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阿弥陀岳南稜
さとう あきら

山行日 2012年1月7日~8日
メンバー (L)佐藤、斎藤(吉)

 過去10年ほど冬山というと山岳スキーばかりで、雪山の縦走はすっかりご無沙汰だった。そのため登り残しの有名ルートが沢山あるのだが、中でも特に初級バリエーションとして人気の高い八ヶ岳連峰の阿弥陀岳南稜が気がかりで、同行してくれる人を探した。
 幸い斎藤さんが、私同様に正月期間は家族サービスのため在宅で、正月明けの同日程なら調整可能との連絡をもらい、山行成立。安心パートナーのお蔭で、お気楽山行に出発となった。

 初日、朝5時半に斎藤宅でピックアップ。高速道も順調で、登山口の舟山十字路着8時半。既に登山者の車が15台ほど路肩を占拠し、駐車場所にも事欠く始末だ。
 ずっしり重いザックを背負い出発すると、雪の上には何かを引きずった跡があり、その中央には血の滴りが点々と続く。どうも昨日、鹿を撃ち、それを車両が入れる所まで引いて来たようだ。血のりは旭小屋のすぐ手前の沢筋から始まっている。登山道近くでの狩猟は物騒なので、避けて欲しいと願うばかりである。
 旭小屋から立場山への急登が始まる。幸い先行者のトレースに導かれ、展望のない立場山へ、そしてテント場を探しながら稜線右側の大きく崩れた青ナギを越える。結局予定よりもずっと先の、2,564m峰(P2)を越えたコルに幕営となった。他に5張ほどのテントがあるが皆若者で、明日への意気込みが感じられる。夜は微風快晴で、諏訪の街並みの灯りが美しい。
P2先のテント場  翌1月8日、本日も微風快晴。ぺちゃんこ水筒にお湯を入れて抱いて寝たお蔭で、しっかり快眠。しかし気温は-15℃位と低く、八ヶ岳らしい寒い朝を迎えた。
 ゆっくり8時出発。テント場ではビリなだけではなく、前夜、立場山付近に宿泊したパーティにも次々に先行される。トレースしっかり、はうれしいのだが、心配したとおり、P3峰の登りのルンゼには2パーティ、10名以上が列を作っている。取り付き点は日陰で寒風吹きすさぶため、少し戻った日向の尾根で待つものの、間もなく後続パーティも到着となり、順番確保のため、やはり寒風の元に戻り、鼻水をすすりながらの順番待ちとなってしまった。
テント場からP3を望む  震え続けること1時間半、やっと順番到来。早速、斎藤さんリードで取り付くが、途中でロープが止まること10分以上。後続パーティからは、何をやってるんだ、という罵声も。理由はビレイ点の空き待ち。つまり先行の経験の浅い6名パーティが狭いビレイ点を占拠し、後続の斎藤さんにビレイを取らせてくれなかったのがその理由。不安定な雪壁でノービレイのまま待たされたほうも気の毒でした。安全のためにも、せめて自己ビレイだけは取らせてくれる配慮があって然るべきですね。
1P目ビレイ点は狭い  この後はツルベで順調に登り切り、P3頭でロープを解除。その後は先行6名パーティを追い越し、P4峰基部のきわどい数歩のトラバースを2度こなし、晴天の阿弥陀岳頂上へ。
 風も弱く、御嶽山から北アルプスまで一望の最高のコンディションで、満足度高しの山行でした。同行頂いた斎藤さん、お世話様でした。

〈コースタイム〉
【1月7日】 舟山十字路発(8:45) → 旭小屋(9:50) → 立場山(12:45) → P2先コル幕営地(15:00)
【1月8日】 幕場発(8:00) → P3取り付き着(8:50) → P3着(11:30) → 阿弥陀岳(12:10) → 御小屋山(14:30) → 舟山十字路(15:30)

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