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岩登り訓練・三ツ峠
山行日 2011年5月14日~15日
メンバー (L)星野、深谷、高木、大田、渡辺(守)、山口(敦)、渡辺(智)、小芝、和田、内藤、永岡、エドワーズ、曾、小幡、荻原、永田、YUKI
【15日参加】内田、杉本

小芝 泰規

5月13日(金)
 23時都内発、麓の駐車場に幕。

5月14日(土)
 早朝、駐車場発。ベテラン&マルチピッチを目指すチームと、初心者&沢登りのスキルアップを目指すチームに分かれて練習した。マルチ組は右フェース(一般ルート中央など)にトップロープをかけて練習。次に1ピッチ目までリード、セカンドをあげる練習など、個々に練習を行った。混み出したため、中央カンテ下に移動すると特別ゲスト、コボさん出現。見上げると荻&永ペア、渡&内&和トリオが登っているのが見える。この後を、芝、山、Yトリオが続いた(参考:中央カンテの記録)が、懸垂下降時にロープを引っ掛けてしまい、リーダーより岩つばめを拝命した。ここの懸垂下降はロープがよく引っ掛かることで有名(翌日も深・大ペアのロープが引っ掛かったが、上にいた常連さんに助けられた)で、トップの懸垂点は2つ(登り切ったところも含めると3つ)あるが、一番右側を使うと引っ掛かるらしい。
 初心者&沢チームは装備の装着方法、ロープワーク等基本事項を押さえてから、練習を開始した(詳細:初心者&沢登りチームの記録)。

5月15日(日)
 一般ルート中央にトップロープをかけ初心者&沢チームが練習を開始(詳細:初心者&沢登りチームの記録)。9時過ぎに、日帰り組の2名が合流。マルチ組はパートナーごとに練習した。(参考:草溝ルートの記録)。

<中央カンテの記録>
 ちょうど1年前、小幡さんをリーダーとする頼もしい先輩方に広沢寺へ連れて行っていただいた。それは、私にとって初めての岩登りで、8の字結びやクライミングギアの使い方など、基本の基本から教えていただいた。仕事柄、建築現場でヘルメットをかぶることはよくあっても、クライミング用のヘルメットやハーネスを身につけるのは初体験で、それが妙に嬉しくて興奮したのを覚えています。  それから1年、岩トレに参加させてもらい、自主トレを続けた甲斐があり、クライミングを始めたころよりはずっと楽に岩を登れるようになりました。今回の岩登り訓練でも自由に練習させていただき、初日に山口さん・YUKIさんと一緒に中央カンテに登りました。適度な高度感があり、ホールドもしっかりしていて3人共気持ちよく登りきることができました。しかし、終了点から1ピッチ懸垂下降を終えたところでアクシデントが発生しました。ロープが引けない!終了点付近でロープが岩の隙間に挟まってしまったようです。地上まで降りるにはまだ懸垂下降が必要で、どうしてもロープを回収する必要があります。そこで、ロープを登り返そうとしましたがうまくいかず、結局プルージックでセルフビレイを取り、岩を登り返すことにしました。地上からは、待機してくれていた荻原さんが、登り返し時のバックアップの取り方など、指示を出してくれました。登り返しは初めてだったので、慌ててしまいそうになりましたが、とにかく落ちついて、1つ1つの動作を確実に行うように心がけました。地上からの的確な指示と山口さん・YUKIさんのフォローのおかげで無事にロープを回収し、地上まで降りることができましたが、ロープの経路上の障害物の確認という、基本的な動作1つが欠けていたために、危険な落とし穴に自ら足を入れてしまったのだと思いました。また、ロープの登り返しやバックアップの取り方など、非常時の知識と練習も不足していました。今回は事なきを得ましたが、もしも雨が降っていたら・・・、日が落ちていたら・・・と悪条件を重ねてみると、事故が起こっていた可能性も十分考えられます。これを教訓に、基本的な「安全確認」や「総合的な知識の習得と練習」にもしっかりと目を向けて、より山を楽しめるようにしたいと思います。地上で待機していただいた諸先輩方にはこの場をお借りしてお礼を申し上げます。なお、この中央カンテの終了点からの懸垂下降は、ロープが引っ掛かることで有名なようです。初めて登る方はご注意ください。


