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縦走・西穂高岳、奥穂高岳、前穂高岳
平尾 英也

山行日 2011年7月23日~25日
メンバー (L)佐藤、小山、平尾

 私が三峰に入会する前の昨年夏に、会社のハイキング部(小山さん他、ゲストで杉本さんと内田さん)で槍ヶ岳から大キレット、奥穂高と縦走した際に、雲の中のジャンダルムの勇姿を初めて見て、強い憧れを抱いておりました。ただ、ジャンダルムへの挑戦は、素人同然の私1人ではなかなか勇気もなく、2~3年後経験を積んでから行こうと漠然と思う程度に考えていました。多分、登山歴が少ない私が三峰に入会したのも、ジャンダルム踏破をひとつの目標としてからだと思います。佐藤さんが例会にこの有名なルートを出されていたので、飛びつくように参加させていただきました。

【7月23日(土) 曇り】
 7:00のあずさで新宿から松本、松本からバスに乗り換えて新穂高温泉に12:00に到着。西穂山荘には新穂高ロープウェイと1時間30分の軽い登りで14:30着。初日は、西穂山荘で幕営、佐藤さんはツェルトで、小山さんと私はテントにて明日の縦走に備えた。西穂山荘周辺の天気は雲で覆われるも、時々陽が差し、若干の期待を持たせてくれた。

【7月24日(日) 曇り】
 3:00に起床し、4:00にまずは第一の目標である西穂独標を目指し出発。雲は多いが雨は無かったのでひと安心。日の出前の薄暗い中、笠ヶ岳方面の多くの沢が縦に細長い雲のように見えた。西穂山荘から独標のルートは、前述の新穂高ロープウェイもあり、経験の浅い方々や高齢者の方々でも気軽に行けるルートで、パーティーが多く若干渋滞したものの、5:30には独標に到着。その後、6:00にはピラミッドピーク、7:00には西穂高山頂に到着した。独標以降は、雲は多いものの青空も見えてきた。
西穂高岳目指して岩場を登る  西穂高岳山頂までは昨年経験しており、ここから本番だなと思いながら、若干緊張しつつ、赤石岳、間ノ岳、天狗ノ頭に向かう。西穂高岳山頂以降は、パーティーも少ないと思いきや、「無謀ですが来ました」と宣言する50~60歳代女性中心の団体や自動車で10時間程度かけて来た福岡の山岳会パーティー(アゼリア山の会:男性3名、女性1名:HPでは、私たちは東京から来た3人組と紹介されています)の皆さんと出会うことが出来た。特に、福岡の山岳会パーティーは、ジャンダルムまでの縦走中に抜いたり抜かれたり、同郷で長年東京に単身赴任の小山さんとの地元話などもあり、ジャンダルムも同じタイミングで登り、互いに写真を撮り合いました。
 西穂高岳山頂以降は、急峻な岩場の登り下り、クサリ、浮石の連続で、高度感溢れる細いルートを緊張しながら、風景を楽しむ余裕もなく、大キレットの倍怖いなと思いながら、慎重に歩いた。8:20には赤石岳、8:40には間ノ岳、スラブ状の長いクサリ場をなんとかクリアし、9:20には天狗ノ頭に到着。そこから2時間余り同様に気の抜けないコースをたどり、ジャンダルム登頂は11:40であった。残念ながら頂上からは雲で何も見えなかったが、憧れのジャンダルムに登れたことで、充実感を味わう。ジャンダルムは、普通その取り付きでデポをして登りますが、私たちはそれを知らず、途中の奥穂への分岐までザックを背負い登る。取り付きからジャンダルム頂上へは約10分程度で登ることが出来、それ自体は結構簡単だと思ってしまう。
憧れのジャンダルムに登頂!  ジャンダルムからは、難所のロバの耳、馬の背を通り、13:40に奥穂高岳頂上に到着。ロバの耳の急な下りでは、私が小石を落石してしまい、小山さんのザックに当ててしまう。軽率な足の運びは注意しないといけない。また、ジャンダルムからしばらく歩くとペンキのマークが分かりづらく、3人でルートを探す箇所もあった。佐藤さんからはちょっとでも怪しいと思ったら、全員で確認をすることとのこと。馬の背は両側の高度感に緊張しつつも、慎重に渡ればそれほど難しくはない。
 西穂山荘から約9時間40分で奥穂山頂に無事に辿り着き、佐藤さん、小山さんと握手。福岡の山岳会パーティーの皆さんは、ロバの耳でロープを使用したため、若干遅れたということを後で知る。
 その日は穂高山荘で幕営、夜は強い雨が降ったものの、朝方前までには雨は上がり、天の川も綺麗見える。私は、高度感溢れる山行にうなされ、何回か起きてしまった。

馬の背でピースをする余裕?な小山さん

【7月25日(月) 曇り】
 4:00に起床し、5:00に穂高山荘を出発。今日は奥穂高から吊り尾根、前穂高へのピストン後、重太郎新道を通り、岳沢経由で上高地に戻る予定。
 前日にお会いした、福岡の山岳会の皆さんは、本日は大キレットを越え、南岳山荘へ行かれる予定とのこと。今日も気が抜けないコースで大変だなと思いながらも、皆さん元気で、「穂高を思う存分楽しむぞ!」という雰囲気があった。
 私も山に入り3日目となり、体も慣れ、足が軽く、奥穂高からの吊り尾根ではついつい飛ばしすぎ、佐藤さんと小山さんより随分前に行ってしまった。佐藤さんからは、パーティーで来ているのだから周りの様子を見て、合わせるように注意を受けてしまった。ついつい調子に乗ってしまったことを反省しながら、8:00には紀美子平に到着。そこで、ザックをデポし、8:40には前穂高山頂に登頂。ここも残念ながら雲で覆われ、眺めはほとんどなかった。なお、佐藤さんは昔、正月に前穂頂上で幕営したことがあるとのこと。皆さんも是非挑戦してみてください。
 そこから、重太郎新道を慎重に下山し、11:20に岳沢ヒュッテ、13:40にはゴールの上高地に到着し、上高地アルペンホテルで入浴後、さわやか信州号で東京に戻った。  今回の西穂高から奥穂高への難コースを踏破でき、登山をはじめた一つの目標を達成できたかと思います。次から次へと色々行きたい山も増えて来ましたので、これから難ルートもどんどん挑戦したいと思います。また、今回企画いただきました佐藤さん、昨年穂高に初めて連れて来ていただいた小山さんに感謝いたします。

〈コースタイム〉
【7月23日】 新宿駅(07:00) → 松本駅(09:40) → 新穂高温泉(12:00) → ロープウェイ西穂高口(13:20) → 西穂山荘(14:30)
【7月24日】 西穂山荘(04:00) → 独標(05:30) → 西穂高岳山頂(07:00) → 天狗ノ頭(09:10) → ジャンダルム(11:40) → 奥穂高岳山頂(13:40) → 穂高山荘(14:20)
【7月25日】 穂高山荘(05:00) → 紀美子平(08:00) → 前穂高岳山頂(08:40) → 岳沢ヒュッテ(11:20) → 上高地(13:40)

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