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沢登り・丹波川小常木谷
金子 隆雄

山行日 2011年6月25日~26日
メンバー (L)金子、内藤、森田(温)、和田

【6月25日(土)】
 土曜の朝に青梅駅にて待ち合わせ、車で入渓点の余慶橋へ向かう。こっち方面に来るのは随分久しぶりのためか余慶橋を通り過ぎてしまい少し戻る。橋の手前の駐車スペースに車を停めて身支度を整える。今回は悪天を覚悟していたが予想外に天気が良くて暑いくらいだ。
 橋を渡り少し行くと丹波川へ下る石段があるのでこれを降りる。石段はすぐに終わりその下は断崖になっている。ワイヤーとロープが垂れているのでこれにぶら下がって丹波川に降り立つ。降りた所の対岸が小常木谷の出合いだ。小常木谷は出合いから両岸が高くそそり立ち薄暗いゴルジュになっている。しかし、ゴルジュの中は滝も淵もないただの河原状で問題ない。じきに左岸より火打石谷が流入してくる。その先も特に厳しい所はなく時々現れる滝も楽に登れる。
 核心部が始まる花ノ木沢出合いまではかなり長い。出合いから1時間半ほどで右岸より花ノ木沢が出合ってくる。沢が右に大きく曲がった所にF1「銚子の滝」10mが現れる。いよいよ置草履の悪場の始まりだ。銚子の滝は陽の光を反射してテカテカと光っている。水流の左側の凹角状の所が登れるのでロープを付けて登る。残置のハーケンがあり上部にはトラロープのフィックスもあるので容易だ。滝の落ち口へ廻り込むとヤバそうなので真っ直ぐ登って太い木でビレイする。この木を支点にして3mほど懸垂して滝上に降り立つ。5mほどの太い倒木が立てかかっている滝を越えるとF2「逆くの字滝」8mだ。名前は逆くの字滝だがどう見ても「くの字」にしか見えない。ナメ状で傾斜はそれ程でもないので登ってみる。水流の右側から登り途中で右岸へ渡るがここが滑りそうで微妙な所だ。失敗しても釜へドボンとなるだけなので思い切って行けばいい。後続した二人は釜へドボンとなったようだ。森田さんは左岸を捲いたが、捲きはあまり良くないとのことだった。
F2 逆くの字滝を登る  続くF3「不動の滝」12mは登れそうもない。左岸のスラブ状のルンゼから捲くことになる。このルンゼは下部は階段状なので容易に登れる。一段上がった所から斜め左上に外傾した泥の乗った岩場を登らなければならないが落ちたらシャレにならないのでロープを出す。途中に灌木がありそこまで行けば支点が取れそうなのだがそこまでが微妙だ。泥や落ち葉を払いのけてみるとお宝発見、残置のハーケンが見つかった。これで安心して登れる。ここも上部にはトラロープのフィックスがあった。登り切った所の太い杉の木でビレイする。続く5m滝も一緒に捲くため灌木も少なくザレザレの斜面をトラバースするが結構悪く数m懸垂して沢床に戻る。
 午前中は良かった天気もこの頃になると急に暗くなりだし降り出しそうな怪しい雲行きになってきた。次の滝は小常木谷最大のF4「大滝」18mだ。降り出す前にゴルジュ帯を抜けたかったので捲くことにする。左岸に踏跡があるのでこれを辿る。最後はF5、F6と続くネジレの滝だ。見た目は2段の滝のように見える。下段のF5は2条になって水を落としている。これも同じく左岸より捲いて沢床へ降り立つ。
 直ぐに右岸より岩岳沢が出合い、置草履の悪場が終わったことが判る。岩岳沢出合いの少し上流に泊まるならここしかないというような幕場があった(実際、ここより先には適地はなかった)。早速、タープを張り、薪を集めて焚き火が始まる。
 心配した雨は時折ポツポツとくるくらいでタープの下へ逃げ込むような事態にはならなかった。

【6月26日(日)】
快適に登れる滝ばかりになってくる  今日の天気はまあまあで降りそうな感じではない。ちょっと遅めの7時前に出発する。
 直ぐにF7 10m直瀑が行く手を塞ぐ。登ることはできないが右岸を簡単に捲くことができる。続く7m滝がちょっと厄介だった。下部はナメ状だが直登は厳しそうに思えたので左の泥の詰まった凹角を登って捲こうとして登りだしたが一歩が出ず引き返す。降りる途中で滑って膝を打ってしまった。奥秩父の沢は滑りやすい。どうしたもんかと思案していると下から単独行の男性が登ってきた。彼は水流右の傾斜の強い所を登ってさっさと行ってしまった。さて我々は、今度は手足の長い森田さんが先ほどと同じ所を登りきり上からロープを垂らしてもらって何とかクリアした。
 この先はもう厳しい所はなく出てくる滝は快適に登れるものばかりだ。バームクーヘンのような縞模様のナメも所々に出てくるようになる。
 何処までも沢を詰めて行けば前飛竜山近くに出るのだがそうすると下山が長くなってしまう。適当な所で右岸の枝沢に入って岩岳尾根に出たほうがいいのだが枝沢に入るタイミングを失ってしまった。出合いに目印があるそうなのだが見つけることはできなかった。目印を探すのは諦めて適当な枝沢へ入ると5m程の滝が現れ、これを右の小尾根から捲くとその上で水は涸れる。あまり濃くはない笹薮をかき分けて行くと30分ほどで岩岳尾根へ飛び出した。だいぶ上の方へ出てしまったらしく余慶橋へ戻るのに3時間もかかってしまった。

〈コースタイム〉
【6月25日】 余慶橋(10:30) → 花ノ木沢出合(11:55) → 不動滝上(14:30) → 岩岳沢出合(15:30)泊
【6月26日】 出発(06:50) → 岩岳尾根(11:30) → 余慶橋(15:00)

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