中までは一般ルートです。紅葉の中、富士山を見ながら下れるのは最高です。結構な急坂でいくつか虎ロープがありました。足元をしっかりと確認してゆっくりと下ります。ここでも私はシンガリです。『彼女』とようやくまともに話せるようになって良かったです!
 御坂トンネル分岐、広瀬分岐を過ぎ、烏帽子岩を目指して忠実に南稜を進みます。岩が少しずつ現れ、それっぽい大岩があり、登れるはずである烏帽子岩ですが、周囲を見ても登れる場所はなく、違うね~と言って少し進みます。ちょっと先にいくとありました!烏帽子岩です。裏側にスラブがありここから登れるようです。成田さんは今日は烏帽子岩に登ると決め込んでいたようで、すぐに登り始めます。私は『彼女』のこともあり、降りる時に滑り落ちるのは嫌なので原田さんと一緒に成田さんを見守ることに。烏帽子岩からは大展望だったようです。降りるときはお尻をつけてのクライムダウンで無事降りてきました。そしてあっという間に成田さんは先にいってしまいました~。
 この南稜はほぼ樹林帯ですが、途中展望が利く場所があり、その都度、富士山と河口湖の展望を楽しみます。新人さんが多く集う三ッ峠もどんどん近付いてきます。みんな頑張っているね~と原田さんとお話しながら進みます。あとはいくつか迷いポイントがあったのですが、読図練習のつもりで初心に帰ってコンパス、地形図を出しながら無事にコテージが点在する道に到達しました。こんな立派なコテージは維持が大変だね~と言いながら降りるとサニーデ・ビレッジという立派なリゾートホテルに降り立ちました。ここは薩摩藩島津公の別荘があったそうです。江戸時代で河口湖に別荘を持つなんて、なんて時代を先取りしていたのでしょうか。
 我々がホテルに入るのはおこがましいのですが、許可をとってホテル内でビールとチューハイを買って、どでかい富士山を見ながら乾杯です。しばしのんびりしてからホテル前から河口湖駅までバスで行きますが、紅葉見物と大月からの高速道路無料の影響かめちゃめちゃ道が混んでいました。成田さんがしきりに乗りたがっていた富士急登山電車はぎりぎり間に合い乗れました。200円追加ですが、とても面白い電車で飽きずに大月駅に到着して、そのままホリデー快速ビューやまなし(自由席は通常切符で乗車可能)に乗り込むことができました。今までこのホリデー快速ビューやまなしに乗ることができず悔しい思いをしていたので、嬉しい限りでした。帰路は珍しい電車に乗車できて満足でした!やはり電車での登山はいいですね~。渋滞ないし、お酒飲めるし!
 私は御坂界隈が大好きです。少し遠いけれど何か品があり、筋も通っているような納得のいく山域だなあと。今後は一人で静かに来れればいいなあと思っています・・・。

〈コースタイム〉
勝沼ぶどう郷駅(08:15)=(タクシー)=唐沢林道ゲート(08:45) → 北稜取付(08:50) → 林道ヘアピン部(09:35-45) → △1,280m(10:00~05) → △1,430m(10:40~45) → 一般登山道合流(11:40) → 御坂黒岳(11:58) → 展望台(12:00~40) → 御坂トンネル分岐(13:18) → 広瀬分岐(13:20) → 烏帽子岩(13:45) → 1,156m点(14:35) → 馬乗石岩【△942m】(14:58) → コテージ林道(15:05) → サニーデ・ビレッジ(15:10~50)=(バス)=河口湖駅(16:25)

〈諸経費〉
タクシー:勝沼ぶどう郷駅~唐沢林道ゲート 5,120円
甲州タクシー:0553-33-3120


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