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雪山登山入門・谷川岳
山口 敦

山行日 2011年2月19日~20日
メンバー (L)星野、森田(温)、YUKI、山口(敦)

 星野リーダー企画の雪山登山入門第2回目ということで、前回の「雪崩発生~要救助者発見」に続き、谷川岳天神尾根で「雪山でのビレイ方法および搬送法」の訓練を行った。  夜11時錦糸町に集合して谷川岳ロープウェイ待合室でいつものように仮眠。翌日は訓練前にロープウェイ駅の暖かいところで朝食をとりながら机上学習を行い、今回の訓練メニューを頭に叩き込む。
 スキー場の脇を天神平から天神尾根へ。前回1月に来たときとは違い、しっかりとしたトレースが付いていたのであまり苦労せずに天神尾根に出る。尾根を少し戻った平らな場所にテントを張った。
 今日の訓練メニューはコンテニュアスから。コンテニュアスの方法は東京コンテと大阪コンテと二通りあることを初めて知った。全く初めての経験だったが、コンテのポイントは手に余分に巻きつけたロープで衝撃を吸収しつつ墜落を止めるということだとわかった。コンテの場合は自分も歩きつつ、万が一パートナーが滑落したときには、足場の悪いところでとっさに止めなければいけないわけなので、非常に難しい技術だということを実感した。
 次に基本のスタンディングアックスビレイの訓練を行った。ちょっとしたシュリンゲの長さの違いや、足の位置で止めやすかったり止めにくかったりすることが勉強になった。個人的にはもう少し練習する必要を感じた。続いての練習メニューは3分の1引き上げシステム。通常のプルージックの代わりにタイブロックをロープの流れ止めにする方法を試してみた。プルージックを使うよりも抵抗は少なかったのだが、タイブロックの向きが変わってしまうと、流れ止めが全く効かなくなるという問題点があることがわかった。また、カラビナなどをタイブロックにぶら下げ、重りにするとタイブロックの向きが変わってしまうことがなくなるということもわかった。実際にやってみて初めてわかる点も多い。本を読んでの勉強と、実際に試してみることの両方が大事だと改めて実感した。
3分の1システムによる引き上げ  初日の最後のメニューは雪の中での支点のとり方。ピッケルを踏み固めた雪に埋める手法では、しっかりとした支点を作ることができることがわかった。
 スノーボラードは本で読んで知っていただけで、誰も実際に作ったことがなかった。最初は要領がよくわからず、雪を踏み固めないでやってしまい、まるで役に立たないものになってしまった。何回か試すうちに、しっかり雪を踏み固めて大きめのスノーボラードを作れば丈夫な支点が作れることがわかった。
 教科書に載っていて、もう一つ気になっていた、木の細枝を束ねてシュリンゲで結び、雪の中に埋めて支点とする方法を試してみた。結論から言うと、雪をしっかり踏み固めて、深い場所に埋めた時でさえ、長さ30cm程度の細枝数本では、役に立たなかった。何回もテストしてはひっくり返った星野リーダー、お疲れ様でした
何度も?失敗  2日目は雪上でのシート搬送法の実習をした。実際に引きずる訓練もするので、ツェルトの代わりにブルーシートを使ったのだが、生地が硬いせいかカラビナを包んで結び目を作るのが、やややりにくかった。また、教科書通りに作るとかなりの数のシュリンゲやカラビナが必要になる。雪山に行くときはシュリンゲ、カラビナを多目に持っていく必要があることを実感した。また、少ないシュリンゲやロープでうまく搬送用に人を包む練習も必要だということがわかった。
 実際の搬送は、一人を二人で引っ張る方法で試したが、緩斜面を短時間引っ張るだけでも相当に大変だった。急斜面だったり、長時間搬送する必要がある場合は、とても大変な作業になることがよくわかった。また、前日の3分の1システムでも試したが、緩斜面では一人で引っ張ることも可能だが、少しの距離を引き上げるのに時間がかかる。実際に人を搬送するのは大変だということを実感した。
雪上搬送:引き上げるのはなかなか大変  今回の訓練は、経験豊富で知識のある人に教えてもらうというよりも、本に書いてあることを一つ一つ実際に自分達で試しながらやってみるという内容であったため、回り道をしてしまったことも多かったと思うが、その分、身に付いたような気がする。このようにして自分の身に付けた知識は決して忘れない。教えてもらう訓練も大事だが、このような自分たち自身で試行錯誤する訓練も同じように大事だと思った。企画して下さった星野リーダー、どうもありがとうございました。


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