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山スキー・西ゼン転じてヤカイ沢
山崎 邦子

山行日 2011年4月2日
メンバー (L)山崎、飯塚、荻原、成田(義)、斎藤(吉)

 何となく恒例(?)になりそうな、大集会前日の谷川連峰日帰り山スキー計画。去年は明さんリーダーでシッケイ沢を計画したが、仙ノ倉山直下で天候急変のためあえなく敗退。今年はそのリベンジを兼ねて、秋に沢登りで行った西ゼンの滑走計画を立てた。
 シッケイ沢も西ゼンも、平標山を元橋登山口から登って土樽へ下るルートになるため車の回送が必須だ。去年はタクシー利用で登山口に向かい、敗退となったため車回収もタクシー利用というリッチな山行となってしまったが、今年はその二の舞は演じまい!ということで、メンバー5名ながらナリジィとモキチに車を出してもらい、土樽に1台デポするという完璧な計画を立てた。
 前夜は無人の土樽駅にビバーク。電灯あり、トイレあり、自販機ありで仮眠場所としてうってつけだが、土樽を基点とする山やは多いから、先客がいて寝る場所が無いのでは?或いは震災の影響による節電のため駅舎の電気が消えているのではと少々心配した。だがモキチ号で私とモキチが到着した時には、ナリジィ号の先着3人組が銀マットを大きく広げて独占状態で既にできあがっていた。外には1張りテントがあったが、ちょっと駅舎内に入りにくかったのだろう・・・。

【4月2日(土)】
 5:30に起床し、各自朝食をとりながら用意。土樽駅から少し走って下山口となる毛渡橋にナリジィ号をデポする。
 さて、ここからモキチ号で三国街道を経て元橋まで向かうのだが、モキチ号にはスキーキャリアがないため、車内に5台の板とザックを積んで5人が乗車というギュウギュウ詰め状態。助手席に一番小柄なナリジィと、とりあえず陽子ちゃんかな~ということで、2人にしばらく身動きできない状態で頑張ってもらう。「足がつる~」と悲鳴も聞こえたが、何とか40分ほどで無事元橋に到着した。
 去年はタクシーで別荘地の林道のどん詰まりまで入ったが、今年は雪が多くて入れないのか、他のパーティの車が国道脇の駐車スペース場にズラリと並んでいた。道路のアスファルトは出ていたので車で入れそうだったが、ハマったらまずいということで国道から歩くことにした。少々タイムロスだが仕方ない。各自ザックに板を付けて林道を歩く。
 思ったより時間もかからず、20分ほどで林道の除雪終点に到着。ここからシールを装着して、しばらくなだらかな平元新道を進む。さすがはメジャーな山スキーエリアの平標山。かなりの数のパーティが入っていたが、ほとんどがヤカイ沢を登行している。我々はヤカイ沢には入らず、平元新道をさらに進み、平標山の家への登山道の少し手前から尾根に取り付く。この尾根は比較的なだらかで登りやすく、何より他のパーティがいなくていい。この日もこのルートを登っていたのは我々だけだった。
 去年も同ルートを登ったが、去年より雪面が軟らかく登りやすい。徐々に急斜となり、去年は一部で板を担いだが、今年は稜線までシールで登ることができた。それにしても、急斜面を逆ハノ字でシール直登する荻ちゃんのパワーには脱帽。私以外、皆さんシールでガンガン急斜を登っていくのにもビックリだ。私はクトーに頼ってしまう軟弱な登りで、まだまだだなぁ・・・。
 稜線にはほぼ予定通りの11:00に到着。仙ノ倉山からエビス大黒ノ頭など谷川連峰の峰々が目前広がる。さすがに稜線に出ると風は強かったが、青空も出ていて西ゼンに滑り込めるかなという期待も出てくる。稜線に出てから平標山頂までが結構長かった。
 山頂到着11:50。とりあえず集合写真を撮る。しかし、山頂はすごい強風だ。
平標山頂。バックの北側はガスって真っ白  とりあえず風の弱いところまで少し下って昼食をとるが、手袋を外すとあっという間に手がかじかんでしまった。さすがは谷川連峰、4月だというのにまだまだ気象が厳しい。
 天候は平標山から仙ノ倉山へと続く稜線をはさんで、見事にくっきりと分かれていた。南の群馬側は青空なのに北の新潟側はガスって真っ白。とりあえず果敢に西ゼンへ滑り込んでみたものの、2mほど先も見えない状態で3ターンほどしてギブアップ。これでは雪崩や落石があっても分からないし、何よりコースが見えないのでとても怖くて入れない。西ゼンには「ノド」と呼ばれる両壁が狭まった雪崩の巣とも言われる場所があり、リーダー判断として残念ながら撤退の決断を下すしかなかった。一同も納得である。
 さて登山口に戻るといってもいろいろなルートがある。これは平標山が人気の山スキーエリアである所以だが、どこを滑ってもそこそこ楽しめる。山頂からヤカイ沢へ滑り込むルートが面白いのだが、この時期はあちこちに亀裂が入り、今にも雪崩れそうなので×。荻ちゃんが「ヤカイ沢を滑ってみたい」というので、通常、多くの人が登行に使う尾根を滑りヤカイ沢に滑り込むことにした。
 13:00、まずは平標山の家方面に向かって滑走開始。途中から西の尾根に入ると言ったのに、モキチが1人でかっ飛んで尾根の分岐を超えて滑って行ってしまった。大声で呼んだがもう遅い・・・。仕方ないのでシールを付けて登り返してもらう。力が有り余っているから丁度いいアルバイトだったかもしれないが、待っている間はこっちも寒かった。
 西の尾根はブナの疎林の気持ち良いコースだ。雪質もそこそこ深雪&ところどころザラメで滑りやすい。各自思い思いのコース取りで快滑する。尾根からヤカイ沢へ滑り込む斜面は斜度が少しきつくなり、少し樹林が密になって雪も深くなる。こういう斜面をスイスイ滑れるようになれば、だいたいの斜面、雪質をこなせるようになるだろう。
快適な斜度の尾根をヤカイ沢へと滑り込む  今回の面々は体力的にツワモノ揃いで、スキーのフォームはさておき、ガンガン滑ってくる。スキーテクニックが上手いに越したことはないが、つくづく山スキーは体力だと実感した。足並みが揃っているので、あっという間にヤカイ沢のボトムに到着。あとは緩斜面のヤカイ沢下部の樹林帯を縫って平元新道へ出て往路をモキチ号へと戻った。
 帰りは助手席にナリジィと私が箱詰状態で座って土樽へ。ナリジィ号を回収し、越後湯沢の温泉に入浴して、毎度ながら駅前の「へぎそば」を食べて帰宅した。なお温泉だが、土樽方面に行った時は毎回「岩の湯」で飽きたので、今回は岩原スキー場近くの「浦子の湯」へ行ってみた。民宿・高野屋の内湯でもちろん温泉。入浴料500円で結構広く、何よりあまり知られていないのか空いているのがグッドだ。
 「あ~あ、今回も土樽へ抜けられずかぁ。これは来年もリベンジかね・・・」と、敗退2度目の私と陽子は来年の大集会前日に3度目のリベンジを思案中。こうなったらもう意地!西ゼンでもシッケイ沢でもいいから、土樽に抜けたいよ~!

〈コースタイム〉
土樽(07:00) → 元橋(07:45) → 登り尾根取り付き(08:10) → 稜線(11:00) → 平標山頂(12:00) → ヤカイ沢方面に滑走開始(13:00) → ヤカイ沢ボトム(14:00) → 林道(14:15) → 元橋(14:40)


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