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縦走・谷急山
小芝 泰規

山行日 2010年11月6日~7日
メンバー (L)鈴木(章)、森田(温)、川崎、飯塚、原田、小芝

 妙義山周辺は、山の木々とそこから突出した岩山が作る独特な景色がとてもきれいで、紅葉の時期に登ったら最高だろうな~と思っていた。そこへ紅葉の時期と重なる絶好のタイミングで、アッコさんが山行計画を出してくれていたので、これは!と思い、参加させていただいた。
 谷急山は鎖場が多く、標高の割には易しくない山だと聞いていたが、そうは言っても横川駅からの高低差は800m程度。距離もそう長くないし、時間も余裕でルンルンのピクニック的山行になるだろうと少々高を括っていたのだが、思いの外ハードな縦走になった。

11月6日
 空は雲一つない快晴で、横川駅を降りると秋の澄んだ空気が気持ちよかった。山の紅葉は思ったほど進んでいなかったが、それでも穏やかな山々はとてもきれいだった。そんな景色を楽しみながら取付きの銭洗弁天まで行くと、先に来ていた別のパーティが立ち往生していた。パーティの先に目をやると、高さ5m程の滝の上部から1本の鎖が斜めに垂らされ、岩場を10m程トラバースして滝を登るルートになっている。「いきなりこれかよ!」と言いながらも三峰隊は難なく登ったが、この先のルートを考えてハーネスを着用した。別のパーティは引き返してしまった。
 その後は急登が続き、所々に露出した岩肌は鎖場となっていて、腕力勝負で登るような場所もあった。コースのアップダウンも想像以上に厳しく、思っていたように先に進むことができず、想定していたコースタイムから徐々に遅れ出した。丁須の頭に着いた時は既に14:30前、この日幕営予定であった三方境にたどり着くにはエアリアマップのコースタイムで2時間以上かかる。明るいうちに到着するのは難しいだろうと思ったが、全然焦りを感じない。経験豊富な諸先輩方と一緒にいたということもあったと思うが、何よりこの縦走路は人里から孤立した感じがしない。すぐ近くを通る高速道路とほぼ並行して走っていて、殆どの場所から民家や道路を近くに見下すことができたので、少し山を下りれば道に出られそうだという感覚があったからだと思う。
丁須の頭に登るHさん  丁須の頭でしばらく休憩してから幕営地を目指すが、途中、20m程のルンゼの下降もあり、相変わらず鎖場が点在している。思うように距離を稼げないので、適当な場所でテントを張ろうということになった。
 しばらく痩せ尾根を歩き赤岩に差し掛かる所で、登山道上ではあったがテントを張るのに十分な場所があったので、そこで幕営させてもらうことにした。

11月7日
 昨日に引き続き朝から晴天に恵まれ、この時期としては気温も比較的高かった。
 出発直後から鎖場が続き、「朝一からこれかよ」と始めは皆でぼやいていたが、視界の開けた岩場から見下ろす紅葉はとてもきれいで、時々足を止めて景色に見入ってしまうほど素晴らしかった。
絶壁をトラバース  午前9時30分過ぎに谷急山山頂に到着。大休止を取り「あとは下るだけ~」みたいなリラックスモードになっていたが、実はここからが今回の山行の核心部分。谷急山の北西に位置する尾根を下るルートで、最近のエアリアマップには載っていない。今回の山行には簡易ハーネスを持参したのだが、それはこの尾根でナイフリッジが続くと言われていたためだった。
 山頂を十分満喫した後、目的の尾根に足を踏み入れた。踏み跡がしっかりしていて、なだらかで歩きやすい。藪こぎもない、なだらかな下りが尾根の1/3ぐらいまで続いた。このまま下まで下ってしまいそうだと皆の気が緩んできたところで、いきなり行く手がスッパリと切れた。見下ろすと、岩が露出した急勾配の段差になっていた。
谷急山北西側の尾根  その後しばらくスリルのあるナイフリッジを楽しみ、見事な柱状節理を見ることができた。終盤はなだらかな下りに戻り、すんなりと車道にでた。
 今回の山行は、美しい紅葉が広がる景色や岩場など、多彩なルートを満喫できた。

〈コースタイム〉
11月6日 横川駅(09:35) → 取付き(09:55) → 戻る → 銭洗弁天(10:15) → 御岳(13:20) → 国民宿舎分岐(14:05) → 丁須の頭(14:20~40) → 赤岩(16:05)
11月7日 赤岩(6:25) → 風穴尾根の頭(7:35) → 三方境(7:45) → P2(8:40) → 谷急山(9:35~10:15) → 北西尾根下県道(12:15)

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