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船形山
高木 敦子

山行日 2011年5月21日~22日
メンバー (L)高木、飯塚、三澤、成田(義)、紺野

 毎年恒例の新緑山行で、今年は「巨木のブナ」の山である船形山に決めたが、東日本大震災が勃発し、その影響がどの程度あるのか分からず懸念するなかでの山行となった。
 金曜夜に東川口で集合し、東北道でいつもの仮眠所である国見SAが、休日割引の所為か災害復興の所為か分からないが、お盆並みの混雑をしており驚いてしまった。
 翌日大和ICで降り、船形山の登山口の一つである、旗坂キャンプ場まで向かうが、途中の道路に突然凹凸が出てきたりして、改めて地震の規模に慄然としてしまった。それでも山は新緑に染まり、登山口にはトイレもある気持ちの良い所である。止まっている車は地元ナンバーばかりで、さすがに遠方の車は無いようだ。駐車場にいた女性2人づれは、コシアブラ採りに来たそうである。我々も登山計画書を出して出発した。
 今回はアップダウンもあまり無く、新緑と山菜の両方を楽しみながらゆっくり進んだ。やがてりっぱなブナも現れその新緑を大いに楽しんだが、今年は天気がイマイチなのが残念だ。ブナの合間にコシアブラも見つけるが、船形山のコシアブラも巨木のものが多い。梢に見える美味しそうな新芽を羨ましげに見上げるが、こればっかりはどうしようもない。しかしこれだけ大きいコシアブラを見るのは初めてなので、ちょっと感動してしまった。
 前方から単独登山者が降りて来たので聞いてみると、今年はかなり雪が残っていて道が分からずに戻って来たとのこと。どうやら今日泊る予定の升沢小屋にも行きつかなかったようだ。船形山は全体になだらかなので、天気が悪いと方向を見失ってしまう危険がある。旗坂平あたりから雪になったので、赤布等をたよりに慎重に進むことにした。今年は雪の多い年だが、このあたりも同様のようだ。途中でガスも出てきて見通しも悪くなってきたが、今回はベテラン揃いなので、誰かしら印を見つけて無事小屋に到着した。天気は明日のほうが悪いので、今日中に船形山に登ろうとも思ったが、ガスに加え雨も降ってきたので今回は小屋までとなった。升沢小屋は建替えて間もないので、中は明るくてとても綺麗だ。近くには沢もあり申し分ない。早速収穫したコシアブラとユキザサの山菜料理で、楽しい宴会となった。
 翌朝は晴れ間が見えたのもつかの間、すぐに天気が悪くなったので、次回は違うルートで船形山のリベンジを誓い来た道を戻った。帰りは途中にある台ヶ森温泉に入ったが、この温泉は仙台の人の御用達温泉と言ったところのようで、こぢんまりして良い温泉だった。
 今回佐藤会長より、震災の現場を見てくるとよいと言われていたので、復旧の早かった松島に寄ることにした。ここは小島が多く、津波の被害が比較的少なかったようで、現地支援にかこつけて寿司と焼牡蠣を美味しく頂いた。その後南下して七ヶ浜町を経由したが、大津波の傷跡に言葉を失ってしまった。東北の山は大好きなので、一日も早い復旧を望まずにはいられない今回の山行となった。


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