渡辺 智世

<初心者&沢登りチームの記録>
 初級者4人の岩トレ第1日目は、ハーネスやカラビナ、スリング等の取扱いや装着方法の確認と、エイトノットやインクノットなど最も基本的なロープワークを何度も練習することから始まりました。ここで間違ったまま覚えてしまったり、勝手な思い込みは禁物です。千明さんと高木さんの丁寧な指導のもと、迷うことなくロープを扱えるようになるまで、結んだり解いたりを繰り返し、各自しっかり習得することができました。
 つづいて確保支点のとり方、セルフビレイのとり方、ATCを使ったビレイの方法を教えていただき、千明さんに張っていただいたトップロープで、いよいよ練習開始です。
 高木さんや星野リーダーが軽快な模範登攀を見せてくださったものの、私たち4人は、もちろん同じようにスルスルという訳にはいきません。足を踏み外してズルッとなったら痛そうだなぁ~なんて考えたら益々手足は動かなくなるばかり。「もう登れない!降ろして~」と叫ぼうものなら、「ダメダメ!右手はもっと右右!左足はもう少し上にかけられるよ~」なんて声援を受けながら、何とか全員登りきったのでした。
 クライマーの動きにあわせてロープを出さなければならないビレイも責任重大。とても緊張しましたが、そこにはピリッとした空気が漂い身も心も引き締まる思いでした。そして、クライマーとビレイヤーとの間に体重差がある場合のビレイの方法も教えていただきました。
 それぞれ数回ずつ登る練習をした後は、懸垂下降の練習もしました。最後にロープ回収を任された永岡くんは、みんなが見守るなか無事に大役を果たして着地!一同ホッと胸を撫でおろしたのでした。
 一夜明けて岩トレ2日目は、前日より、ほんの少しレベルアップした岩壁に場所を移し、山口くんにトップロープを張っていただき、昨日、身につけたことを活かさなくてはと張り切って登り始めたものの、そんなに簡単に登れる訳がありません。難しくて誰一人として進めません。どうしていいのか解らずモタモタいつまでも岩にしがみついていると冷えた岩で指先がかじかんでしまい動きは鈍るばかり。改めて重心移動の指導を受け、もう一度、挑戦しようと準備を始めたのでした。するとそこに日帰り参加の2名が到着。初級者組は総勢6名になり大賑わいとなったのでした。
 ずっと日陰だった岩壁にも陽が当たるようになり寒さが和らいだこともあってか2回目は4人共に何とかクリア。後着の2人も声援を受けながら一本目から難なく登りきり拍手喝采となりました。
 今回の岩トレで私たち初級者の指導のために2日間ずっと付き添ってくださった高木さんをはじめ、ご自身の練習の時間を割いて指導してくださった千明さん、星野リーダーには大変お世話になり、どうも、ありがとうございました。また、適宜アドバイスをくださった諸先輩方にも感謝申し上げます。おかげさまで、とても充実した楽しい2日間になりました。


山口 敦, YUKI

<草溝ルートの記録>
 トップに荻・和ペア、次に山・YUKIペア、最後に内・永ペアが続いた。最初のペアをじっくりと見ることができたおかげで、思った以上にスムーズに登れた。が、合流地点にいると言っていた先行ペアはどこにもおらず、ルートがわからなくなり右往左往。別ルートに入り込んだところを星野君に修正された。合流地点で待っていると言われていても、自分でルートを見てから登るべきだったと反省した。また、土曜日以上に混んでいて、登り待ち、支点待ち、懸垂下降待ちなど、何をするにも待たされた。荻原さんに次の懸垂点で降りるように言われ、すぐに下降したが戻れたのは14時。待ちは仕方がないとしても、懸垂下降の支点作りに時間がかかりすぎている(巻直しが多すぎる)ので、登る練習より、降りる練習を優先するように、とアドバイスまで受けてしまった。次回のゲレンデでは他パーティの操作を見て研究しつつ、改善したいと思う。お待たせした皆さん、すみませんでした!


星野 剛

<総括>
 「岩登りの練習をしましょう!」と言って19人もの参加者が集まってしまったことに驚きました。これは各会員の熱心さの表れであり、嬉しい誤算です。
 一方で、人数が多いために行動中の指示やサポートに甘いところがあり、そのために前記のようなトラブルが起きてしまったことを深く反省しております。今後は目的別に分割して開催する、指導できる人に対し適正な参加人数になるよう参加制限をするなどの対策を考えています。
 今回はトラブルを乗り越えることで得られた得難い経験についても、無理をお願いして書いてもらいました。読んだ方は「自分だったらどうする?」と考えて頂き、今後の登山に生かしてもらえれば幸いです。
 これからも全会員が自らの志向する登山を『安全に』続けていけるよう、皆さんのご協力をお願いします。


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