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伊吹山
箭内 忠義

山行日 2011年11月20日
メンバー (L)箭内、西尾

 11月の花もない時期、東京からわざわざ関西の山に行く人はいないだろうと諦めていたら、大阪に単身赴任している西尾さんが付きあってくれることになった。有り難い限りだ。
 伊吹山は岐阜県と滋賀県の境にどんと鎮座する関西では人気の山だ。それに全国都道府県の最高峰の山を登る目標を持つ人には嬉しいことに、伊吹山は滋賀県で一番高い山なのだ。また、色々な花が咲くことでも人気で、古くから薬草が採れる山としても知られているらしい。イブキトラノオ、イブキジャコウソウなど「イブキ」の名を持つ植物がたくさんある。山頂は花の楽園、お花畑。伊吹山ドライブウェイは山頂まで続いている。夏の山頂は花見の客で混雑するようだ。
 さて、東京からどのように行こうかと、色々と検討した結果、行きは高速バス、帰りは新幹線と決めた。

 19日の夜、バスの出発場所新宿は雨だった。天候がちょっと心配だったが何とかなるだろうとバスに乗る。翌朝彦根でバスを降りた。彦根からJRで米原駅乗り換え、近江長岡まで行く。西尾さんとの待ち合わせの駅だ。
 大阪から来た西尾さんと合流し、バスを待たずにタクシーで登山口まで行った。意外と近かった。天気は曇りだが、今にも降りだしそうな空模様だ。気合いを入れて出発だ。
 登山口には大きな鳥居があり「伊吹山登山口」と書かれた大きな横看板がついていた。
かすんで街並みが見えます。琵琶湖はどこ?  西尾さんとは久しぶりの山行だ。鳥の話、大好きな日本酒の話に花が咲きます。舗装道路から細い山道に入り登っていく。出だしは急な坂道だ。1合目(頂上まで5,090m)と書かれた道標があった。すると山道から広々とした草原に出た。スキーのリフト乗り場だ。旅館も何軒かあった。草原はスキー場だった。2合目、3合目と道標が続き、なだらかな草原を登っていく。振り返るとスキー場、近江盆地の眺望が広がっていた。晴れていれば琵琶湖も見えるらしい。西尾さんのうんちくのある説明を聞くと関西の山もなかなかよいところがありそうだ。
 何合目かを表す道標は9合目までずっとついていた。4合目からは伊吹山のどっしりとした山容が目の前に立ちはだかってきた。6合目からは急な斜面。ジグザグに登っていく。夏ならば花を見ながら登るのだろうが、花のかわりに石ころがごろごろと転がっている。石灰石なのだろう。伊吹山は石灰岩の山と言うことだ。近くに大阪セメント伊吹鉱山があり山を削り取っている。
 身軽な西尾さんはひょいひょいと先を歩き、遥か彼方を歩いている。頂上に近づくにつれてガスが濃くなってきた。
 頂上に着いたが展望はあまりない。いや、全然と言ってよいくらい景色は見えなかった。晴れていれば、比良、鈴鹿連峰の展望があるのだそうだ。
 それより寒さが厳しく休んでいられない。休憩所兼食堂兼土産屋に2人して飛び込んだ。ビールに熱燗、それに温かいつまみがあった。
山頂です 百名山97番目だ!  帰りは下りだ。少しくらい飲んでも・・・と思ったが、ぐっと我慢した。頂上には山頂の標識のほかに、『日本書紀』に記された神話にまつわる日本武尊の像が立っていた。
 食堂でしばらく休み下山。少し下ると視界が回復してきた。下りも西尾さんは速い。とっとことっとこ走るように下っていく。あの体力、スピードはただ者ではない。ひそかにトレーニングをしているのかもしれない。
 下っていくと雨が降り出してきた。登山口、バス停に着いたときはどしゃぶり状態だった。バスが来る時間まで長時間待たなくてはいけないのでタクシーを頼んだ。
 JRで米原まで行き、熱燗で打ち上げ。腹にしみた。米原駅の近くには店が1軒しかなかった。雨が上がった米原駅から大阪、東京へとそれぞれ電車に飛び乗った。思いのほか楽しい山行となった。西尾さんに感謝です。

〈コースタイム〉
伊吹山登山口(7:58) → 1合目(8:25) → 2合目(8:49) → 3合目(9:17) → 4合目(9:37) → 5合目(9:46) → 6合目(10:01) → 7合目(10:13) → 8合目(10:34) → 9合目(10:49) → 伊吹山頂上(10:59~11:25) → 伊吹山登山口(13:00)


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