トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ337号目次

百名山登山・十勝岳、幌尻岳、後方羊蹄山
箭内 忠義
澁谷 聡子
藤井 和義

山行日 2011年8月10日~16日
メンバー (L)箭内、服部、藤井、澁谷

 昨年に続き、今年も北海道に行けました。とても有難く、嬉しいことでした。
 夏の盛りの時期でしたので費用は若干高めとなりました。飛行機、レンタカー、宿泊他を含め一人当たり10万円弱となりました。しかし、お金には代えられない楽しい思い出を共有することができました。メンバーに心より感謝する次第です。
 記録は、十勝岳・・・箭内、幌尻岳・・・澁谷、後方羊蹄山・・・藤井と分担しました。

【8月10日(水) 快晴】(執筆:箭内)
 羽田7時30分フライトで新千歳空港まで行きました。今日は十勝岳の登山口まで行くこと、北海道の温泉にゆっくり浸かることだけが目的でしたから楽ちんです。
 空港からレンタカーで十勝岳登山口、吹上温泉白銀荘まで行きました。ここには芝生の平らで感じのよいキャンプ場もあるのです。テントを張ったら早速白銀荘の温泉にのんびりと浸かりました。山崎さんお勧めの露天風呂は十勝の山並みが見え、最高の気分でした。また、ジャンボテントは広々としており居心地がとてもよかったです。食当は藤井さんです。美味しかったけど、何を食べたのかは覚えていません。ごめん。

【8月11日(木) 曇り】(執筆:箭内)
 今回の山行は基本的に毎日、3時起床、5時行動開始です。今日も3時に起き、食事の後、車でもう一つの登山口望岳台まで移動し、そこから登りました。テントは乾かすことを目的にキャンプ場に残置しておきました。
頂上は視界無し、強風の吹き荒れ
 火山の瓦礫の道を登り始めました。最初は曇り空という状況でしたが、高度が上がるにつれてガスは濃くなり、強風がうなりをあげ、ザックカバーをバタバタとさせ身体をふらつかせます。ちょっと離れると前を行く人の姿がかすんでしまいます。景色どころではありません。しかし、ルートだけははっきりしています。ガス・強風は日常的な出来事なのでしょう、数メートルおきに黄色いペンキの印がついています。十勝岳は火山で、大きなお釜になっているようなのですが、覗いて見てもガスで見えません。雪渓の白い塊が見えるだけでした。
 あまりの強風に頂上に着いた時、澁谷さんは頂上を示す柱に抱きついていました。
 十勝岳から美瑛岳を回って望岳台に戻る予定でしたが天候の悪さに、それは諦めました。さっさと下山しました。さすが百名山です、こんな天候の中でも結構人が登っていました。
 山の天気というものは、頂上近くは暴風雨でも麓に戻ると快晴ということがよくあります。今回もそうです。望岳台に戻るとガスは晴れ展望も良くなっていました。
麓は頂上の荒天が嘘のように穏やか  さて、望岳台から吹上キャンプ場に戻りジャンボテントを撤収しました。予想通り乾いていました。しめしめです。
 まずはひと山登ったので温泉です。白金温泉に入りました。ここも源泉かけ流しでなかなか良い温泉でした。ホッとしました。
 次の登山、幌尻岳に向けて移動です。沙流川温泉ひだか高原荘の前が立派なキャンプ場になっています。そこを今夜の宿としました。食当は澁谷さんです。とても美味しかったのですが、何を食べたのか全然覚えていません。すまんです。
 いき暮れて ひだかの里を宿とせば 星ぞ今宵の あるじならまし
<コースタイム>
望岳台(05:00) → 十勝岳(08:45) → 望岳台(11:35)

【8月12日(金) 晴れ】(執筆:澁谷)
 今回の北海道第2番目の山は幌尻岳です。アイヌ語で「大きい・山」を意味する「ポロ・シリ」という名の日本百名山の一つ、日高山脈の最高峰です。たっぷり時間をかけて額平川沿いに登る振内コースを行く計画です。
 7時、とよぬか山荘を出発します。今年の7/1~9/30、とよぬか山荘~第一ゲート間は一般車の乗入禁止で、代わりにシャトルバスを利用するようにとのこと。や隊長が山で遊んでいる間に、は隊員がきっちり予約を入れてくれました。(要予約、往復¥3,500)
 第一ゲートからいよいよ歩き始めます。ここから額平川の取水施設までは、ひたすら林道歩きです。さわやかなので林道歩きもそれほど苦ではないのです。
外でのんびりの幌尻山荘前  取水施設からは、沢に入る身支度をして沢の右岸沿いの踏み跡をたどります。四ノ沢出合から幌尻山荘までは何度も左岸、右岸へと渡渉を繰り返しながら行くルートです。滝のない沢登りの感じで気持ち良く楽しいのです。ちょっと気合いが入りすぎて(?)早めに余分に渡渉をしたけれど概ね順調。山荘に3日足止めされたというパーティーとすれ違い、自分たちのラッキーさを再確認しました。だってお天気も順調。フェルトの沢靴、捨てる寸前の運動靴、地下足袋と足元は揃わないが、足並みは揃っていた・・・のでは。13:40に幌尻山荘に到着。今日はここまで。空が青い。
 五ノ沢出合にある幌尻山荘はとてもいい感じです。素泊まりのみ1,500円(要予約)だが、立派なトイレも水場もあります。山荘の中は寝るだけとのことなので、ご飯は外で。山荘は19:30には消灯でした。

【8月13日(土) 晴れ】(執筆:澁谷)
 翌13日は、5:00に出発して山頂を目指します。急登に大汗をかき、2時間くらい登ると「命の泉」の水場近くへ出る。水場は登山道から少し下ったところにあるのだが、本当に命の水。美味しくて生き返る感じです。
最高のお天気で幸せな頂上  稜線上は展望がひらけ、北カールを見ながらの雄大な山歩きです。北カールをぐるりと回るように、お花畑に感激しながら9:30頂上へ。気持ちいい~眺めに幸せ気分いっぱい。
 30分くらいは眺めを楽しんで、来たルートを戻る、は隊員と別れて、や隊長とふ隊員と私は戸蔦別岳方面へと向かいます。
 お花、お花、お花のお花畑に、表現力が乏しいため「綺麗、綺麗」を連発するしかなくてちょっと悔しい。
 東カール、七ツ沼カールを右に見て尾根道を行く。本当に気持ちがよい。「熊出没注意」の七ツ沼カールは、今もあのどこかに熊がいるのかな~と感慨深く眺めました。12:05戸蔦別岳に到着。振り返ると、今歩いてきた稜線がくっきり見えてまた感激。
戸蔦別岳からの幌尻岳  北戸蔦別岳との間にある山荘への分岐からは、かなり急で長い尾根道を下ります。先頭は、ふ隊員で一番元気です。もういいだろー勘弁してくれとヘロヘロになる頃にやっと沢へ。ここで沢靴に履き替え、最後が少し分かりにくかったけど15:40頃山荘へ戻り、は隊員とめでたく合流です。幌尻岳を十分楽しんできたので、今晩はもうのんびり。今日で百名山達成!という方とお話をしたり、山荘前は賑やかでした。今日の山荘の消灯は20:00でした。毎日違うの?

【8月14日(日) 曇り】(執筆:澁谷)
 14日は下山の日です。お天気はこれから下り坂のようです。4:30起き、6:00出発で行きに歩いたあの渡渉だらけ、ひたすら林道歩きのルートを戻ります。
 11:30第一ゲート発のシャトルバスでとよぬか山荘へ無事帰還。びらとり温泉(割引券で400円)で汗を流してすっきり。
 カールの地形やすばらしいお花畑、は隊員に教えてもらった鳥の声(コマドリ、ミソサザイ、ルリビタキ)などゆっくり時間をかけて楽しめました。天候にも恵まれ大自然を満喫できて大満足でした。

〈コースタイム〉
【8月12日】 第一ゲート(08:00) → 幌尻山荘(13:40)
【8月13日】 幌尻山荘(05:00) → 幌尻岳(09:30~10:00) → 戸蔦別岳(12:05~30) → 分岐(12:50) → 幌尻山荘(15:40)
【8月14日】 幌尻山荘(06:00) → 第一ゲート(10:30)

【8月15日(日)】(執筆:藤井)
 日高から高速道路を利用し、夕方にニセコ町に着いた。降り始めた雨が時々強くなる。今夜の天場は、雨を凌ぎたい。運良く、庇の長い最適な場所がすぐに見つかった。雨音のBGMの中だが、ゆっくりと眠ることができた。
 明けて15日、小雨模様だ。羊蹄山には、東西南北の4方向からの登山道がある。我等は、西の倶知安コースを選んだ。登山口に車を置いて、なだらかな直線に伸びた道を歩き始めた。雨は止んだ様子だ。少し斜面が出てきたところで、右手3メートル位上に風穴が出現した。よじ登って顔を近づけると冷気が顔をなでた。さらに急になった道を登ってゆくと、2合目の標識がぶら下がっていた。これ以後9合目迄標識を待ち望みながら登っていった。
 3合目を過ぎたあたりで、青空が雲間に見えて、何となく嬉しくなる。
 5合目でH氏は体調がイマイチの為、下山することになった。6合目付近で、麓の町並みが雲の下に眺められた。9合目からは、岩と草花の世界だ。
もうすぐ山頂です 火口が近くです  少しの間、頂上付近の霧が晴れて、赤っぽい山容を現したが、また、霧で隠れてしまった。お鉢巡りで頂上を目指す。30分位で到達した。視界も無いので、写真を撮ってすぐに動き始めた。さらに右廻りに歩いて3/4周して、真狩村(南方向))への下山口に着いた。
 今日の宿の登別温泉は東にあるので、すでに下山しているH氏に電話して、車を南の真狩コース登山口に運んでもらい、我等は、そこに向かって下ることにした。下りの8合目付近から再び雨が降り始め、登山口の真狩キャンプ場に着いた頃に雨が止んだ。今度は景色が見えなかったのが残念である。
 さてと、今夜は登別温泉のホテル泊である。とにもかくにも気楽である。到着すると、関東の鬼怒川温泉みたいにビルが林立した温泉場だった。お盆のせいか、大勢の人が動き回っていた。
 濡れた衣服を乾かして、冷えた身体を温めて、へこんだ腹を十分に膨らませて、極楽極楽!


トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ337号目次